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Dependence Ghost  作者: 琴羽
最後の旧校舎
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決戦前

 最後の一箱の段ボールに蓋をする。

 旧校舎での最後の任務を二十二時に控えたこの日の夕方、家を空けるための準備が整った。一ヶ月間住んだこの家も、明日には出ていくと決めた。もともと簡素な部屋だったけど、いよいよ何もなくなった光景に、少しだけ感傷的な気分になった。


 旧校舎での戦いを終えたら、この街を出てまた新しいスタートを切ろう。


 引っ越しの日が決まったら教えてほしいなんて真知子先生は言っていたけど、伝えるのは全部が終わったあとにすればいい。

 それからしばらく身体を休めながら、いつもと変わらない時間を過ごす。食事をとって、シャワーを浴びて、今夜に向けて気持ちを整えた。


 そして二十一時を回った頃、今夜の塵霊との戦いに向けて準備に取り掛かる。

 腰に巻くポーチの中に、ありったけの札を詰め込む。ゆうに百枚以上はあるだろうそれを使い切れば、リオも少しは納得してくれるだろうか。

 最後に塵霊と戦ったのが十日ほど前のはずなのに、この支度の時間がやけに懐かしく思えた。

 もはや教師のふりをする必要はないはずだけど、なんとなくいつものスーツに袖を通す。ずっとこの格好で通してきたんだから、最後もこの服装が相応しい気がした。

 塵霊を切り伏せるための小刀はカバンの中に隠す。ポーチは腰の高い位置に巻いて、ジャケットを上から羽織る。

 最後に、リオから受け取った特別性の札を、ジャケットの内ポケットの中にしまった。

 まるでRPGの最終決戦の前みたいな気分だ。さしずめ、あの幽霊がラスボスと言ったところか。


 今夜、全部が終わる。


 塵霊に莉菜を奪われて、すべてを投げだした俺に与えられたのが、塵霊と戦うこの仕事だった。リオの誘いを受けて、今日までそれを続けてきたことに後悔はない。

 それでも今は、そんな毎日から抜け出せることに、少しだけ高揚をしていた。


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