第119話 失いかけた日々も、また元に戻る
吾郷さんと足立技研…だよな?
とりあえず足立技研の方は近くにいた警備の人に渡し、吾郷さんにはきっちりと説教した。
途中で『怒り方も…そっくりなんだねぇ…』と反省していなかったのでお灸を添え、御影先生に渡した。
気が付くと三時間くらい経過しており、卒業式も入学式も終わっていた。
まぁ…俺は参加がそもそも出来ねぇんだけどな。
一応IGD学園生徒及び関係者であることは間違いないのだが、卒業式も入学式もカメラマンやメディアの奴らも出席する。
混乱が起こるかもしれないから一瞬顔を見せて帰ろうと吾郷さんに言われた。
お陰様でメディアやら何やらの姿はない。
…当たりが強いかもしれないが、当たり前だ。
俺がIGD学園を去った時にあることないことを書かれたからな。
話?聞きたくもない。
「…」
久々にIGD学園の校庭に出た。
戦いの影響か所々ボコボコになっていたが…直ぐに治るだろう。
校舎も…今では綺麗だ。
俺たちがキャッスルに乗り込む際に射出したAG射出装置の姿もないし、壁も…真っ白だ。
戦いが終わったとしみじみ思う。
「…」
両手を見る。
右手には傷跡など色々あり、右手首には待機状態の白夜。
左手は黒い結晶になっている俺の新しい左腕がそこにあった。
父さんと母さんが蘇生してくれた影響、元凶の薬品との適合で生じた副産物。
世界を壊し、世界を守った両方の力が俺に宿っている。
「はぁ…」
今思えば萎羅と枯葉の意見には多少なりとも賛同するところがあった。
世界を我がものとするのは心底賛同できないが、新しい人間を作るというのには…少しだけな。
完璧な世界は存在しない。どんな世界にも、どんな国でも必ず欠点が存在する。
その欠点のせいで人が苦しむ場合もある。
それで新しい人間を作り、欠点を無くせるならと考えるなら…俺は少し賛同したかもしれない。
「実際…平和への一歩は歩みだせたんだよなぁ…」
ハイエンドや元凶二人との戦いを経て…世界は平和への一歩を踏み出すことが出来た。
今回の戦いでは各々の国が孤立状態になりつつあったが、他国同士手を取り合い戦って見せた。その状態は今でも続いている。
この状態を維持できるのであれば変な事でいがみ合うこともないし、戦争や戦いも起きずらくなっていく。
…元凶二人のお陰で平和の一歩を進めた。そこはありがとう。
というか…あの後、二人はどうなったんだ?
motherのコアを取った後の記憶がねぇ…。
何か、誰かに連絡したような気がするが思い出せん。
「…」
結局分からないままだ。
俺は何故AGを使える?父さんと母さんが書いたレポートのような物にも書かれてはいない。
だが俺がギアの入った人工血液やナノマシン『Another』で治された後にギアの活性化が起きた。その映像とレポートをみて体内にあるギアの血液が反応したものだと勝手に思い込んでいたが…違うみたいだ。
もしかしたら焼かれたレポートの中に『答え』があるかもしれないが、もう見つけることはできない。一生、分からないままかもな。
…でも分からないままでもいい。
何はともあれまた友人たちと歩けるんだ。『何はともあれ』ってやつ。
「…帰るか」
よし、メディア関係の奴らが俺に詰めて来て卒業生や新1年生に迷惑をかける前にさっさと撤退しよう。
サングラスをかけて、左手に手袋をしてIGD学園城壁出入り口に足を進める。
俺にはまだやるべきことがある。
戦いはもうないが…俺なりの事後処理ってやつが。
まず子供たちへの定期的な面談。
身体の様子とか家族との関わりとかそういうの。
次に…莫大な報酬金。
英雄と言われた通り、世界を救った…らしいので数時間くらい理解に時間がかかる量のお金を頂いた。ぶっちゃけ全部使い切るのも難しい量だ…。
いや…貰えねぇよと思ったが強制的に懐(俺の個人口座)にぶち込まれたので俺なりの自由に使わせてもらった。
まず頂いたお金を半分にしてそれを『各国』に寄付。平和になったとはいえ完全には戻っていない。復興予算として使ってほしい。
残った半分を更に半分にしてそれを『日本政府』に寄付。これからの日本を支えてくださいと若干圧をかけつつ渡した。
残った半分を更に半分にしてそれを『IGD学園』に寄付。これからもよろしくお願いしますって意味と今後に期待していますと渡した。
残った半分を更に半分にしてそれを『吾郷技研』に寄付。まぁ…これも感謝だな。
残った半分を更に半分にしてそれを『タービュランス』に渡した。感謝と俺の名の『ストリーム』の供養の為に使ってほしい。
残った半分を更に半分にしてそれを『椿、青葉、そして子供たち』の養育費として使うことにした。保護者の方からめっちゃ遠慮されたが知ったことか。椿と青葉は…そうだな。
遊園地とかショッピングモールとかに行って奪われた時間を取り戻すくらい、楽しんでほしい。椿と青葉は養育費というよりは…遊ぶためのお金かな。
二人で過ごす時間に華を添えれる足しになればいいな。
残った半分を更に半分にしてそれを『爺さんと婆さん』に渡した。俺を我が子のように育ててくれたからな…親孝行ってやつ。ちなみに二人そろって泣いていた。
『本当に優しい子…に育ってくれてありがとう』『…!』と言っていた。
残ったお金を更に半分にしてそれを『父さんと母さん』の供養として使う事とする。
まぁ…基本的にはお線香や花代などに使わせてもらうことにしよう。
まぁそんなわけで俺は『各国』『日本政府』『IGD学園』『吾郷技研』『タービュランス』
『椿、青葉、子供たち』『爺さんと婆さん』そして『父さんと母さん』に使った。
結果的に一生遊び尽くせるくらいのお金は…俺のもとに2、3万残った。
後悔はしてない。
残ったお金はどうしたものか…あ、そうだ。
谷氏、たそ、はちおくんで俺の行きつけのラーメン屋にでも行くか。
勿論、俺の奢りで。
はい。たった今、お金関係の事後処理が終わりました。
最後の事後処理は…実家の清掃だ。
マージでしばらく開けていたからな。掃除しなければ。
これが俺の3つの事後処理…待て、2つだ。1個解決したんだった。
「…」
城壁を越えようとした。
すると。
――ピンポンパンポーン。
「?」
IGD学園から放送の音が聞こえてきた。
呼び出し的なアレか。まぁ関係の無いことだ。
さっさと撤退
『あー、あー。今、IGD学園の城壁出入り口で帰ろうとしているIGD学園唯一の男子生徒九条春斗君』
「お、俺!?」
まさかの俺だった。
声の主は雪華さん。えぇ…何かしたか俺…。
「…聞こえなかったことにするか」
止めた足をもう一度進めようとしたが。
『止まりなさい』
「!!?」
全身が凍りつくような圧を感じ、足が止まる。
『さて…このまま帰らせるわけにはいかないわ。ねぇ九条君、私が言ったこと覚えていたかしら』
「い、言ったこと…?」
脳みそをフル回転し記憶を遡る。
何を言われたのか思い出せ…!声色的に雪華さん、怒ってるな。
何を言われたっけか…うーん…?
妙に引っ掛かる。何か…。
『帰ってきなさい、絶対に』
『このまま居なくなってもいいや、なんて考えないこと。帰ってこれるなら帰って来なさい。私たちは待っているから』
「あっ。」
そうだわ。
帰ってきなさいって言われた。
…いや結果的には帰ってきたしな。一応、端末でメッセージを送るか。
「えーっと…死にかけましたが結果的には帰ってこれたので不問にしてほしい…だ、ダメだ!これを送ったら絶対にぶっ殺される気がする」
嫌な予感がしたので入力を途中までしたメッセージを削除する。
これじゃなくてもっといい案があれば。
「そうだ…!」
butterflyの影響で死ぬと思っていました。正直、帰ってこれるかどうか分からなかったですけど帰ってこれました…っと。
『結果的に帰ってこれた、ですって?』
「へ…?」
待って?さっき消したメッセージを送ったか!?
…い、いや送ってないな。確認しても先程のは送っていない。
じゃあ何で雪華さんが…?
『…私たちがどれほど心配したのか分かっていないみたいね…!』
『そうですね…!』
『えぇ…!本当に…!』
『僕たちが…どれだけ心配したと思ってるのかなぁ…?』
『心労が絶えん、監禁すべきか』
『…終身刑』
『一発ほど聖剣でぶった切っても構いませんよね』
『手伝います。魔剣も添えましょうか』
『やはり春斗は2ヶ月くらいベッドに拘束すべきだと思います』
雪華さん、葵、フレヤ、レベッカ、アナスタシア、水津、アイヴィー。
そして青葉と椿の声が聞こえてきた。
あ、明らかにブチギレている…!!
や、やべぇ…!?
「し、死ぬ気満々だったのは…言わないでおこう…てか、どうやって逃げ」
『『『『『『『『『は?』』』』』』』』』
「え?」
た、タイミング合いすぎじゃないか!?
まるで俺の会話が聞こえているような感じだぞ!?
まさか!?もうすでに俺の周りにいるとかか!?
…でも周りには人の姿はない。
『あー…九条、聞こえてるか?』
「御影先生?」
御影先生の声が右腕の白夜から聞こえてきた。
え、何で?通信を受け取った覚えがないんだが?
『言いずらいんだが…お前がエヴォリューションと戦っていた時点で通信がオープンになっていたぞ。しかも今日にいたるまでずっとな』
「ずっと…?」
『…聞かれてたぞ。死ぬ気だったことも、結果的に帰ってこれたってことも』
「――は?」
『それと…悪い知らせと良い知らせが一ずつある』
「い、良い知らせからお願いします」
『今回の戦いで死者はゼロ人。負傷者や重傷者も居たが素早い治療のお陰で命には別状はなかった』
「く、くたばったのが俺だけでよかった…」
そ、それは本当にいい知らせだ。
『お前…その発言は…』
「あ」
やべ。
聞かれてるんだった…!!
『悪い知らせなんだが…たった今、城壁に向かって8機のAGと1機のHAGが飛んでいったぞ。額に青筋を浮かべたままな』
「ヒュッ…!?」
『…教師として予め言っておくが、そのままじっとしてたら死ぬぞ』
全身に巡る悪感。
そ、そうだ!このまま居たら説教されるに決まってる!早く逃げないと!
と思い城壁の外に出ようとした次の瞬間。
――ドギュウゥゥゥンッ!!
出口一歩手前で上からレーザーが放たれ、地面が抉れる。
まるで…『進むな』と警告しているような攻撃。しかもこのレーザーを俺は知っている。
と思ったと同時に、城壁上に計9機のAGとHAGが着地し、俺を見下ろしていた。
(こ、こぇぇぇぇぇ!?!?)
な、何か見ちゃいけないオーラが見えるんだが!?
龍とか般若とかその類の圧と怒りが空から降り注ぐ。
指先一つ動かせない。
「え、えっと…ひ、久しぶり…」
「えぇ、久しぶりね九条君。相も変わらず自分の事を考えないのは変わらずで何より」
「ウッ…」
「それで?どうして挨拶もせずに帰ろうとしたのかしら?」
「わ、訳を聞いてくれるんですか!?」
「それは勿論よ、でも…」
「で、でも…?」
「もし、くだらない理由だったら…」
雪華さんの声とともに各々がAGの専用武器を構え、俺に向けてくる。
「分かるわね?」
「は、はい…」
とりあえずくだらないかどうかはさておいて、一度理由は話すべきだと思うので話した。
ーーー
「…と言うわけでして、卒業生や入学生に迷惑をかけるわけには行かず帰ろうとしてました」
「…」
「その別に挨拶をする気がなかったというわけでは無くて、また直ぐ帰ってきますしその際にと思っていました」
「…」
じゃ、ジャッジはどうだ…?
てか、そろそろみんなからの無言の圧力に耐えられなくなってくる…!!
怖ぇよ!!
「…どうやらそれ相応の判断があったみたいね。みんな、武器をおろして」
どうやら『くだらない理由』にはならなかったようだ。
俺は胸をなでおろし、安心して地面に座り込む。
はー…緊張した。
すると。
「…!!」
「え、葵!?」
葵のみ壁の上から飛んできて、俺の前に着地し俺を掴んだ。
「あ、葵さん!?一体何を…」
「…」
「葵…?」
「…もう」
「?」
「もう…居なくならないでくれ…!」
「へ?」
AG飛脚を一瞬で待機状態にしたのち、俺をぎゅっと抱きしめてきた。
急な事に反応が遅れた。
「あ、葵!?お前…何して」
「これくらい許せッ!!」
「!!?」
「お前を…目の前で失って…また同じことが起きると…ずっとずっと心配で…!!」
「す、すまん…」
俺に…葵を引き剥がす権利はない。
というより引き剥がすのはだめだ。男としても友人としても、泣いた人に対する対応としてあまりにも酷だ。
「あぁっ!ずるいよぉ!」
「抜け駆けは許さんぞ!!」
「…ずるい」
「…」
上から抗議の声と目線が送られるが…俺にはどうしようもない。
ただ何もしてないぞと証明するために両手を肩辺りに上げて『不可抗力だ』と見せる。
…葵は俺の胸に顔を埋めている。すすり泣くような声が聞こえてくるので…本当に何もできない。
「あ、葵…大丈夫か?」
「…もう少し」
「お、おう…」
心臓がドキドキと跳ねる。
…ん?跳ねる?
ま、待て!?何故俺はここまでドキドキしているんだ!?
彼女を作らないと決めてからは…異性に対する行動に何一つ反応を示さなかったはずの…俺が!?
あっ!?まさか…心境に変化があったってこっちにもかよ!?
今まで感じたことがないような焦りが頭を支配する。
(ど、どうすればいい!?)
そう悩んでいると。
「なぁ…春斗?」
「あ、あぁ!何だ!?」
「その…キャッスルの時の…告白の返事が欲しい」
◇◇◇
「「「「「「はあぁぁぁぁぁっ!?」」」」」」
「…春斗、帰ってきましたしね。返事はもちろん聞くと思っていました」
葵の告白の返事が欲しいという発言に対して6人が驚き、椿のみ驚かず納得したかのような反応を示していた。
「椿ちゃん、知ってるの?」
「はい。葵の避難に失敗し春斗が死にかけていた時に葵が想いを告げたんです」
「…まぁ好きな人が死にかけてたらやらざる負えない」
「あぁ、私もするだろうな…」
「こればっかりは変に怒れませんわね」
「…というより春斗が答えると思いません」
「どうして?」
アイヴィーは春斗が思いに答えるとは思えないと言い切る。
何故かと問いかける雪華。
「春斗はアプローチに対しては答えないと修学旅行の温泉で聞いたはずです、それ以降の行動に関してもこれといった反応も見せませんでした…となればどうなるか分かるかと」
アイヴィーの理由は的を得ている。
実際、この場にいる春斗に想いを寄せる乙女たちは様々な方法かつ様々な方向から彼にアタックしていた。だがこれと言って手ごたえ無し。反応は薄く、異性と認識されていない感じである。
椿はそれを知っていた。何せ春斗の中に居たことがあったから。
なお、青葉はそのことを知らないが春斗がどうしようもない堅物であることは初めて遭遇した時から察していた。自分の事を考えず、他人の命を優先しようとした行動に。
…どうせ、葵の告白も変に言いくるめられるかもしれない。
そう、彼女達は思っていた。
しかし…現実は違う。
「え…あ…?」
顔を横に背け、右手で口元と頬を覆っているが覆い、隠されていない頬の部分はほんのりとピンク色に染めて明らかに動揺している。
この反応は…相手を異性と認識している反応だと瞬時に理解した。
「春斗…?」
春斗の反応がおかしかったせいか、より身体を密着させ問いかける葵。
色々なところが当たっている春斗からすれば葵の行動はあまりにも鬼だった。
(ち、近い!!なんか…その柔らかいし良いにおいが…じゃなくて!!)
頭がショート寸前。
心臓も破裂一歩手前だった。
だから…春斗が出来る行動は一つだった。
「そ、その…葵?」
「どうした?」
「ち…近いんだが…」
「…」
「あと色々当たってて…その」
明らかに今までの春斗とは様子が激変している。
こんなことをしても、『止めておきなさいね』のような感じで涼しく流すはずの彼が頬を染めて動揺している。
あまり見れない顔、というより見せるはずもない彼の表情。
その表情は乙女たちの理性を軽々しくぶっ壊す破壊力があった。
――プツン。
「へ?」
「…」
春斗が反応するより先に葵はAGを纏って春斗を抱える。
「あ、葵?何して…」
「なぁ春斗」
「お、おう?」
「ちょっと今から私の部屋に行くぞ」
「…何故?」
「いいから来い」
春斗は葵の表情を見た瞬間、戦慄した。
(め、目付きがいつもと違う!?しかも…な、何だこの恐怖は…!?まるで肉食獣に見つかった時のような…)
春斗は得体のしれない恐怖を味わいつつ、葵に連れて行かれそうになるがそこへ。
「お待ちくださいまし」
フレヤが降り、葵の前に立ちふさがった。
「…何だ?」
「抜け駆けは許しませんわ」
「それは僕も同じ意見だよ!」
「あぁ、そう易々と春斗を渡してたまるか!」
「…春斗を返して…!」
「お姉さんも流石にそれは見逃せないかな?」
「春斗をかけて決闘を申し込む!」
「私もお、恩を返したいので!深い意味はありません!」
「…春斗の相棒ですので、相棒のピンチの為に戦います!」
「何で俺が賭けられてるんだぁァァァッ!!!」
この状況についていけていない春斗。
無理もない。
この戦いは春斗にとって戦う必要のない戦い。
しかし、この場所に居続ければ…とんでもないことになる。
そう判断した春斗は…右腕に付けられた待機状態の白夜を通して御影に連絡する。
意外にも直ぐにつながった。
『どうした?何が起きているかは丁度見て居るからわかっているが』
『は、春斗君!不埒ですよ!ふ、不純異性交遊です!』
「俺は悪くないですよね!?」
『…いや…うーむ…お前が悪いともいえるし悪くないともいえる。一つ、かける言葉があるとするならば…『ツケ』を払うときが来た、だな』
「つ、ツケ…?」
『それより、何故こちらに連絡してきた?まさか、そういうプレイが好きなのか?』
「プレイ…?と、とにかく聞きたいことがあって…今すぐに逃げるためにAGを使っても!?」
『許可は出すが…後できちんと解決しろよ?一人の青年をめぐる戦争なんぞ、ドラマだけで十分だ』
「ありがとうございますッ!!」
春斗は御影からの許諾を得たと同時に、白夜を展開し空へと逃げる春斗。
『春斗!何処へ行く気だ!!』
「逃げるに決まってんだろ!!得体の知れない恐怖に襲われたからなッ!!」
『お待ちくださいまし!今ここで止まれば本国に連れていくことはりませんわ!』
「イギリスに連れてかれるのか俺!?」
『春斗!一緒にお母さんにあいさつに行こ?』
「そのまま日本に帰ってこれない気がするが!?」
『私の為に毎日味噌汁を作れ』
「一番マシだけど今は怖ぇ!」
『…終身雇用』
「何処で!?」
『責任取って♡』
「何のですか!?」
『くっ…殺す!』
「なんか違う!?」
『あの時のように私を救ってください!』
「もう助けたろ!」
『春斗!ここで止まってください!相棒が言っているんですよ!?』
「今だけは信じれねぇッ!!」
群青色の空を飛ぶ白い閃光、それを追う計9機のAG。
『来るなァァァァァッ!!!??』
その空に響き渡る狙われる青年の断末魔。
彼はあとどれくらい生き残れるのか。
「はぁ…自業自得だな。空を見ろ、柊木。過去があったとはいえ色々な者に手をさし伸ばし続けた青年の末路だ」
「いや止めないんですか!?」
「止めたところで無駄だろう…なぁ吾郷?」
「まぁね…それと歴史は繰り返すって聞くけど本当にその通りだと思う。昔、克樹も追い回されてたしね」
「…繰り返すにしては世代を跨ぎすぎじゃないか?」
「そうかも」
「昔に浸ってる場合ですか!プラスもう一機来てますよ!?」
「タービュランスもか、克樹より数が多い…吾郷、茶だ」
「明らかに増えてるねぇ…おぉ、美味い」
「良いから行きますよ!!」
戦いは終わっても、春斗の奇想天外、前途多難、奇天烈な日常生活は今も続く。
消えかけていた日々も、いつも以上に騒がしく。
いつも以上に多い仲間たちに囲まれている彼を見て、『二人』は優しく微笑む。
「止めろォォォォォォ!!!来るなぁァァァァァ!!!分かった!死のうとしたこととかその辺は本当に心の底から反省した!これ以上、無理もしないから頼む!俺を詰め…って何で追いつけてんだよ!?白夜だぞこっちは!?」
「春斗」
「な、何だ!?」
「私とお姉ちゃんは未だに蝶を使えます。それを知ったうえで白夜に追いつける理由を貴方は知っているはずです」
「まさか…AGに纏わせたのか!?しかも全員に!?」
「ご明察通り、流石私の相棒です」
「…相棒マウント、ずるい。でも他意は…ない?」
「相棒ですので、行く行くは更なる関係に発展させようかなと」
「下心ありまくりじゃない…分からなくはないけど」
「とにかく大人しくしろ!春斗!今なら『少し』で許してやる!」
「何されるかわからねぇから止まれねぇんだろうが!!椿、青葉!策士策に溺れさせてやる…!!黎蝶ッ!!」
「びゃ、白夜に纏わせるのは話が違うじゃありませんか!追いつけなくなります!」
「お前たちと同じことをしただけだぁァァァ!!!!うぉぉぉぉっ!!!?!!?」
…少し騒がしすぎるかもしれないと『二人』は苦笑いをした。
誤字脱字、語彙力がほぼ皆無に等しいのでミス等がありましたらご報告お願いします
感想も待っていますので気軽にどうぞ!
超絶不定期更新ですがご了承ください…
そして、次回『エピローグ』にてインフィニティ・ギアは完結となります。




