第97話 懐かれてしまったのは
スライムちゃんがこのままここに居ていいかどうか……置いて行ったら、ただでさえ自分の身に起きたことでショックを受けているのんだもの。私たちが帰ったら泣いてしまうだけですまないはずよ。
「……連れて帰る??」
『うーん。このままだと、山の生態系が大変なことになりかねないし?』
「そうだな。エンシェントスライムが単独で徘徊するのも……ほかの魔物を吸い込むだけですまないかもしれない」
『ええ、そうね? こんな可哀想にぷるぷる震えているんだもの。……あたしたちといっしょに来ない?』
ザクロさんが勧誘してあげると、スライムちゃんは身体をぷるぷるさせていたけど……敵意がないことを自分で理解したら、うにょーんと触手を伸ばしてザクロさんの脚のひとつにぴとっと寄せた。
どうやら、同じ魔物の方が安心感を覚えたのかしら? 私とセルシスとかは見た目は人間とそっくりだから、自分を討伐するために来たとかで警戒しているみたいね? そればっかりは、仕方ないわ。
ザクロさんはスライムちゃんの触手を振り払うことなく、そのまま好きなようにさせていた。
『……いい、の?』
『いいわよん? なんなら、巣はあたしのとこに来る?』
『! お姉ちゃんがいいなら!!』
『うふふ~~。決まり~~』
正確には、『オネエちゃん』だけど……せっかく和んでいるところに突くわけにはいかないので、私たちは黙っていた。セルシスも一応空気は読んでくれているようだからね?
とりあえず、連れて帰ることには決まったから、名前について皆で話し合うことになった。
「保護者がザクロさんだから、ザクロさんが考えてあげたら?」
『そうねん? あたしのはマリンちゃんにもらったものだけど。せっかくだから、この子の名前を考えてあげたいわ~』
移動の間、スライムちゃんは跳ねたりとかは出来ても徒歩より移動が少し遅いことがわかったから。ザクロさんが頭の上に乗っていい許可を出したので、嬉しそうに乗っかっているのよね? よっぽど、ザクロさんの巨体よりも中身を知って信頼を寄せているみたい。びびりだけど、相手の善し悪しについてはちゃんとわかるくらい知能が高いのね?
『……名前、お姉ちゃんがくれるの??』
『ええ。素敵な名前がいいわねぇ? なににしようかしらん』
私はザクロさんってつけたのは色のイメージだし。そこからヒントを得ても別にいいかもしれない。
けど、どんなのをつけるのかしら? 色はシルバーだからって、そのまんまをつけることもあり得るし?
まあ、そこはザクロさんの自由だから私が口を挟む理由にはならないけど。
『そう言えば、ぼくとか名乗っていなかったね? ぼくはレシアム、マリンの契約精霊だよ~』
「……アルマリンと同族のセルシスだ」
『よ、よろしく……』
軽く自己紹介するだけで、縮こまっちゃうくらい男の人が苦手なのかしら? ザクロさんは別格と言うか、女と勘違いしているみたいだし……まあ、いいけど別に。
『そう、そうね!! 閃きが大事よ!! あなたはチロルちゃん!!』
「へ?」
「は?」
『へぇ?』
『……ち、ろる??』
『ええ、そうよ? 可愛い名前じゃない??』
たしかに、可愛い響きだけど。それ、某有名メーカーのお菓子の名前!!
浮かんだの私ぐらいだろうから、笑いを堪えるの超がんばった!!
『チロル!! 私、チロルね!!』
そして、本人は結構気に入ったから、その名前に決定。別に魔物同士は契約にならないからか、特に変化はなかった。
とりあえず、お昼ご飯にしましょうかと拠点に連れて行くことにしたわ。
次回はまた明日〜




