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転生したら、【宝石族のお姫様】になってた??〜贅沢生活はごめんなので、のんびりスローライフさせてください〜  作者: 櫛田こころ


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第92話 【宝石族】としての覚醒

 レシアムと共に、今日の食材を調達しにきたのだが。


 ひとつばかり、問題が生じた。俺たちの好物のひとつである、フーリスの葉のところにオークがたむろしていたからだ。群生地のひとつで定期的に収穫していただけだったが、今日は最悪だ。


 俺はともかく、レシアムの実力はほとんど知らない。


 以前、アルマリンとゴブリンの討伐をしていたときは陰で援護していてくれたのは知っていても。目の前に十体くらいもいる巨大なオークらを俺とふたりで討伐出来るとは到底思えない。


 仕方ないが、ここは諦めてほかを探すしかないだろうと思ったが。


 レシアムは『ふふ』と楽しそうに笑っていたんだ。



「レシアム?」

『いや、大したことじゃないよ? だけど、セルシス。ここであいつらを狩ることが出来たら、マリンたちに大喜びしてもらえると思うよ?』

「……アルマリンに?」

『オークのお肉は君たちの大好物じゃないか』

「それは、違いないが……」



 ひとりではないにしても、この大群を狩ることに自信がない。ゴブリンのときはアルマリンが乗り気で対峙してくれたお陰もあって出来たことだ。レシアムがいたとしても、この数を俺が討伐出来ると思うか? 



『自信ない? じゃあ、ひとつだけおまじないをしてあげようか?』

「まじない?」



 魔法じゃなくて、なにかの術を俺に施すというのか?


 質問で返せば、前足で屈むように指示するので膝を折って彼に目線を合わせれば。


 アルマリンより、濃い蒼の瞳とぶつかったことで、頭の中でなにかがぶつかりあったかのような衝撃を感じた。ふらっ、と、軽く揺れたが、足で踏みとどまることで次に全身が熱くなるのにも驚く。


 血が沸き立つ。


 魔力が高まる。


 たったふたつだけのことなのに、俺の中でなにかが大きく変化したように思えた。


 そう、それは。俺の外見が精神と不釣り合いだと自覚し、成長したときのあの時のように。



『ルチルクォーツの奇跡。それを留めておくと害悪になってしまう。今ぼくが、そのわだかまりを解放させた』



 レシアムの声が、少し遠くに聞こえた気がしたが内容は届いていた。


 つまり俺の中の『ルチルクォーツ』そのものの力をいじったということ。【宝石族】として、この先、血と魔力をうまくコントロールできないと長く生きられないと昔教師に言われたことはあったが。


 どうやらそれを、今レシアムが促してくれたらしい。


 たしかに、魔力の鼓動のようなものが循環するたびに、呼吸も安定してきた。


 それと、無理だと思っていたオークの群れに視線を向けても、勝てないという弱気な気持ちが吹っ切れた気がしたのだ。



「……土中の鉱石を扱えば、容易いこと」



 魔法の才は形状変化と結界くらいしか得意でなかった俺でも、自然と頭に方法が浮かぶくらい。


 水晶以外の混じった宝石の箇所は、アルマリンが得意とする鉄粉の形状変化に必要な成分と同じだ。なら、それらを使って瞬時にオークらに魔法をけしかければいい。


 歯で指の腹に傷をつけ、血を一滴地面に垂らす。そこから、魔力を土中に巡らせ……形状変化をアレンジしつつ、金属の針を精製してオークたちの巨体を貫かせた。いきなりの状況変化についていけないのか、慌てる彼奴らを俺は一体も逃さずにその魔法の操作を繰り返し。


 全滅に至るまで、そう時間もかからなかった。


 上にはフーリスの葉が美しく実っていても、地面ではそれなりに悲惨な光景が広がっている。俺が全滅させたのか、と、魔力の高ぶりが落ち着くまで信じられなかった。それを引き出してくれたのがレシアムのお陰でも、彼は相変わらずにこにこと笑っているだけだった。


次回はまた明日〜

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