第71話 川遊びはしっかりと
翌日。水着がちゃんと出来たのでセルシスには渡したんだけど……当然のように、苦い顔つきになったわ。
「……水遊び、か?」
「ダメ?」
たしかに、私は元王女。
外見が少し成長したからって、淑女のマナーとかを忘れたわけではない。
だけど、この山の中でスローライフを送る生活を望んだから、無礼講なんてなんのその。
セルシスも同じ気持ちでいるだろうから……まあ、用意してはみたんだけど。お風呂に入るわけじゃないんだし、滝つぼ近くの川で存分に遊びたいのよね? もう一回説明しても、苦い顔されちゃったけど。
「アルマリン。君の精神年齢はともかくとして、俺の外見はこうなんだぞ? 淑女が男の前で肌を晒すだなんて」
「あら? 外見と中身の不釣り合いさなんて、お互い今更でしょう? それに、手足ぐらいしか出さないようにデザインはしたわ。……ダメかしら?」
「~~~……本当、か?」
「別にビキニアーマーのような下着っぽいのにしたわけじゃないもの?」
「!? ……頼む。君の口からそのような言葉はあまり聞きたくない」
「あら? 私の精神年齢はあなたの外見以上なんだから、おばさんみたいなものよ」
「……やめてくれ」
自分で言っていて悲しいとか、特に気にしない。
恥をかき捨ててとかでもないし、人外生活をしているからか悔しいとか辛いとかもないのよね?
とりあえず、半分くらいは納得させて滝つぼ近くの川に向かい。
ザクロさんとも合流してから、魔法で水着にチェンジしたわ!!
『あんらぁ。フリフリたっぷりで可愛い服じゃない?』
「水着って言うの~」
『みずぎ? それで川の中に入るのん? あたしの作った布は、たしかに水気も弾いてくれるけどぉ』
そう。キッチンでの仕込みで気づいたんだよね? 水仕事をしてても、濡れるどころか弾いてくれる作用があるのを。だから、水着を作れば泳げるんじゃないかと思ったのよね?
セルシスは上半身裸なのが心もとないのか、おろおろしているけど。
「セルシスもおいでよ~」
しかし、あれですな。シャツじゃわからなかったけど、その下には素敵筋肉が隠れていたとは!
腕とか胸は程よく隆起していて、がっちりもしている。腹筋はそれなりに割れているから、きれいなシックスパックが。
足も細いけど、固い筋肉が見え隠れしている感じ。
それに好みのワイルドイケメンが加わると、これは惚れてしまいそうなくらいの魅力を感じた。本気で惚れるかどうかまでは、今の段階だとわかんないどね? だけど、素敵筋肉にはどぎまぎしちゃいそう!!
「……せめて、上に着るものはないのか?」
なーんて、恥ずかしいのか上に布がないのが落ち着かないのか。ラッシュガードを準備することは出来なくないけど、男なんだからそこは見せれるものは見せないともったいない!!
「大丈夫よ。水温に慣れたら気持ちいいと思うから」
「……しかし。君のは手足だけとは言え、そんな張り付くような服でいいのか?」
「下着じゃないけど。水着ってこんなものよ? ワンピースタイプにしたから、これでも露出控えめ」
「……そうか」
『遊べるうちに遊んだら~? 魔物の気配はないけど、魚とかはたくさんいいるし』
『レシアム殿は遊ばないのん?』
『お風呂はともかく、水浴びはやめとくよ』
ということで、準備体操だけはしっかりしてから冷たい川に足を入れてみる。ちょっと低いけど、心地いい水温だとわかれば、ざぶんと入るのも抵抗がない!! 髪はシュシュ仕立てにした布紐でまとめているから、そこまで濡れないわよ~?
「……はぁ。危険があまりなくても、そんな大胆に」
「なにか言った~?」
「なんでもない。魚取りなら、道具がなくていいのか?」
「魔法も使いながら遊びましょ~」
「……そうか」
セルシスがざぶざぶ音を立てながら入ってきたので、そっちに向かって水をざばっとかけてあげれば。
当然驚いたので、水も滴るいい男の出来上がり。これは、ちょっと以上にときめきがやばいわ!! 鎮まるのよ、アルマリンの心臓!!
次回はまた明日〜




