第70話 恋が生まれるかどうか
今日のお風呂もさっぱり出来て、満足だった。
自分の部屋に戻る途中、外から物音が聞こえたんで窓から覗き見たら……セルシスが、模造剣で素振りしているところが見えたの。
せっかくお風呂に入ったのに。もう一度入り直す必要はあるのか。なにか、考えがあって剣の修行をし直しているにしても……あの様子だと、ここのところ毎日じゃないかしら?
なんでまた、と、思っても考えられるとしたら……私のことだ。
外見の成長が進み、彼に少し近づいた年齢の差。
それでまあ……思うところがあったのかもしれない。
(……恋、ね?)
誰、と言われれば相手は私しかいないだろう。
ザクロさんはオネエだけど、魔物だし。レシアムは精霊様だけど男だし?
ゲイの兆しはないし、ギクシャクしていたここのところの様子を見ればそれくらい、鈍いと思われがちな私にだって理解出来る。
とは言え、セルシスの相手に、今の私は相応しいのかと他所事のように考えちゃうのよね?
(中学生くらいだけど、結構背丈伸びたし。顔も大人っぽくなっているし? セルシスの実年齢と変わらないとしたらちょうどいい……のか)
それだったら、成人年齢よりも惚れやすいのかも? 勝手な憶測ではあっても、人の好みは千差万別とも言うし? 私の好みは……なんだったっけ? 前世でも彼氏より生活面を優先していたから、恋愛事にはからっきしだった。
(ふ~む。好みの男性像……えぇえ? いかつい体型とか好みではあったけど、セルシスは細身に見えるし)
今もシャツとズボンで腕とか脚はあんまり見えないから、どんな体型なのかわからない。目の前で着替えるようなこともないし、私の年齢差を考慮してくれるのかきちんと淑女として扱ってくれるのよね?
だから、セルシスの腕っぷしとか見たことがない。
素振りをしている今でも、シャツの上からじゃ立派な筋肉が見えないのよねぇ?
「……見て、みたいかも」
別に痴女とかではないが。
いっしょに生活している手前、相手の肉体について何も知らないままでもよくない。
言い訳とかに聞こえるかもしれないが……セルシスの筋肉をちょっとでも見てみたかった。恋が生まれるとかどうとかではなく、純粋な興味として。
幸い、今の時期はまだ夏だから……水着さえ用意出来れば、滝つぼ近くの川で水浴びとかで遊んでも問題ないだろう。魚取りとか称して、提案したらしぶしぶでも了承してくれると思うのよね?
だったら、今から水着を作るわよ、アルマリン!!
「布は~~。ザクロさんのあれがまだ残っているし~?」
私の水着はワンピースタイプなら、フリル満載にしておけば……異論は言われないはず。
セルシスのもゴム紐代わりのを装着すれば簡単には脱げないと思う。それを考えて、本当だったらとっくに寝ていたかった時間を使って裁縫に勤しむことにした。
途中、レシアムが部屋に来たんだけど。水着のことを話せば『がんばれ~』と応援してくれたわ。
邪な考えはバレていないと思うけど……多分、私のは恋じゃないはずよ!! 多分だけど!!
次回はまた明日〜




