第64話 のんびりバスタイム
連続で揚げ物にはしなかったけど。夕飯は夕飯でフーリスの葉を奮発した料理を作り。
今私は、少し大きくなった身体でお風呂に入っている。中学生くらいのサイズになっても、セルシスに合わせた湯舟だから……まだまだ手足を伸ばしても余裕があるくらい。
クルリの塩で髪や身体を洗うのはさっぱりしなくもないけど……そろそろ、シャンプーとか石鹸を使ってきれいにしたいところね?
とは言っても、この山の中でそれに代用できる素材があるかどうかなんだけど。
「ん~~。でも、お風呂は気持ちいいわ~~」
改めて美少女の身体を確認したけど。水鏡に移る裸体は、それはそれは魅力的な肉体になっていた。
発育も結構進んだのか、胸囲もまあまあふっくらしているし。手足もそれなりに長くて、シミやほくろひとつもない真っ白な肌が輝いているように見える。
抜群のプロポーションとまでは言えないけど、もう一回成長したら……その可能性は十分にあるわ。
普通なら、成長痛とかあってもおかしくないのに、にゅ~っと、伸びた感じなのよね?
一応人間じゃなくて、【宝石族】って人外だからかしら? そのせいで、チート特典みたいなのがあるのかもしれない。
「髪は……大人になれば、金色になるのかしら?」
ラピスラズリに混合している金属は『金』。それに反映する肉体の中の色に、まだそれが含まれていない。
となると、セルシスのように、銀と金を兼ね備えた色合いとは違うはず。
体力、魔力の質量は上がっても、まだまだ成長途中ということかもしれないわね?
「……そうね。まだ予想以上の出来事があるかもしれないもの。今は少しの変化があっただけでも嬉しいことよ」
ただ、この身体でも冒険者ギルドとかに行って身分証明書を発行するのは……まだ、難しいとは思うの。
セルシスの同行者くらいで、仮発行とかは出来たとしても……ちゃんと認められたわけじゃない。
というか、年齢詐欺しようとしているのに、実年齢だとふたりともすっごい子どもだものね? セルシスだって、まだたったの十二歳なんだから。
「これで、五歳……ってことだと、【宝石族】を利用する連中にとっては格好の獲物扱いになるわ」
それだから、追っ手とかも必死に探してくれていたでしょうけど……お父様たちには悪いが、今の生活から城の窮屈過ぎるそれに戻るなんて、まっぴらごめんだわ。
偏った食生活はしている自覚があっても、食べたいものを自分たちで作れる楽しさがある今の方が絶対にいい。
レシアムも、セルシスも。ザクロさんって仲間がいるから、完全にひとりではない。
ちゃんと、協力し合える仲間がいるから……心配しなくてもいいわ。セルシスはお父様に進言したでしょうけど……ここに来たことへの報告は多分忘れていたでしょうね?
私が逆でも、絶対に思ったはずだわ。あまりにも、ここでの生活は毎日が楽しいんですもの!!
「不釣り合いからの肉体成長。……不思議だけど、こんな感じにしっくりくるのね?」
身体が整うことで、内面と外見のバランスが取れていく。
今日一日、馴染むように動いてみただけでも実感出来たの。狩りでの魔法を行使したときも、幼女だったときよりスムーズに繰り出せたしね?
それだから、セルシスのように時間をかけて馴染ませていたよりは……転生者の私の方が順応が早いのかも。
「明日は、また調味料探しでもしようかしら?」
とりあえず、街に下りたりとかはせずに……もう少しこの身体の様子を見た方がいいかもしれない。
それと、セルシスの様子が少しおかしいから、そこも観察しなくちゃ。まさかだけど、外見がこんなにも変わったから……惚れたとかないわよね? 美少女レベルがアップしたことで、びっくりした程度が……今後も楽なんだけど。
のんびりバスタイムを満喫しながら、そこはちょっと真剣に見定めようと決めたわ。
次回はまた明日〜




