第54話 マヨのもどきを持ってこられ
『はぁい?』
調理途中で、いきなりザクロさんの登場。
ちょっとだけびっくりしたけど、手足のを使って何かを抱えていたの。
「ザクロさん、どーしたの??」
『面白い匂いがしたから、お土産持ってきたのよん。あーたたちには役に立つんじゃないかしらん?』
「なになに??」
抱えていたものを見せてくれたんだけど……ぱっと見はココナッツのような、硬い塊。
また不思議食材なのかしら? ちゃんとどんなものなのか聞かなくちゃね??
『マリンちゃん、料理するでしょう?』
「ええ、今もしているところだったわ」
『それに役立つものだと思うの。冒険者とかが、たまーに採取していく実なの。中身は変にどろっとしているんだけど』
シャ、ッと、ご自慢の脚で頭頂部を切ってくれたら。
そこがぱかっと割れて、中身が少し見えたわ。たしかに、どろっとしている様な……でも、酸っぱさも感じる香り??
「……これって」
指を入れて少しだけすくってみれば。
少し黄色っぽい白。液体でもほんのちょい粘度のある感触。
迷わず、パクッと口に入れれば……滑らかな舌触りと覚えのある味わいに『きゃー!』と思わず声を上げてしまう!!
『お気に召したようねん?』
『マリン? それ……ヨルドの実?』
「なにを舐めたんだ??」
「これ、マヨネーズだわ!!」
『あら、そんな呼び名が異世界ではあるのん?』
独特の酸味は程よくあるけど、なめらかな舌触りに濃厚な卵感のある味わいがたまらない!!
意外な不思議調味料が手に入ったからには!!
ザクロさんもいることだし、バーベキューには『あれ』を作ってみましょうか? リザーレで一からマヨネーズ作る手間が省けたんだから、タルタルソースくらいはちゃんと出来るもの!!
『「タルタルソース??」』
「リザーレの実の部分を殻ごとお湯で茹でて……」
だいたい固まったかをお湯のぶくぶく加減で見極め、殻を開けたらいい具合に固茹でになっていたから氷魔法で少し冷やす。包丁でそれをぐちゃぐちゃにしてから、塩胡椒をきつめに入れて……ヨルドの中身ことマヨネーズもどきをたっぷり入れて混ぜていく。
『あら、綺麗な感じね?』
「このまま味見もいいけど。鉄板の上で焼いた魚の切り身にかけると美味しいはずよ!!」
調理はセルシスとレシアムに頑張ってもらっていたので、両面が綺麗に焼けて生焼けがないのを菜箸で確認したら。
鉄板の上なので、豪快にダバーっと、タルタルソースをかけちゃう!
常温でもいいんだけど、軽くあっためたのも美味しいと思うの!!
『なんか美味しそうに見える』
「俺もそう思う」
『これで出来上がりなのん??』
「ええ! このままつつくようにして食べましょう?」
その方がバーベキューっぽくてワイルドだもの!!
私とセルシスはコテで切り分けたのを自分たちの前に。
ザクロさんは脚で器用に一切れ分持ち上げ、レシアムも魔法で同じようにしていた。
そして、出来立て熱々の食事を目の前にして、食べないわけにはいかない!!
いただきますをしてから、フォークに刺せるくらいに切り分けたのを……ちょっとだけ大口を開けてかぶりついたんだけど。
『『「「美味い!?」」』』
魚の方にも下味はちゃんとつけていたのにも関わらず。
即席のタルタルソースが切り身をコーティングしたことで、さっぱりしつつもまろやかな味わいで包み込んでくれていた!!
これは……もはや、立派な一品。ソテーにしても美味しすぎるわ!
大きな切り身一枚分で作ったけど。むしゃむしゃが止まらなくて、切り分けていったらあっという間にすっからかん。
人間サイズの私とセルシスは大きめの二つで満足出来たけど、他の二人はソースを舐める勢いで鉄板を綺麗にしてくれたわ……。
次回はまた明日〜




