第50話 改めて、ピクニック開始
ザクロさんが案内してくれたとこは、やっぱりあの湖のそばだった。
私が適当に証拠を消そうとした焚火の跡もあったし、そこの隣に別の焚火もあったわ。今はいなくなった追っ手が、ここを拠点にしていたのは間違いない。
だけど、レシアム先生が痕跡をかく乱してくれていたから……セルシス以外、誰も私のとこには辿り着けなかった。
んでさっき、ザクロさんが盛大に追い払ってくれたのよね? これで、一件落着って思ってもいいかもしれない。
私の前世知識と合わせてでも、Aランクって結構高難易のことだから討伐対象にするにしても簡単に倒せないはず。それこそ、高ランクの冒険者とか勇者クラスをさっさと派遣出来たらいいくらい。うちの城だと師匠たちレベルだけど……あの人たちが、ここまで来ることはないと思うわ。王命だったとしても、そんな魔物がうようよしてる森の中で、私とセルシスが生きている可能性が低いとか言うわ。
あくまで、仮定の話だけどね?
『ここよぉん。水浴びにときどき使うの~ん』
ザクロさんは私たちの事情を全部知っているわけじゃないから、気にせずに岸辺においでおいでと手招きしてきた。
「ここ。私が最初に使ってた拠点なのよね? レシアムも召喚しちゃったとこ」
『だね?』
「そうなのか?」
『あら、そうなのん? その焚火はあのよわっちぃ連中のだけじゃないのねん?』
「ええ」
ここ周辺を探していても、レシアムのかく乱作業でちっとも辿り着けないようにしてたんだから……賊とかはともかくとして、色々変なことしてないわよね?
うろうろ見てみたけど、特に変なものは見当たらなかったわ。
『大丈夫だよ、マリン。君やセルシスを連れ戻そうとする連中は、もういない』
レシアムが私の足元にすり寄ってきたから、そのあったかさに『うん』と頷くことにした。
とくれば、追っ手の心配はしばらくはゼロ。お父様に報告してどんな対応をするかは、想像することは出来なくもないが……撤退からの捜索打ち切りくらいにはなるかしら? ザクロさんの見た目、ぶっちゃけ怖い部類に入るのはたしかなことだし?
「じゃ、とりあえず。ピクニックにしましょう!」
『『賛成~~』』
難しいことは一旦考えるのをやめて、今日のメインイベントを実行しなくちゃ!
インベントリからお弁当を箱ごと取り出して、レジャーシート代わりにもらったばかりの
布を使わせてもらう。箱は草編みをセルシスといっしょに頑張って作ってみたの。フーリスの葉が大量にあるから、加工してみたのよね。
「はい。私たちが作ったお弁当~~」
ほとんど、種類の違うサンドイッチ。フーリス、リザーレの素材を活かしたものと。昨日の遅くに捕獲できたオークの肉を使って作ったポークステーキのサンドもどき。
パンは自信作だから、ザクロさんにもきっと気に入ってもらえると思うの。
『ま、素敵! 人間たちの食べ物をこの山の幸で再現したのん?』
「うん。レシアムに材料の場所を教えてもらって。セルシスもいっしょに、パンと具材を作ってみたの」
『まぁ、素敵~。ひとついただいていーい?』
「どうぞどうぞ~」
せっかくなので、オーク肉のを足に載せて渡してあげたら。口部分を開けると、まあぎっしり生えている牙の数にはちょっとびっくりしたわ。
でも、咀嚼する音は意外と普通で、もぐもぐって感じ。
『! んま! 味がしっかりとついているわ~。絶妙な味付け、これ、マリンちゃんたちが頑張った味なのね!!』
『クルリの塩と、ティルンの石綿だよ~』
『まぁ、あの綿たち? 味付けに使うとこんなにも美味しくなるのねぇ?』
と言ってから、ザクロさんは私の方を見てきた。こっちも食べようかどうしようかって悩んでいたけど、じっ、と見られるから味の感想だけじゃないような気がしたのよね?
「ザクロさん?」
『きれいなきれいなお嬢さん? あーた、ただの【宝石族】じゃないわよね? どー見ても、お姫様みたいなのに、なんでも出来るのはどーして?』
やっぱり、そこを突いてきたか……。セルシスたちに目配せしたけど、自分で決めていいような雰囲気で目線を寄越してくれた。
なら、隠しておく必要はないわね?
次回からまた明日〜




