第48話 揃ってピクニック
『あらぁ、ピクニックに誘ってくれるのん??』
翌日にザクロさんのところに行って、ピクニックのお誘いをしたの。乗り気なのか、たくさんある蜘蛛みたいな足をわらわらと動かしていたわ。
「ええ、そうなの。ピクニックご飯も作ってみたのよ」
『素敵ねん? あたしからは~、これあげるわ~』
と言って、また大量の布地になる貴重素材を差し出してくれた。さらさら艶々な質感のこれを……実質タダで? 今日のことは伝えていないのに、私たちが興味深い存在ってことで進呈してくれるのかな? どちらにしても、受け取らない理由にはならないわ!
「ありがとう~」
『さ。どこで食べるのん? 滝の側? 川?』
「特に決めてないわよね??」
「そうだな」
『ザクロはなにか案ある~?』
『あるわよん! 皆、浮遊魔法でついて来て~ん!!』
こっちこっち、と、ザクロさんは足を使って木の枝をひょいひょいと移動していく。あんな巨体を木の枝に負担なく移動出来るだなんて……失礼だけど、ゴリラ並みに大きいのに体重を分散させているのかしら??
とにかく、浮遊魔法と飛翔を合わせたのを使って、私たちは彼女のあとについていくしかない。
「ザクロさ~ん、そこっていいとこ~?」
『素敵なとこよん。マリンちゃんも、きっと気に入ると思うわぁ~』
「それは期待しちゃうわ~」
『しちゃってしちゃって~』
そう言われたら、期待しちゃうじゃないの! ピクニックで、ベストスポットと言えば……開けた草原とか? お花畑とか??
あと、水辺とか??
(水辺……最初のとこには向かってないと思うけど)
追っ手はまだこの近辺にいるのかいないのか。多分だけど、お父様の命令に従っている奴らが徘徊していないとは言い切れない。
横に来たセルシスとレシアムに、こっそり聞いてみることにしたわ。
「……このまま、ほかの連中に見つかることってある?」
『ん~。ちょっと奥に移動すれば大丈夫かもだけど』
「そろそろ。引き返すかどうかも決めかねているだろうが。俺とアルマリンが合流している可能性を見出されていれば……しぶとく、諦めていない方が高いな?」
「そうね。公爵家の嫡男がそう簡単にへこたれるわけないもの」
「……そう、だな」
お互い、自分のしがらみから抜け出したいためだけに城から出てきたんだもの。
私は、たった五年でも飽きたし、疲れ切っていた。
セルシスはその倍以上の年月を耐えてきたけど、同じようにしてこっち側について来てくれた。
その仲間を放っておくなんて、出来やしない。好意的な目でお互い見ているけど、そこにはまだ明確な感情とかはないから。
『あんらぁ? ちょっと、全員すとーっぷ』
誘導してくれていたザクロさんが、なにかを見つけたのかで静止するように呼び掛けてきた。
まさか、と、私とかが探査の魔法を繰り出してみると……少し先に、『人影』のようなものがヒットした。つまりは、追っ手か冒険者とかか。人数の多さからして、冒険者の可能性は低いのよね……。
「……あ~あ。もう、ここまで来てたの?」
「今なら気づかれずに引き返せるが……」
「そうね。ザクロさんがせっかく誘ってくれた場所でも、あいつら居ると色々面倒だもの?」
『あーたたちの追っ手さんねん? ちょ~っと、なんとかしてあげるわん』
と言って、私たちが出ないように注意してから、待つこと数分。
奥の方で『わー!?』とか『ぎゃー!!』って、男女入り混じった大声が聞こえてきたから。
ザクロさんが戻ってくるときに、もう一度魔法を使ったら……人影ひとつもいない、『まっさら』な状態で検索出来たのよね??
「あの、ザクロさん? なにしたの??」
『んふふ~。ちょぉっと、おどかす程度に怯えさせただけよん? あたし、こう見えて、一応Aランクの魔物なのよん』
「……レシアム? 知ってたの??」
『刺激を与えなきゃ、好意的に接してくれる個体なのは知ってたよ?』
ということは、余計な刺激を与えてたら……私とセルシスも無事じゃなかったってこと??
そうじゃなかったことにはほっとできたけど、あの人たちいい加減全員帰ってくれたのかしら??
次回はまた明日〜




