第47話 パン作りのリベンジ
甘味料が手に入ったけど、加減を間違えてはいけないもの。
こねる作業はセルシスをメインに、私は材料の配合を間違えないように慎重にボウルの中へと入れていく。
どれもこれもが『もどき』の食材ではあるけど。どれもが最高級に美味しい食材には間違いない。
まだまだこれからたくさん見つけていきたいし、作ってみたい料理もあるもの。そのうちのひとつ、主食としてこのパン作りがうまくいけば……ハンバーガーとかじゃなくても、おかずに見合った食事には立派な添え物となるに違いない。
手順は前回と同じく。
発酵だけは、甘味料も入れたから少し長めに放置。
すると、少しだけ前回よりもふっくらしているように見えたわ。
(……これを、分割して)
丸めて、またベンチタイム。
ある程度、発酵出来たんじゃないかと目で確認してから予熱していたオーブンへ。
今回は卵液は無しで。まず、素焼きのパンでうまくいくかどうかを確かめたかったから。
天板に載せたパンがふっくら膨らんだら、前後を入れ替えてもう少し焼く。すると、前回よりも香ばしくて甘い匂いがオーブンから漂ってきたわ。
「……出すぞ」
最後の取り出しはセルシスにお願いして、浮遊魔法でひょいっと調理台の上に置いてもらった。
見た感じは、丸パンの成功だと言っていい焼き加減だわ。
「問題は……」
『味、だね?』
乾燥と冷却を込めた魔法で少し時短してみると、しっとりした仕上がりになる。
三人で顔を合わせてから、それぞれ手にしたパンにかじりつく。
私は、口に入ったほのかな甘みと塩気に『成功!』という文字が頭の中に浮かんだわ!!
酵母とかは一切入れていないのに、粉の質がいいのかふんわりさっくりした仕上がり。
クルリの塩だけ入れたときは、しょっぱすぎて食べれたものじゃないと思ったのに……ピタパンとはまるで違う食感だわ!! 甘味料を入れただけで、立派なテーブルパンに仕上がっているんだもの。
これには、絶対スープとか合うに違いない。昨日食べ損ねたハンバーガーにも当然合うはずだわ!!
だけど、実行前にほかのふたりは完食しちゃってたからハンバーガーは少しお預けね?
「……美味かった」
『美味しい~~。材料ひとつでこんなに違うんだね~~』
お褒めの言葉は嬉しいけど!! 説明しなかった私も悪いけど!! まだ今日の晩御飯の分も食べないで欲しかったわ!!
「……美味しかったけど。今日のご飯どうするの?」
『「あ」』
「時間かかっていいなら、もう一回作る? 明日、ザクロさんとこにも持っていくから。その分も手伝ってくれるなら」
「手伝う」
『ぼくもティーテウの実取ってくる~~』
「じゃ、分担作業ね~」
テーブルパンが出来たのなら、次は食パンぽい型を作ってみようじゃないの。
ここには形状変化を得意とするセルシスがいるんだから、そこは頼るつもりよ。
「サンドイッチの、パンを作る型?」
「蓋も必要なんだけど、今回は山型につくってもいいわね? 切れ端が余ったら、ラスクにしても美味しいし」
「……それは菓子か?」
「お菓子ね。クッキーとかとは違うわ」
「興味深い……」
料理の虜になりかけているセルシスにとって、今の生活は充実しまくっている様子。
餌付けたつもりはなくても、ひな鳥が懐いているようで可愛いところもあるのよね? このワイルドイケメンがわんこに見えなくもないもの。
型が出来たら、今度はリザーレ抜きのパンを試作してみて、どの配合なら食パンになるかどうかを試行錯誤してみた。バターとか油があれば、また違うしっとり感が生まれるでしょうけど。代用品はまだ見つかっていない。
今ある材料で、どこまで再現するかも楽しいから……ついつい、熱が入っちゃったけど。
なんとか、それらしい仕上がりになったときはレシアムも帰ってきて、外も真っ暗になっていた。
次回はまた明日〜




