第46話 はちみつを探してみて
果物はシェルンの実があるけど、調味料じゃない。
とくれば、次に探すのはやっぱり砂糖とかそれに準ずる調味料……野生なら、『はちみつ』とか!!
「『はちみつ??』」
「っていう甘味料があるはずなのよ!」
ふたりには馴染みがないようだけど、レシアムはともかくセルシスは仕方がないかな?
とろっとした蜜の集合体。つまり、はちみつ。
花や樹液を蜂とかがたっぷり集めた蜜。
それがあれば、美味しいパンだけでなく甘味料としても十分に仕えると思うのよね?
セルシスが好んで飲んでる、ルイボス風味のリリンの実に合うかどうかは個人の好みによるからわかんないけど。私のコーヒーっぽいルルクの実に合うかどうかもわかんない。
牛乳もどきも見つかってないから、ハニーラテとか淹れれないのよね……あれはあれで、前世ではときどきコーヒーショップで買っていたわ。
ともあれ、はちみつ探しは急ぎたいわ。ザクロさんへのお礼のパンとかをちゃんと作りたいから!
『蜜……ね? 実の中に溜まっているのでもいいのかな?』
「まあ。そんな素敵な果実があるの??」
『単純に、甘いだけでもいいんだよね?』
「そうね。飲むよりは、調味料として使いたいから」
と、レシアム先生はなにかピンときたのか。首をぐいんと傾けた。
長く生きた精霊様でも、記憶の引き出しはたくさんあるから……少し時間はかかっても、思い当たるものはあったみたい。蜂との対決よりは穏便そうだから、果物収穫の方がお手軽だもの。
レシアム先生の案内でついていくと、拠点から一キロくらいかしら? それらしい果物が木の上に生っていたわ!
「……変わった形だな?」
「ね? ひょうたんみたい」
「ひょうたん?」
「水筒とかに使える果実だと思えばいいわ」
「そんな便利なのがあるのか?」
「この世界にあるかは別だけど」
セルシスも『変』と思うくらい、変わった形の果物っぽいものがあったの。私が言うように、それは『ひょうたん』に近い形。というか、洋ナシにも近いかしら? 色味は赤っぽくて、くびれがある不思議な形。
これの果汁がはちみつに近いくらい甘いのかな??
『えいやっ』
レシアムが魔法でひとつだけ収穫してくれたのを、セルシスは背が高いから受け止めてくれて。
私の前に持ってきてくれたんだけど……匂いだけじゃ、甘いかどうかはわかりにくい。
インベントリからサバイバルナイフを取り出し、上の部分だけを切ると中からとぷん、と甘い匂いのする果汁があふれてきた!!
「あま~い!!」
「強烈な匂いだな。だが、芳しい……」
「これよこれ! 砂糖水くらいに甘い香り!! 少し香ばしさもあるわね? レシアム、これなぁに?」
『ティーテウって実だよ。一部の精霊の好物なんだ。ここいらの管理している子たちにはちゃんと声掛けしてあるから、心配しなくていいよ?』
「……毎回思うけど。レシアムはそんなに偉い精霊様なのね?」
『ラピスラズリの精霊だからね!』
私と契約しているから、私とかセルシスはその恩恵に与かれるってことになるんだけど。
とにかく、ひと口舐めてみようとセルシスもいっしょにちょん、っと指につけて舐めてみた。
どろっとしてて、甘さもあるけど香ばしさもある不思議な甘さ。
私の記憶が正しければ、たしかに、ちょっといいはちみつと同じくらいの濃度と風味だわ!!
「……美味い、な」
セルシスも気に入るくらいだから、これは甘味料として大正解の収穫ね?
「これを使って、もう一度パン作りしてみましょう?」
いくつか持ち帰って、出来上がったパンに塗る用にも確保したら……次は、この果汁を入れたパンを試作しなくちゃ! 夕飯までまだ時間があるから、頑張るわよ!!
次回はまた明日〜




