第39話 どうしても、見つからない
姫が……我が娘が。
どうしても、見つからない。
(アルマリン……どこに!?)
精鋭部隊も手を尽くしたが、相変わらず魔術も空振りばかりだったと報告してきただけ。
同じく、捜査に加わったセルシスも同じように行方不明になったまま。
ふたりの遺体なども見当たらない。
それなら、ふたりがまだ生きている可能性はある。ただし、この国にいるかは大変怪しい線が出てきてしまった。
【宝石族】という、価値の高い奴隷。
かつての、記録によれば。宝石族は『身体すべてに価値のある素材』として、闇市場では売り買いされていたと記されていた。私は、アルマリンがそれに巻き込まれたのでは……と、報告が上がるまで記録を読み漁ったものだ。
「だが……まだ。まだ……諦めては、いかん」
最初に思いついた、『娘自身の計画によるもの』が、これで濃厚な線になってきたということ。
食事について、問題がないというのなら遺体が見つかならい証拠だと言えど……正直言って、それはあまりよろしくない。
害のないものを食べていたとしても、身体に蓄積すれば、宝石の加護が薄れてしまう可能性が高いはずだ。いのちである、寿命なども。
あの子がいなくなって、そろそろ半月くらい経つが、まだ間に合うだろうか……。
神官のひとりに尋ねても、戻ってきたとて、治癒が間に合うかは怪しいと言われたが。
それでも、私はあの子の親だ。
今まで、執務に明け暮れて、食事の席もまともに取ろうとしなかったことへの罰なのだろうか。
(愚かな……親が国王でも、見放したのか?)
贅を尽くしても、自由がない。
あの子くらい、聡い娘なら……幼子でも考えが定まっていれば、行き着くはず。
私とて、時折窮屈だと感じることだってある。それをあんな幼い時分から理解していたのか?
婚約者という『盾』を必要とせず、自分自身で生きたいという願望が強かったのだろうか。
そのために、勉学だけでなく、武や魔法にも積極的に学ぶ姿勢を見せていたのだとしたら。
私もだが、家族を見向きもしていなかった……ただひとり、疎外を受けていた子どもと同じだ。
大人ですら、その考えに行き着くのは遅いのに。たった五歳でそれを理解したというのか……??
「……ぁあ。マリン! アルマリン!! 無事で、いてくれ!!」
王妃である妻らにも、これ以上隠し立ては出来ない。幼い弟妹たちも、姉の姿がしばらくないことにぐずりが酷くなっていることは傍仕えらから聞いているが。
私だって、泣きたいくらいだ。
親として、子の気持ちを理解しようとしていなかっただけの……ただの、国主でしかない。
私たちの生活に不満を覚えていたのなら、きちんと告げてほしかったものの。アルマリンは、本当に聡い子どもだったから、『なにも言って来ない』ことの方が多かった。
得たいのは、勉学と武の才を秀でるものにしたかっただけ。
それを良しと答えたのも、たしかに私だ。責任は大いにあって当然。
だがしかし、それらを駆使しただけで……あんな大胆な計画を披露した。そして、生きる術を己で見出すために、旅に出てしまったとしたら。
そこに、セルシスを引き込んでも、婚約が成立しているかも怪しい。ふたりが共に歩んでいるにしても、外見と中身の成立が整わない。
アルマリンだけは。
「……もしくは。成長の段階が来たのを、自分で悟ったのか?」
それを見て、五歳でしかない子どもの婚約なんて成立しないだろうと踏んで、城の生活にも嫌気がさしたから逃げ出したのか。セルシスとはほとんど面識がなくても、気が合ったのなら共に居る可能性は高い。
だとしたら、捜索隊に追加の項目を含めて、新たに指示を飛ばした。
金の髪、蒼の瞳。
年頃は二十のうら若き女性。
精神との不釣り合いの場合、ほとんど共通する年齢の外見がそれだからだ。
頼む、親として謝罪させてほしいんだ。マリン!
次回はまた明日〜




