第37話 新登場食材は野生の小麦粉?
オークを狩ることも全然いいのだけど。
まだまだ『未知なる食材』を探す方が得策かもしれないと思ったの。
「ねぇ? お肉確保もいいけど。ほかの食材探しもしてみない?」
私がふたりにそう言えば、レシアムが『待ってました』と言わんばかりに尻尾をふりふりしたの。
『ここから少し離れたとこに、また面白いの探知したよ!』
「ほんと?」
さすがは、レシアム先生。ゴブリンと対決しながらも探査していただなんて器用すぎるわ。
ゴブリンの巣窟だった場所は、埋葬を全部終えてから去ることに。
ちょっとだけ疲れたから、身体強化などはせず、普通に徒歩でその場所に向かうことにした。
「……ほかの魔物の気配はないな? アルマリン、少し休まなくていいのか?」
「ありがと、セルシス。そこに着いてからでも全然いいわ」
セルシスだって疲れているはずなのに、探査をきちんとしているんだもの。感心するしかない。
探査の魔法。前世だと、アプリとかで店舗検索とかする感じかしら?
ふたりが出来るんだから、そんなに難しい魔法じゃないはず……と、まずは魔法の基礎基本である『イメージ展開』からやってみる。
術式の構築は魔力を軸にして、地面へ脈のようにして張り巡らせてみる。その途中に、『魔物』とかそれ以外のものがヒットしたら……多分だけど、探査の完了だと思う。
魔物のヒットが紫の点のようなものだったら、ほかは赤とか黄色が出てきた?? 黄色が山間の中でうろうろしているけど、こっちには来ない感じ。
(もしかして……追っ手? 賊?? どちらにしても、ここから遠い距離だけど)
いつか追い付いてきて、交戦する可能性は捨てきれない。
セルシスはともかく、レシアムは気づいてるはずだわ。だとしたら、なにかしらの妨害策を彼らに仕掛けているとすれば!
先に歩くレシアムを抱っこし、ぎゅっとしてから呟いてみた。
「……いろいろ、ありがと」
『? 何のこと?』
「今は、それでいいわ」
セルシスにもバレたら、色々面倒事を片付けようとするだろうし? 大人の外見でも、彼だってまだまだ子どもだ。私のように転生者じゃないし、時間をかけて対処してきた方法をそのまま試せるとは限らない。
彼との出会いも、レシアムが許可を出したから叶ったようなものか。婚約候補の地位を捨ててまで、私を友人として気に入ったのは本当なのはわかっている。
なら、この生活を今しばらく堪能するまでよ。
途中で、私の外見が成長しちゃって、『美女スタイル』になったら事情は変わるかもだけど。
それは、その時になったらなんとかすればいいもの?
『ほら、次はあそこ』
到着したところは、洞窟とかじゃなくて開けた原っぱのような場所。
だけど、同じ植物が群生しているのか。ルルクやリリンの実のような蔓草に自生するものじゃなくて……なんというか、綿毛?をイメージしやすいものが草の先端についてた。熟れた果実の中から覗いている感じね?
「これ、食べれるの?」
『このままだと無理だけど。たしか、人間とかでも『パン』をつくるのに粉として使ってたね?』
「粉……え? これ、小麦粉??」
「俺にも、そうは見えないな?」
『綿毛の部分を触ると、固体化するんだよ」
「「へぇ~~??」」
セルシスと感心しちゃった。とりあえず、一株の先端を触ってみると……たしかに、綿毛部分がぱらっ、として指に白い粉がついた。あんまり舐めたくはないけど、レシアムが『粉』というからには大丈夫と思って舐めてみる。
「……うん。この独特の粉っぽさ。薄力粉とかと同じね?」
「はくりき?」
「えーと、水とかを加えても粘り気が少ないことかしら?」
「曖昧なんだな?」
「私も料理経験、前世じゃそんな多くなかったもの?」
今の生活だって、キャンプで培ったものを多少活かせているだけだ。
とりあえず、綿毛を固体化させないように注意しながら収穫して。
拠点に帰宅したら、作ってみたいものがあるからと、フーリスの葉をまずはスライスすることにした。
次回はまた明日〜




