第35話 さすがにゴブリンはアウト
「……ダメでしょ?」
「……流石に、いかんな」
何がと問われれば、答えてあげましょう的な?
今日の罠にかかっていたのは、昨日のオークとは別格のモブキャラモンスターのひとつ。
腐臭が最悪の魔物のひとつ、『ゴブリン』だったのだ。やせ細っているし、キィキィ鳴いているだけで食べる気なんて起きないもの。
「放つ?」
「いや、逆に気になるな」
解放してあげようとしたら、セルシスがなにか違うことを考えていたのかで私の言葉を遮ったの。
それは、足元にいたレシアムも同じだったのか頷いていたわ。
『うんうん。ここいらにまでうろちょろしていたら……繁殖して群れをつくっているかもしれないね?』
「この辺が危険地帯になるかもってこと?」
「スタンピードではないだろうが。小規模であろうと、オークよりしぶといとも言われているしな?」
セルシスはそこんとこのお勉強は十二歳であっても、色々学んでいる途中だったのかもしれない。私の俄か異世界知識よりも、段違いに役立つからレシアム先生ともうまく会話が成り立っている。
とくればここはひとつ。
「ゴブリンの巣を見つけて、殲滅とか?」
「……オークが襲っていれば、そこは問題はないが。ないとは言い切れん」
『オークばかり引っかかるわけでもないし。このまま、ゴブリンばっかり罠にかかってもご飯食べれないしね?』
ということで、ゴブリン討伐への準備開始よ!
私は防具とかがないから、そこは形状変化の魔法を使うまで!! 普段は料理で大活躍しているコテを、『篭手』にしちゃうの。剣術よりも、合気道の方がどっちかというと得意だから!
罠にかかっていたゴブリンは……既に討伐して埋葬済みなので、場所を変えて罠は再稼働させているわ。
「魔力の探査で、ゴブリンの巣を探そう」
セルシスがそこを担当してくれることになり、討伐したゴブリンの血と魔力を媒介に『道』を作ってくれた。薄汚い青の光だけど、その『道』はちゃんと奥の方へと飛んでいく。歩いていくと時間がかかるから、三人そろって身体強化の魔法をかけてから駆け出す!
身軽だから私が一番速いので、先頭はセルシスが誘導も兼ねて担当。殿はレシアム。
「群れって、どれくらいいるのかしら?」
『だいたい、十~二十くらい。繫殖力は結構高いよ~』
「増やせるだけなら、近親婚もありって奴ね? 遺伝問題がないのは魔物だからかしら?」
『「いでん?」』
「血の濃さを尊ぶ思考があるのなら、異母兄弟の結婚も有りとされていたでしょう? けど、実際はよくないとされているの。身体も弱くなるし、病気にもなりやすいとか」
「……それは、異世界の知識か?」
「そうね。医療が発展しているから、わかった事項なの。……うちの王家ってどうだっけ?」
「『宝石』が強化されるための婚姻。そういう考え方はあったな……」
「あら。じゃあ、私たちってそのための組み合わせだったのかしら?」
「あくまで、候補としてだな。ラピスラズリとルチルクォーツの組み合わせの前例は少ないが」
「そう。じゃあ、まあ。大丈夫なのね?」
愛でる存在だと思っているセルシスとそんな関係に今後なるかどうかはわかんないけど。
もし、の、可能性はゼロではない。
レシアムは精霊だから論外だし。人外同士の結婚とか考えるなら、セルシスと婚約を結ぶのは仲間内でも自然なことだろうから。それをセルシスも考えているのか、少しの間お互い黙ったままだったけど。
「アルマリン。巣が近いようだ」
とりあえず、本題に切り替えることが先決だと思ったのか。単に、距離が近づいてきたのか。
一旦茂みに隠れると、覗き込んだら本当にうようよとゴブリンたちがいたわ。群れというか住処って感じで、『巣』が出来上がっている。ここからどんどん増えたら、私たちの拠点だって浸食されかねない。
とくれば、殲滅するしかないでしょう!! 種の根絶じゃないから、ここの群れをそうしても大丈夫なはずだし。
「……魔法で錯乱させてから、それぞれ突っ込む?」
『その方が無難?』
「……討伐経験がないのに、本当に大丈夫か?」
「それはセルシスも同じでしょう?」
「……なら、やるしかないか」
「そうね」
合図はレシアムが灯りの強力魔法を落としてから、開始となった。
それぞれ別れてから、私は……篭手を使って、同じ人外でもいのちを絶つ行為を初めてやってみた。ごきっ、と、首を折っただけだけど……腐臭もだけど、気味が悪い行為。
魔法の方が早いかしら?とも思ったけど、そこまで罪悪感がないのはオークの解体を先にしたせいかもね。
次回はまた明日〜




