第34話 モブキャラが高級肉に③
短時間だけど、熟成させたオークのブロック肉を牛刀でスライス。
形状変化って、慣れないと大変とかセルシスは言ってたけど。一応、『神童』扱いされてた私だからか、イメトレが楽ちんなので大丈夫だった。
レシアムの浮遊魔法で、焚火を介して熱した鉄板の上に乗せて焼き始め。上下をひっくり返すのはセルシスに分担。
だいたいの焼き加減でいいのは、今日までの生活で身についているし。美味しいものはちゃんと美味しく食べたいものね?
私は半分くらいカットをしたところで、お皿の準備。残って木材でも形状変化出来ないかなって、イメージをしながら魔力を込めたら……出来ちゃったのよね??
セルシス先生の教えによると、魔力操作がうまい場合は『出来るかもしれない』と言ってたの。で、焼き肉始める前にコップをイメージしたら……出来たわけ。
なので、大皿とかフォークとか。三人分だとそこそこ必要だから、足りないものをどんどん準備していくのよ!
「アルマリン。焼けたんだが」
「ありがと。お皿とかも出来たわ」
「貸してほしい」
トングとかはセルシスの形状変化させた棒で作ってあるから、そこは楽ちんなの。彼は彼で、外見の関係で大人たちに混じって生活していたから……私の知らない、【宝石族】の事情を少し以上は知っている。
それでも、まだまだ勉強不足の子どもと扱いは似たところがあったみたい。差別化していたわけでもないでしょうけど、精神との不釣り合いで成長する種族だから。そこは仕方がなかったみたい。
逆に、私のようなポジティブ思考にはなれなかったそう。なのに、今はそうじゃないのが少しおかしいくらい。
だって、どう見ても自主的な行動力高い人だから、インドア派には見えないもの。
「じゃ、スープと飲み物」
『お肉は焼けたから!』
「……いただこう」
「いただきまーす!!」
焚火を囲んでの、バーベキューパーティー。
食器も色々とそろったし、テーブル代わりにトレーは木材で作ったから大丈夫。落とさないように膝の上に乗せて、私は手を合わせた。
薄切りにしたオーク肉のカルビっぽい部位は、脂が焼けてきらきらしているように見えるの。熱々のそれを口に運べば、やわらかい肉質に加えてクルリの塩とティルンの胡椒で引き出した、肉本来の旨味が!!?
『「うま~い!!」』
「……美味、い」
たとえるなら、上質な三元豚のロース肉の様。
だけど、やわらかい感じから、ハーブを与えて育てたってことで前世で何回か食べたブランド豚にも負けない弾力が堪らない。とろん、と溶ける脂身の上質な味わいが塩胡椒の味付けでも文句なし!!
これのどこが毒??
モブキャラだけど、高級肉と言っていいくらいの味わいだわ!!
三人でそれぞれ、美味しい美味しいと言いながら、がつがつと食べ進めていくのも仕方がない。
『味付けして焼くと、こんなにも美味しいんだね!』
「フーリスは上品だが、こちらは野生っぽく感じる。しかし……やわらかで、食べやすい!?」
「おかわりいる人~?」
『「はい!!」』
「追加で焼くわよ~。もうこれは今食べるっきゃない!!」
「賛成だ!」
お腹を壊す危険性もない。
口に入れても特に吐き気を催すこともない。
ただただ、美味しい味を感じるだけ。ほっぺが落ちるような、あの独特の痛みはあるけど不快感はないの。
タレがあってもおいしいだろうけど。醤油のかわりや、薬味のにんにくとかないから自作は無理。
でも、クルリとティルンがあるだけでも全然違うわ!!
そこに、骨の出汁で作った卵スープが口の中をリセットしてくれる。鶏がらスープの素とかだと多かった経験はあるけど、とんこつ出汁風でそれを体験するとは思わなかったわ~。
「「……食べた食べた」」
『ねぇ~? すっごく美味しかった……』
三人で完食してしまった、あれだけの塊肉を。
ほとんど、セルシスたちの胃袋に入ったものだけど、私もそれなりに食べたわ。だから、お腹がはち切れそうなくらいよ。
「果実のお肉もいいけど。やっぱり、新鮮なお肉の方がいいわね……」
「畜産していたものより、段違いに美味かった。……魔物の肉が、こんなに美味いとは」
「解体にはちょっと手間取るけど……このあと、罠仕掛けに行く?」
「行く」
「即答ね?」
ということで、食材のひとつとして、魔物肉が加わることになったの。
次回はまた明日〜




