第30話 姫様が見つからない
何処だ……?
(どこなのですか、アルマリン王女殿下!!?)
陛下より勅命を受け、はや十日が過ぎようとしていた。
私以外にも精鋭隊の何名かが、姫様をお探ししているのだが……痕跡が『混線』していてうまく辿れないのだ。
それに巻き込まれたのかで、捜索に加わっているはずのルティアーク家のご子息とも合流が出来ず仕舞い。
(……やはり。賊が関わっているのか? むしろ、他国の存在か?)
考えても、それは捜索が遅れるだけなので、無闇に詮索するのはいけないとわかっていても。
こんなにも、姫様の気配が『混線』しているのは……何者かが姫様を帰す気がないということだ。
(野営地の跡から……どう探っても、辿り着けないようにさせられている)
至高の宝石、『ラピスラズリ』を司る姫様の気配は独特なものとされている。精鋭隊に関係する者でも、謁見の機会がないので気配を辿るのが今回が初でも……それなりに、強い気配なのは感じ取れた。
それは、ルティアークのご子息とて同じのはず。なのに、巻き込まれたのかでこちらと合流が出来ないでいる。
どうしたものか、と、山間を探しに探してもほかの痕跡がまったく見つからないのだ。これでは、城に戻っても意味がない。
「そちらは?」
「ダメだ。辿っても別のところに誘導される」
「こちらもよ」
一旦、ほかの精鋭隊と合流することは出来たけど。彼らも姫様の痕跡を混線させられているため、まったく見つからないらしい。
工作員、暗殺部隊としても優秀な我らを惑わすだなんて……アルマリン姫様を連れて、何がしたいのだろうか? わずか五歳で、神童と謳われるあの方を利用して……戦争でも起こすため?
領土拡大。
姫様の傀儡化。
嫌な予感しかしないが、それくらい起きてもおかしくないわ。我らを撒くことが出来る相手のすることに、悪意のないことなんて想像がつかないもの。
だとしたら、この痕跡をもっと精度を上げてひとつに収束する必要があるわね?
ほかの精鋭隊を集め、その中でもコントロールに長けた者らで魔力の波長を探らせたのだけど……。
「……だめだ。終着点のいくつかは、さきほど辿った場所と同じにさせられる」
「あなたほどの強者でも?」
「こんなこと、熟練の連中が関わっている可能性が濃密になってきたな……」
「そこに、ルティアーク家のご子息も巻き込まれた?」
「これは、俺たちだけじゃ難しいぞ。たしかに、食事を満足に取られていないことも考慮するが……姫様が何者かに利用されているのは確定だ」
「っ。……悔しいけど。陛下にご報告するしかないわね?」
「ああ。その方がいい。捜索隊ももっと増やした方がいいだろうな……」
数人程度の考察でも、こんな答えが導き出されるんだもの。
国同士の問題となれば、もっと大規模なものに発展してもおかしくはない。
戦争規模にまで発展してしまったら……姫様の命はさらに脅かされるものとなってしまう。そこまでさせてはいけない。しかし、何人かは残って捜索を続けるしかなかった。
私はそちら側に回ることにし、報告するメンバーも後ろ髪を引かれる思いでいたらしいが……今は急ぐしかないと、城に戻っていった。
(……姫様。どうか、ご無事でいらしてください)
食事も取られていらっしゃらないでしょうし……聖なるモノを口にしていないと、命を脅かされる王族の習わし。それが本当なら、相当衰弱されているはずだわ。この混線も、その証拠かもしれない。
慎重になって、捜索を再開するしかなかった。
次回はまた明日〜




