第29話 拠点製作のつづき、そして卵焼き風を堪能
腹ごしらえしたら、次は拠点の製作を頑張らなくちゃいけない。
まだ仕切りがあるだけの、山小屋とも言い難い出来だもの? 湯舟は私のインベントリに入れているから大丈夫だけど、さすがに一回一回取り出すのは面倒だから……少し離れに、風呂場を作ることにした。
もちろん、トイレも。
異世界のトイレって、何故か和式だからね? 木材しかないから、そこはセルシスも使いやすい方にしてみたの。処理については、川から水道を引いてくるような仕組みにして水洗トイレにしてみたわよ~? 畑作をする予定はいまのところないから、肥料にとっておく必要はないもの。
前世で家庭菜園くらいは経験あったけど、ほとんどじいちゃんたちの手伝いをした程度。本格的なことは自分じゃ出来ないわ。
逆に、魔物を捕獲して調理するのには挑戦してみたい。セルシスが言っていた、【宝石族】のデメリットが嘘か本当かを確かめたいのもあったしね? フーリスの葉も十分美味しいけど、もっと新鮮なお肉で色々調理してみたかったの。
とまあ、それはあとで実行するかどうかにして。
レシアムも魔力操作で建設作業を手伝ってくれたから、思った以上に設営が早く進んだわ!!
『「出来た!!」』
「……圧巻だな」
ぱっと見は、質素な山小屋風に仕立ててあるけど。
中はリビングダイニングに、調理場と各自の部屋。レシアムの部屋も一応用意してあげたの。ひとりだけないなんて寂しいだけでしょう?
風呂場とトイレは外。
今までのアウトドア用の調理場もそのままだけど……初心者の作成にしてはなかなかの出来栄えじゃない?
残った木材は、薪にして使うから一か所に固めてある。斧とかはないけど、私たちには魔法があるから問題なし!
「お疲れ様!! ご飯にしましょ?」
「そうだな。……少し腹が減った」
『ぼくも食べたい~』
「レパートリー増やしたいけど。セルシスに道具借りたいんだけど、いーい?」
「道具?」
「あの棒よ」
「あれか。構わないが」
調味料は塩と胡椒しかないけど。やれるだけやってみたいことがあるの。
リザーレを溶き卵にするところからよ? 器は木材のあまりをボウルに仕立てたものにして、その中でセルシスから借りたルチルクォーツの棒を菜箸代わりに使う。
とろとろと、黄身の色合いになったら調味料を混ぜて……鉄板の上で焼くの。この鉄板が室内でも使えるのが、安心感大ね? コンロのように窯を作るのは、セルシスとレシアムが担当してくれたの。
形状変化については、二人の方がベテランだったから。
私のなんて、材料があっても『形』しか作れないからアレンジが難しかったのよね?
焼くときには、コテを使って固まり切らないうちに、くるくると巻いていけば!!
「即席! 異世界風オムレツの完成!!」
まあ、ぶっちゃけ、オムレツというよりも『卵焼き』だけど!!
ヘラでカットして皿に盛り付けたら、さらに卵焼きにしか見えないわ!!
「具材もなし、のオムレツか?」
『不思議な巻き方だね?』
「出汁とか、醤油とかほしいけど。塩胡椒だけでもなんとかなるはずよ?」
まずは、味見……と、それぞれひょいぱくって、口に入れたら……。
「「はふ!?」」
『美味し~~!!』
固焼きの要領で焼いていないから、ふんわりしているのに所々とろとろしていて。
塩と胡椒の味わいが、弱くも強くもないからか……舌の上でほどける感覚が堪らない!!
これは、ひとり一本は欲しい仕上がりになったわ!!
「美味い。アルマリン、君は本当に料理が上手だな?」
「でもこれ、家庭料理なのよね? 凝った料理は、さすがに無理よ」
「そんなことはない。優しさが伝わるいいものだ」
「あら、ありがと」
お世辞抜きに、ワイルドイケメンが賛辞をくれるのは……悪くないわ。
むしろ、懐いてくれるからもっと喜ばせたくなっちゃう!!
となると、今後の材料の揃え方次第では……もっと、可愛い笑顔とか見れるのかしら?
(それは、純粋に見たい!)
外見は大人だけど、中身は結局好奇心旺盛な子どもだもの。おばちゃん的な気持ちになるけど、若い子の笑顔は大事よ? 自由奔放に生きていく私の友人になったんだから、張り切ってしまうわ~!!
とりあえず、リザーレの卵焼きは好評だったから、ひとり一本は食べることにしたの。あっという間になくなったから、しばらくこのレシピはリピート確定ね?
次回はまた明日〜




