表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら、【宝石族のお姫様】になってた??〜贅沢生活はごめんなので、のんびりスローライフさせてください〜  作者: 櫛田こころ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/31

第24話 幼くとも年上の女性

 みくびっていた、と言っていいのか。


 アルマリンは俺の予想していた以上に、年上の女性が持つ知性と気品を兼ね備えていた。


 汚れ仕事も厭わず、はじめての珍味も積極的に食べてみるなど……王家で育ったというのに、まるでベテランの冒険者のようだ。


 外見はたったの五歳なのに、幼い見た目以外は十二の俺どころかもっと上だろう。


 異世界からの転生してきた者は、皆こんな感じなのだろうか? 今のところ、彼女しかそんな存在は確認できていないが。



「ん~。おいし、この果汁」



 そして今、俺がさっき咳き込んで飲めないと断言したルルクの果汁を……シェルンの実の果汁と同じように、美味そうに飲んでいるのがまだ信じられない。


 今は、俺でも飲める『なにか』を探す途中だが。休憩するたびに、黒い液体を飲み干す様子が……『大人』なんだと俺の中で再認識してしまうのが、なぜか悔しかった。


 年齢の関係で、たしかに俺も酒は嗜むことを許されていないのだが……茶に近い飲み物で、あんなにも笑顔になれるものなのかがよくわからない。


 苦いんだぞ?


 薬品かと、俺が思ったくらいなのに??


 なのに、アルマリンは全然平気で何回も口にしている。……これが、本当に精神の不釣り合いの差じゃない生き方をしてきた者の、嗜好品なのか。順応すれば、この方は酒でも平気で飲めそうな気がするな……。



「……そんなに飲んで、腹を壊さないか?」

「だって、五年ぶりのコーヒーよ? がぶ飲みし過ぎると眠れなくなるけど、まだ昼間だし?」

「そんな効能が?」

「味がそっくりだけど……レシアム、合ってる?」

『ううん。普通に苦いだけの果汁』

「じゃ、お花摘みの注意だけね?」



 と言って、くいーっと煽る仕草は……少しばかり、勇ましいな?


 ともあれ、俺の飲める果汁とやらはどこにあるのだろうか。


 レシアムが言うには、対となる果実が近くにあるだろうと、かれこれ四半刻くらいは探していても見つからない。別の精霊様の加護のせいか、なにが原因なのかはわからないが……俺もいい加減、ちゃんとした飲み物が欲しかった。水魔法の清潔な水だけでは、たしかに味気ないしな?



『うーん。少し距離があるけど、マリンに借りた茶葉の匂いに近いのを感じる』



 探索を再開して割とすぐに、レシアムがそんなことを言ってくれた。


 紅茶に似た果汁。それがあれば、俺の嗜好品も増えることになる。少し、やる気が出てくると、アルマリンから笑い声が聞こえてきた。



「セルシス、嬉しそうね?」



 くすくす笑っているだけなのに、外見は本当に五歳児のままなのに。


 なんだか、母上や姉上に宥められたときのような、やわらかな雰囲気を感じ取れた。一瞬だけ、彼女の魔力を感知した時とは違う、鼓動の高鳴りを覚えたがすぐに落ち着いた。


 なので、紡ぐ言葉も慎重に変えていく。



「当り前だろう。君だけ喉を潤すのはずるい」

「ふふ。慣れれば、セルシスでも飲めると思うんだけど」

「いや、いい。君が独り占めしても構わない」

「あら、そう?」



 ほら、それだ。


 何気ない言葉の返し方。


 それこそが、肉体と不釣り合い過ぎて、俺にはひとりの女性にしか見えなくなってきている。


 あとどのくらいで、この少女の姿から変化してしまうのか。


 単独での捜索前から思っていたように、興味以上の感情を覚えるのか……不安がないわけではないが、他所の男どもにやりたくない気持ちが強くなっていく。


 七つくらい俺が上でも、中身は逆転しているのが少し悔しい。


 見返してやりたくても、彼女自身の前世とやらが宿っていなかったら、こんな新鮮な生活をすることもなかった。


 俺は……つくづく実感するしかない。自分が、レシアムが言うように、まだまだ経験の浅い子どもなのだと。



(完敗を認めたくないが……何をしても敵わないだろう)



 そればかりは、今のところ、認めるしかないのだった。

次回はまた明日〜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ