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転生したら、【宝石族のお姫様】になってた??〜贅沢生活はごめんなので、のんびりスローライフさせてください〜  作者: 櫛田こころ


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第20話 その願いはたしかに

 姫……アルマリンの押し切りにより、俺は先に『風呂』に入ることになった。


 ただ、ひとりではない。彼女が司る『宝石本体』とも言える精霊御大、と、だ。


 外見は犬猫のような弱い精霊に見えるが、実際は至高の宝石が一柱『ラピスラズリ』。


 【宝石族】の中で、久しく生まれることになったその宝石を司る幼子。


 その彼女が、結界をつくるのに石を使用したことで召喚が可能となってしまった。


 『レシアム』と個体名がつくのだから、弱小の精霊などではない。これが仮の姿だとしても、瞳を介して伝わってくる魔力は神秘的で膨大だ。



『湯は汚してもいいけど。石鹸とかってあったりする??』

「……ない、な」



 アルマリンを捜索して、王城へ連れ戻すつもりだったときはまだしも。


 同行を願い、ともに生活することを考えている今では、身体の清潔については魔法に頼り切りでいた。わずかだが、人間の血を引いているので汗やらなんやらは出たりするが。卓越した魔法があることで、いくらか便利な生活をしているのが【宝石族】。


 俺も実家の屋敷では、身を清めるのに執事らが世話してくれたが……自分で好き勝手に風呂に入るなんて、実際のところはじめてだ。だが、悪い気はしない。


 そんなことを考えていると、レシアムが自分のインベントリからなにかを取り出した。……砂粒ではないが、白くて粗い粉にも見えたが。



『石の浄化には塩が適しているからね。これは、滝つぼ裏で見つけたクルリの塩なんだ。これで身体とか頭を洗うといいよ』

「……塩?」

『浄化の塩とかあるじゃない。魔法で満ちたものとは違うけど……これは、別格』



 と言って、自分の前足を使い、毛に刷り込むようにしていく。


 俺も衣服は脱いでいたので、男の前ならと不浄な個所も似たようにして刷り込んでいく。少し痛いが、こすれていくたびに疲れが取れていくような気がした? 気のせいだろうか。



「……身体の疲れが、取れていく?」

『僕らは基本的に『石』だからね。浄化の力を宿すものとは相性いいんだよ。あ、でもそのままだといけないから、湯で流そうか?』



 薄めの結界の中で湯をまとい、その湯自体を消去。


 あとは、アルマリンと作った湯舟の中に、レシアムといっしょに『浸かる』ことにした。丸くてでかい桶にしか見えないが、俺の手足のサイズを考慮して作ったせいか意外と窮屈じゃない。


 それに、適度な温もりの湯を感じると、『はぁ……』と息を吐くことが出来た。



「……気持ちがいいな?」

『ねぇ~? 石は水の中が好きだから、お湯がこんなに気持ちいいのはじめて~』

「精霊様は経験がなかったのか?」

『うん。基本的に狭間で生活してたから、汚れないし~?』



 完全にひとりではないものの、ゆったりと入れる湯がこんなにも気持ちの良いものだとは思ってもいなかった。


 アルマリンも、それだけ、王城ではのんびり出来なかったのだろう。むしろ、子どもの也をしているから一大事が起きたら大変で済まないからな……。



「……そばに、いてもいいのか」

『ん~?』



 つい、ぽろっと口からひとり言が出てしまった。それを至近距離にいるレシアムが聞き逃すわけがない。湯で濡れて面白い形態になっているのに笑いそうになったが、話はちゃんと聞いてもらうことにした。



「押しかけたようなものだろう? 外見はこれだし、今更だが迷惑ではないかと……思ったんだ」



 実際年齢はたったの十二。


 外見と中身は、それなりの大人のつもりではいたものの。


 アルマリンは、ただ外見が五歳どころではない。神童以上に、前世の記憶を持っている……俺なんかより、ちゃんとした大人の思考を持っている女性だ。少し精神が不釣り合い程度で、こんなにも色々としっかりした考え方が出来るわけがない。


 【宝石族】なのは間違いないし、そう時間もかからず、身体の方も成長するだろう。そのとき、どの年代の女性になってしまうのか。


 そこそこ外見が整っている程度の、候補でしかなかった婚約者の俺でいいのか。


 興味から、の懇願ではあったものの。アルマリンの側にいたいのは……まだ一日程度だが、本当だ。邪魔にならなければ、傍にいたい。隣にならびたいなどと、無関心だったときの俺ではなかったから……焦っていたりもする。



『いいんじゃない? 成長したって、君もマリンもぼくにとってはまだまだ子どもだし』



 だが、俺の気持ちを聞いてくれても、レシアムは笑うことなくただ『子ども』だと断定するだけだった。



「……結局は、でもか?」

『不釣り合いからの成長は、『石の進化』と同じ意味合い。千年以上も生きているわけじゃないんだし、君たちはまだ小粒の石と同じさ。気にしなくてもいいと思うよ?』

「……レシアムは、そんなにも生きているのか?」

『そりゃ、君たちにとっての精霊様だしね? かなり長生きしてるよ?』

「……子ども、か」



 アルマリンの中身が確実に大人であっても、彼にとっては子ども。俺も子ども扱いされるのなんて、成長する前はともかく最近はほとんどなかった。


 そのことが嬉しく、しばらくレシアムと語っていたのだが……湯当たりしてしまったようで、なんとか服を着たあとに、毛布の上で寝そべった。


 熱いはずの毛布が冷たく感じ、そのまま眠気がやってきたため……レシアムはそっとしておいてくれたのか、アルマリンを入らせてやるのに向こう側へと行ってしまった。

次回はまた明日〜

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