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転生したら、【宝石族のお姫様】になってた??〜贅沢生活はごめんなので、のんびりスローライフさせてください〜  作者: 櫛田こころ


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第2話 寝床確保

 ブーストで加速しまくり、出来るだけ城から離れた山中に逃げ込む。


 これが特に大事よ? 屈折魔法で姿は見えにくいようにしていても、まだまだ油断は出来ない。追っ手がいないとも言い切れないし、私の計画が完璧とも言い切れないもの。



「よっし! ここなら大丈夫かな?」



 空にはまん丸お月様。だけど、衛星でもあるのかで五個くらい小さい月もあるのよね……流石、異世界。


 あと、水場確保のために小さいけど池っぽいところをキャンプベースにしなくちゃ。道具は収納魔法って、ゲームとかのインベントリみたいなのがあるから、今日までのために色々用意して収納してきたの。


 私独自の亜空間をイメージして、どこでも出せるその魔法の『扉』を開く。


 音はしないが、手を差し込めば欲しいものが出てくる。まずは、厚手の毛布二枚。身体強化の魔法を自分にかけて、子どもの腕力でも広げることが出来るのよね? 魔法って、ほんと便利。


 簡単に毛布で寝袋っぽく形を整えて、薪代わりの小枝を集めたら……焚火を。


 これだけで、ぐっとキャンプ初心者っぽい雰囲気を味わえるわ~。転生して、約五年。シミュレーションしながら、幾度この機会を待ち望んでいたことか。お城の生活って、授業とかマナーレッスンももちろんだけど……お茶を飲むタイミングすらも管理されてたんだもの!! 飲み物くらい、ほしいときに自分で淹れれないのはほんとムカついたわ!!



「でも、今日から堅苦しい生活ともお別れ!!」



 苦労がないわけじゃないことくらい、ちゃんとわかっているわ。アウトドアには危険いっぱいなことも理解はしている。ましてや、ここは日本じゃなくて異世界。ただの山中以上に危ないことは重々承知。


 通常の猛獣以外に、魔物とかも出るらしいもの。だから、五歳になるまで武術も鍛えるだけ鍛えて、近衛騎士団長から指導してもらえるくらいには強くなったと思う。


 そんな彼にも鍛えてもらった理由が『スローライフ』のためだと思ってもいなかったでしょうね? ごめんなさい、師匠。


 収納魔法からステンレス製に似たヤカンとカップを取り出し、池の水を煮沸している間にお茶の準備をする。前世はともかく、こっちで淹れるのは初めてだけど……うまくいくかしら? なにせ、ちみっちゃい幼児の手だもの。


 やけどしないように、氷魔法の防御はしてみたわ。なんとも感じないから、そこは大丈夫みたい。


 メイド長の目を盗んで失敬してきた紅茶を淹れて……ひと口飲んでみる。彼女たちほどうまくは淹れれていないけど、アウトドア最初のミッションとしては上出来じゃない? お茶っぱが沈んでいるから、食べないように注意しなくちゃだけど。



「はぁ……生き返った気持ち」



 ずず、っと紅茶を飲みながら今後の予定を立ててみる。まず、街に出る前に服装はここで着替えればいい。手縫いでこっそり仕立てておいた、町娘風のワンピースは数枚くらいあるもの。あと下着も。


 それを魔法でお着換え~にしちゃえば、わざわざ全裸になる必要もない。これだから、魔法に特化した人外転生はチート過ぎるのよね?



(食料調達くらいはしたいけど……街で買い出しするにも、この年齢だと怪しいと思われるだろうし?)



 もうちょっと、成長する年齢になればそこは解決できる。私の『宝石族』という種族は一定の年齢と精神が釣り合う時期がくると、年相応以上の『成長期』が来るらしい。つまり、外見年齢が一気に成長するタイミングが個人差によって違うそうなの。


 蓄積された魔力。


 司る宝石の恩恵。


 私の場合は、最高の守護石とも言われえている『ラピスラズリ』がそれだけど。


 髪が金髪じゃなくて、銀髪なのはその恩恵を受ける成長期が整っていないとかなんとか医師のおじいちゃんから言われているのよね? 彼くらいでも、まだ百年しか生きていないとか言うから驚きよ。


 宝石族は基本的に精霊族なので、魔力が枯渇しない限り死を迎えない種族。


 不老でないのは、人間のように成長期がある特殊な種族だから。恩恵を受ける宝石も、永久に不滅でないのと同じ意味合いがあるらしい。細かいところは、まだ勉強中だったけど……今は、どうでもいい。


 何が言いたいかというと、この精神年齢と外見が不釣り合いの今なら……中学生か高校生くらいの成長期が来てもおかしくないってこと!! 今日明日じゃないのはわかっているから、そこは我慢しなくちゃ。


 まずは、今日ここで寝るってことを決めたから……魔物避けの結界くらいはちゃんと張らなきゃね? 結界用の宝石は、私の血から精製されたラピスラズリの欠片があるから大丈夫。


 本来なら、自分の魔力精製で血の中から抜き取るんだけど……面倒だから、こっそり縫い針で指を刺したら、ぽろぽろ出てきたのよね? これも、メイド長には内緒で実行した。



「よーし、もう寝るか~」



 焚火は一旦消して、残っていた紅茶を煽ったら毛布の中に潜る。そのとき、さっきまでなかった『何か』が入っていることに気づいた。追っ手にしては……非常に小さいなにかが。



「んー?」



 ぺろん、と毛布を捲ると。もこもこした何かがうずくまっている。そーっと、触ってみると『みぅ!』と声を上げたの。魔物にしては、変な鳴き声だわ?

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