第15話 美味しいものは美味しい!
「美味い!? 信じられないくらいに!!」
新メンバー、セルシス君を加えてのお昼ご飯。
レシアムと獲った魚をクルリの塩で焼いただけなんだけど……聖なるモノを扱っていない食事なのに、セルシス君は嫌がることなくかぶりついてくれた。外見は二十代でも、中身はまだ少しこどもっぽい部分が残っているのかでたべっぷりが豪快。
成長し過ぎた子どもとも見えなくないのは、私自身は前世の記憶があるんで精神面もちゃんと育っているせいね? と言っても、食欲がすごいのは男女関係ないし? 今はまだ打ち明けていないから、自分だけしかないフォークとナイフで丁寧に食べているけど。
「ほんと、いい塩加減で美味しい。自然の恵みの方が、お城のご飯より何倍も美味しいわ~」
「姫、本当にはじめての調理ですか? とても美味です」
「……アルマリン。友人になるなら、名前で呼んで? もう王女に戻るつもりないもの」
「……もう少し、砕けても?」
「いいわよ? 私の方こそ、最初からこうじゃない?」
「……だとしたら、俺も。……いい、のか?」
うっわ!! 丁寧口調から、がらっと変わったタメ口調の破壊力すっごい!!
声変わりした男の子の声だから……余計に低音ボイスは腰にきますなぁ。外見五歳児でそんな悶えた姿見せたら、変人でしかないので我慢するけど。
でもまあ、話し易い関係になれるのは悪い気がしないので、私も『君』付けはやめておこう。まだ一度も呼んではないけど。
「ええ。セルシスは結構紳士なのね?」
『公爵家の嫡男だから、マリンくらいしがらみに縛られていたんじゃない?』
「……レシアム、様にも?」
『ぼくもいいよ?』
「それなら……。淑女とやらへの扱いには慣れていないが、アルマリンたちに敬意を示すのは自然と出来ている気がする。無理はしていない」
「そうなの?」
王女とか、婚約者だから……って、理由で追ってきたわけじゃないのは本当みたい。
同じ【宝石族】の中でも異端児扱いだったから……窮屈な生活に飽き飽きしていたのかも。それで、私が行動を起こしたんで、便乗したかったのかしら? にしては、自分勝手な意見は押し付けてこない。
木の枝に刺したままの、魚の串焼きを豪快にかじりつき……咀嚼する様子は、ドラマのワンシーンになるくらい絵になるわね? これで、十二歳なのが本当にわかんない。私の身体が成長したら並んでもおかしくないかな?
とにかく、もうちょっと食事を続けてから今後のことについて話し合うことにした。
『ぼくとマリンは、マリンの身体がいつ成長してもおかしくないから。しばらくはこの辺を拠点にしてたんだけど。セルシスは、魔力の残滓をどこから追ってきたの?』
「湖畔の方からだ。俺が休んだときに、探査をかけたら感じ取れた」
「あっちゃ~。ただ岩乗せただけじゃダメだったか~」
「普通はそう思わない。ただ、俺がルチルクォーツを司る一族だから、探索に長けているだけだ。ここに来る途中も、いくつか辿ってきたんだ」
『マリンの詰めが甘いわけじゃないと思うよ? 興味を持ったのなら、それを突き詰めただけなんじゃない?』
「ああ」
「そうね? そこはもう反省しても意味ないから、やめるわ。……この拠点、一旦捨てる?」
「何故だ?」
「いや……私は五歳だけど、中身はあなたくらいはあるし。一応、レディと同室で寝ること出来る??」
「……それは、失礼だな」
『ぼくもそれは賛成。ここは中継地点にしておいて、別の場所で建て直そうよ。滝つぼに近いとこがいいかもしれない』
「そうしましょう!」
食事の後片付けだけしっかりしてから、まずは候補地をいくつかピックアップしなくちゃいけない。
それはレシアムが担当してくれたので、私とセルシスはどこにどんな拠点を作るか話し合うことにしたが。
何故か、目線を合わせてくるのでドキドキが止まらないのよ~~!!? レシアムを囲うようにしているから、膝ついてくれてるんだけど……吐息が近い!? 子どもの距離感よね!? 誰か、そうだと言って!!
思春期の男の子と交流したことなんて、前世の学生時代でもほとんどしたことないのよ!!?
次回はまた明日〜




