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転生したら、【宝石族のお姫様】になってた??〜贅沢生活はごめんなので、のんびりスローライフさせてください〜  作者: 櫛田こころ


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第13話 合流できた、が

 幼いが、透き通った声だと思った。


 やはり、まだ肉体の成長はしていない感じだったが……この拠点らしき、建物は奇怪過ぎる。


 書物なんかに出てくるような、山小屋にしてはおかしな形態をしているからだ。


 皮を剥いだ丸太のようなものが、交互に積み重なっているし……四角というよりは、丸い壁だ。


 天井部分は煙突がない代わりに、空いてて煙を逃がす役目を担っていた。


 そして、取ってつけたように作った扉は一応ある。幼児サイズなので、俺だと入るのに一苦労しそうな大きさだ。


 しかし、ここ以外に姫の居場所はない。


 というか、痕跡を辿った先にあったのだから、まず間違いない。それに、膨大な魔力に満ちた空間を俺とかが間違えようがないのだ。同じ系統ではあるものの、守護石としては最強種のラピスラズリの軌跡が惜しみなくあるのだから。



(……どう、声をかけていいんだ?)



 つい、ノックをしてしまったが。俺と姫はほぼ初対面。


 本当なら、四日前の婚約パーティーのときに対面予定ではあったが……姫が出奔してしまったために、目通ししいていないのだ。俺とて、緊張しないわけがない。


 第一印象が、まず大事だ。身体は大人であっても、俺もまだ子ども。


 レディの扱いは……正直言って、不慣れでもマナー程度くらいは覚えてはいる。


 そのくだりで、なんとかするしかないか。



「……誰なの? 返事がなければ、こっちから退去するようにお願いするわよ?」



 五歳児の考える言葉か? 本当に、鬼才とも言える神童なのはまず間違いない。


 下手に偽るよりも、ここは正直に言って対面していいか尋ねるしかないか……。


 だが、扉を開けていいのかまでは悩んだので、仕方なく外から声をかけるだけにした。



「……大変申し訳ございません。自分は、レーデンブルクの者です。セルシス=ルティアークと申します」

「ルティアーク?? え?? ルチルクォーツを司る公爵家の??」

「……の、長男ですと言えばお分かりでしょうか? アルマリン王女殿下」

「……帰って」



 この言葉が出たあたり、やはりあの痕跡は自分で残してきたものか。魔力の残滓をそれなりに偽装してまで。


 なのに、追っ手と思われる俺が追い付いてきたけれど、聞く耳を持たずに退去を願うのみ。


 とは言え、俺もレーデンブルクに帰るつもりはさらさらないんだがな??



「お断りします」

「……なぜ?」

「貴女様を連れ戻しに来たわけではないからです」

「……嘘。お父様に無理やり探すように言われたのでしょう?」

「では、少し言葉を砕きます。……俺が、貴女とごいっしょしたいとこの数日で望んだからですが」

「……は??」



 さすがに、この返事には驚いたのかで……扉がきぃっ、と、音を立てて開いた。


 眩しいくらいの、銀の長い髪。


 背丈は本当に俺の腰くらいしかないが、彼女の髪は自分の足元まで伸びていた。手入れが行き届いていて艶々としている。触りたくなるが、そこは我慢。


 顔立ちは大きな蒼の瞳を丸くさせながらも、俺をじーっと見上げている視線を外さない。


 予想以上に、俺の外見が大人なのに驚いているからだろう。声変わりもきちんとしたから、たしかに自分の婚約者としては『見た目だけ』なら不釣り合い。


 ただし、年齢差だけ言えば、王族の守護にもなるため……そこまで不釣り合いではないはず。俺の勝手な願いだが。



(……想像以上に、愛らしいな?)



 幼子特有の、少し丸い感じの体型だが顔立ちは既に整い始めている。


 あの言葉を口にしたのなら、たしかに精神面は年齢以上に利発だ。俺を観察しているところを見ると、先ほどの言葉が虚偽かどうかを見つめ合うことで確かめているかもしれない。下手に口ごたえして喚く子どもより、よっぽど賢い。


 この幼子が、外見だけだと成人している『俺』と並ぶなら……どんな『女』になるか、やはり実物に会うと非常に気になってしまう。得る得られないはともかくとして、旅の仲間に加えてもらえるかが……まだわからないからだ。



「……セルシス、って言ったわね?」

「ええ」



 俺の名を呼んでくれたことに、少し歓喜が湧き出そうになったが表情に出ないように気を引き締めた。


 なんなら、と目線を合わせるのに跪坐をとったらさらに驚かれたが。



「……本当に、私の婚約者なの? 歳の差すごいんだけど」

「それは、貴女も身に覚えがないでしょうか? 『中』と『外』の不釣り合いさに」

「……ってことは。まだ、子ども?」

「それでも、十二ですが」

「…………成長詐欺?」

「くっ。面白いことをおっしゃいますね?」



 喉だけでも、笑ったなどと久しぶりだ。


 家族の前でもすまし顔でいる俺なのに、たった数回の言葉のやりとりだけでこんなにも感情が出てしまうとは……やはり、あの魔力を感知したときの感動は、幼子のときに出会った頃のままなのだろう。


 しかし、ここからが本番のようだ。


 扉の端に見える、毛の塊のようなもの。


 よく見ると、姫と同じ蒼の目をしている聖獣か何かに見えたが……威圧から察するに、それ以上の『存在』を感じたのだ。


 姫にもまだ中に入る許可をもらえていないし、この姿勢も少し辛いが……認めてもらえるまでは、もう少し我慢することにした。

次回はまた明日〜

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