第116話 素敵笑顔と……
いきなりの笑顔に、ときめきが止まらない。
なんでこんなにも?と思うのは、間接的とは言え告白されたから?
ううん、それだけじゃないと思うの。
さっき気づいたばかりだけど……自分自身の気持ちが大きいんだと思うわ。
最初は外見が好みくらいでしか、意識はしてなかったけど。
無表情に見えて、実は内面の感情が豊かなとことか。
好き嫌いははっきりしているけど、苦手なことにも色々挑戦する好奇心なとことか。
今考え直してみると、あげたらキリがないかもしれない。それくらい、きっかけはなんであれ同居を許したくらいなのよ? 一目惚れであってもおかしくないはず。自分の気持ちには鈍感ってよく聞くけど、本当にその通りね。
「……セルシス」
たった四文字。その名前に慈しみの感情を込めて呼ぶなんて、思ってもみなかったわ。恋のパワーって、実感してからわかったけど本当に凄いのね?
「アルマリン……正直に言わせてくれ」
跪坐ではなく、騎士のように跪いてくれた。そして、無防備だった私の左手を取り、両の手で包み込んでくれたの。その手の温かさに、もっとずっと胸の奥から熱いものが溢れてくるような感覚があった。ときめき以上の、何かかもしれない。
「最初は、興味からだった。君だとはっきりわかっていなくても、あの脱出劇に興味を持ったからなんだ」
たしかに、あの脱出劇は……やり過ぎなくらいだったけど。
でも、それに気づいたのは、多分目の前の彼だけだった。だから、興味が湧いて『私』を探し出そうとしてくれた。婚約者候補としてでなく、純粋にただのひとりとして。
「でも、君と対面出来たとき……幼い君であっても、気持ちは既に固まっていたと思う」
「……失礼だけど。幼女趣味ないわよね?」
「はは。たしかに、今とはかけ離れているが……幼いながらも、美しさには既に惹かれていただろう。外見よりも、内側に」
美少女なのは今も変わりないけど。内面に惹かれていたのは、彼も同じだった。
性格がにじみ出るとかよく聞くけど、あの時だけでもセルシスにとっては充分過ぎるほどだった。
私も、今のセルシスだから……それは同じかもしれない。出会ってすぐは『わぁ、かっこいい~』くらいのミーハーでしかなかったし? 今は今で、内面をちゃんと知っているからそれだけじゃないこともちゃんと理解している。
「……今の、方がいいの?」
「きっかけ、としては」
「きっかけ?」
「ザクロが君の髪を色々いじっていただろう? あの変化に……ただでさえ惹かれていたのに、煽られてしまったのは無理もない」
「そ、そう?」
ヘアアレンジしてただけなのに、ドツボにハマっていたらしい。ちょっとした変化があっただけなのに、男の人って変化に目ざといのね? それが好きな相手だから??
「だから、改めて申し込みしたい。君の側で護らせてもらえる存在として。出来れば……一番の男として」
「どう、して?」
「……好きだからだ」
ちょっと、キャパオーバーになりかけていたからおかしな言い回しになりかけていたけど。その言葉に、セルシスはちゃんと『答え』をくれた。
色々あったけど。結果としては、『私』に恋愛感情を持っていたことを。
申し込みも、もちろんびっくりしたけど……嬉しかったわ。物すっごく。
だからか、自分の感情に正直になろうと、私は跪いていた彼の懐に飛び込んだ。抱き着いたの!
「……私も、好き。気づいたのは、遅かったけど」
「良かった。断られたら、どうしようかとも思ったが」
「貴重な男手を失うのはごめんよ? ……それは、ちょっと冗談だけど」
「ああ。ずっといっしょに居よう。……愛している」
「……うん」
お互いの顔を見て、それぞれ泣きそうな笑顔なのは宝石を主張する瞳の中で見えたけど。
でも、今までにない素敵な笑顔が嬉しくないわけがない。レシアムも全然来ないし、そこからはお約束というかなんというか。引き合わせて……ちゃんと、キスしました。
明日で最終回




