第114話 その頃こっちでは
いきなりのことなので、声を上げられなかったが。
すぐに扉を閉めてくれたので……俺は、自分の服装を確認した。
下はちゃんと履いてる。下着だけじゃなくズボンも。
上はタオルをかけていただけだが……裸なことに変わりない。見られるのは初めてじゃない。水遊びや温泉の時に、水着姿でちゃんと見られているしな。
だが……あの反応はなんだったんだ??
閉める前にちらっと見えたが、頬が少し赤かったような。
『セールーシースぅう!!』
外から、軽いノックの音と同時にレシアムの声が聞こえてきた。自分で開けることも可能なはずだが……冷静になろうと開けることにした。中に入れてやれば、彼は俺のことを上から下までなぞるように首を動かして見つめてきたが。
「……なんだ?」
『それはこっちの台詞。マリン、来たの?』
「あ、ああ……」
それは本当のことなので正直に告げれば、何故か大きくため息を吐いた。精霊殿とは言え、いやに人間味を帯びた仕草をするのは彼だからか。
『なーに? 変なことでもした?』
「は? いや、鉢合わせただけで何も」
『そうなの? マリン、顔真っ赤だったから』
「彼女が?」
ということは、これはもしや。
勘違いではなく、『俺』を意識してくれたのだろうか。水着とは違って、間近で俺の身体を見てしまったから……普通以上に、羞恥心が沸いて驚いたのかも。
だとしたら、これは……所謂、『チャンス』というものではないだろうか。すぐに追いかけようとしたが、『待った』と、レシアムに通せんぼさせられた。正確には、魔法で動かないように固定させられたのだが。
『マリンの気持ちがあやふやかもしれないんだから、勝手に言って煽ったりしないの。君とは違って、まだ自覚したてかもしれないんだよ?』
「……気づいて、いたのか?」
『この間、なんとなく? ザクロが髪型で遊んでたときくらいからだけど……わかりにくい表情が多いのに、あれはわかりやすかったよ』
「……そう、か」
しかし、アルマリンには気づかれていなかった。
今もそうかもしれないが、自分で考える時間が欲しいのかもしれない。けれど、俺は今すぐにでも伝えたかった。ほとぼりが冷めたら、基本的に冷静な彼女は俺への感情を抑え込む可能性だってある。
それだけは、やめてほしかった。
たしかに、過ごした期間は短くとも。俺のアルマリンへの気持ちは本気だ。いつか、成人体になってからでもいいかとは思っていたが……今でも十分に愛らしいし、美しい。
実年齢はともかくとして、お互いにまだまだ子どもだ。前世の記憶持ちとか関係なく、アルマリンだから俺は……愛おしく想っている。
『とりあえず、服着なよ。冷え込んでくるから、風邪引くよ?』
「……わかった」
彼女が作ってくれた服を着るのに魔法を解除され、髪も適当に乾かしてから小屋の中に戻った。アルマリンはキッチンにいないから自室に籠っているのかもしれない。レシアムがこちらに来る気配はないから……思い切って、彼女の部屋の扉をノックしてみた。
次回はまた明日〜




