第112話 見ていて飽きない
ヤキモキする様子は見ていて飽きない。
マリンは仕方ないだろうけど、セルシスはあんなにも露骨に態度を表しているのに……マリンったら、態とスルーしているのかそれとも気づいていないのか。
多分、気づいていない方が強いと思う。セルシスと出会ったときに彼が『婚約解消』みたいなこと言い出したからね? セルシスはそれで今自分の首を絞めている状態になっちゃっているんだけど。
(ちゃーんと自覚して、そこからぼくにも相談してくるだなんて)
マリンの契約精霊として、一応断りを入れるためにもとセルシスはぼくに打ち明けてきたんだ。
自分がマリンのことを、本気で恋していることを。
でも、マリンが全然見向きもしてくれないから、結構困っていた。たしかに、マリンの実年齢は五歳だけど、前世の記憶持ちということもあるから……肉体との不釣り合いさ以上に、齢を重ねているに等しい。
セルシスは不釣り合いさはあっても、実年齢は十二歳。ぼくからしたら赤ん坊くらいに子どもに見えるけど、ちゃんと大人に似た考え方は持てているからか……無闇に告白する様子はない。でも、ひとりで抱えるのは限界だからぼくのところに来たんだと思う。
(マリンはねぇ? 料理とかに夢中だから、あんまり恋愛事はしたくないのかな?)
というか、親が勝手に決めた婚約者が嫌で……逃げてきたんだっけ? でも、その婚約者だったセルシスとは相性もいいし、特に嫌ってもいない。セルシスの最初の態度とか、いっしょに生活するようになったから、突き返したようなことをしていないだけだとしても。
セルシスの気持ちには、応えてあげないんだろうか?
自分も少しは身体の成長もあったし、髪色についても魔力の覚醒が一段階上がったから金色に近くなってきた。
ただでさえ、ちっちゃくて可愛い女の子がどんどん美人になっていくのは……セルシスの心を過敏に揺さぶったんだろうね? 最近はザクロとかが色々髪いじったりしているから、さらに可愛く見えちゃっているし。
(けど、このまま『大人』になったら……ふたりとも、さすがにそのままになるわけはないだろうし?)
このグルーミンの山の中で、ずっと生活するわけがないはず。少し便利さを優先して、街に降りることもあり得る。そのときに、ザクロたちとはお別れになるだろうけど、ぼくはついて行くよ?
なんたって、マリンの契約精霊だからね!!
(まだまだ時間はある。マリンの気持ちの変化もあるかもしれないし……もう少し、見守っていようかな?)
多分だけど。セルシスの外見、マリンの好みのツボに入っているかもしれない。好青年というよりかは、一匹狼にも見える無表情スタイル。だけど、好意的な部分はちゃんとわかりやすくしているし、マリンの料理の手伝いも嫌がったりしない。
マリンが成人体になったら、似合いの恋仲になりそうなんだけど……これだけ好条件がそろっているのに、逃していいのかな? マリンは。
とにかく、それぞれ魔力の覚醒が成されたから【宝石族】としての成長もまた見られるかもしれない。そっちも楽しみなんだよね?
次回はまた明日〜




