第110話 遊んだあとには美味しい飲み物
『どーぉ? あたしの芸術的なダブルアクセルぅ〜』
『お姉ちゃんすごーい。私もくるんくるん〜〜』
『回るわよーん!』
習うより慣れろがうまくいったのかで、魔物のふたりは割と上達が早かったため……今ではすいすいと水を得た魚のようにスケートを楽しんでいた。
チロルちゃんはスライム体だから、摩擦の関係でアクセルが何回転になるのかわかんないくらい出来ている。というか、あれはどっちかと言うとスピン?
正確なスポーツとしての知識はうろ覚えだから……楽しんでいるからいいかな?
私がふたりが楽しんでいるのをのんびり眺めているわけにはいかない状況なので。
「は……離さないで、くれ。アルマリン!」
「いやいや。ここまで滑れたら頑張ってみましょうよ?」
「だ、だが!? 君のように受け身を取れなければ!!?」
「ケガは絶対ね?」
『がんばれ〜セルシスぅ』
セルシスのお守り?が全然終わんないから、楽しめないのよね!
強く手を握るのはやめてくれたけど……逆に心細さが増したのかで、足ガクガクがなかなか落ち着かない。
ワイルドイケメンの貴重な可愛いシーンではあっても……五分かそこらで、さすがにきちんと指導したい気持ちには切り替えた。愛でるのもいいけど、これが出来ないと冬場の魚取りが大変だもの。浮遊の魔法に頼ってもいいだろうけど、バランス感覚を鍛えればいろいろと役立つと思うからね?
だからって、一時間くらい手を繋ぐとは思ってなかったけど!? さすがに、ザクロさんに立場変わってとか言いたくなってきたわ!!
「ほーら、右の次は左。踏ん張るんじゃなくて、刃に感覚を合わせて滑ってみて~?」
「くっ……情けない」
「終わったら、あったかくて美味しい飲み物作ってあげるから」
「本当か?!」
あ、不覚。やっぱり、ワイルドイケメンの笑顔でちょっとときめきかけた。
可愛いものはついつい愛でちゃうのは、前世からの癖ではあっても。こんな可愛い青年を放置プレイなんて出来ないわね? 仕方がないから、懇切丁寧に説明しながら滑ることさらに二十分近く。
手は繋いだままだけど、並んで少し滑れるくらいにまでは上達したわ。
「はーい。軽く離すわよ?」
「……ああ」
そっと、手を離したら……少しバランスが崩れたけど、持ち直した。すぐにまた手は繋がれたけど、上出来ね?
「はい、一旦休憩にしましょうか? ザクロさんたちも休憩しよ~?」
『『は~~い』』
そして、本日の飲み物はあったか甘々でふわふわなカフェラテ。
温めたミルクを風魔法を応用した撹拌でふんわりふわふわに仕立てて。
そこに、ティーテウの果汁とコーヒーもどきの果汁も温めて味を調えてから!!
コップに入れて、ふんわり仕上げたら完成!!
「ふわふわカフェラテの出来上がり~~」
「……可愛らしいな?」
「コーヒー牛乳よりは控えめな甘さだけど。ミルクがあるからちょうどいいと思うわ」
『あんら、素敵~~』
『可愛い~~』
『飲もうよ~』
ということで、いただきますをしてから飲んだんだけど。
ほんの少し苦味があるけど、ミルクのふわふわと優しい甘さのお陰でちっとも気にならない!!
少しずつ気候も冷え込んできたから、こういう温かい飲み物は格別って感じるくらいに美味しい。山の幸は年がら年中採れるらしいから、果物とかも気にせずに確保できるそうだけど……小麦粉代わりのレレンの綿毛はもうちょっと収穫しなくちゃね? パン製造するのって、寒いときに発酵とかの温度管理大変なんだもん。
とりあえず、スケートはそのあとも続けてセルシスの練習メインで続けて……最終的には、スピンとかアクセルは無理でもターンまではひとりで出来るようになりましたとさ?
次回はまた明日〜




