第106話 アルマリンの覚醒
グルーミンのお山に滞在するようになって……だいたい三か月くらいだろうか。
冬も近くなってきたから、冬支度が出来るように食糧調達とか衣服の改善。あとはザクロさんと羽毛布団をもう一枚作って、毛布代わりにぬくぬく寝れるようにする。
冬でも狩りは出来なくなるけど、これまでよりは段違いに魔物の活動が激減するから解体してそれぞれのインベントリに入れておくのは重要ね?
今日もそんな一日になるかと思っていたら……手分けして調達に行ったときに、ちょっとピンチな出来事に遭遇したの。
「……あらぁ」
『やーやー。ある意味大漁??』
レシアムとふたりで行動してたんだけど、オークの群れに遭遇してしまった。ザクロさんとかがいれば瞬殺で終わっただろうが……あいにくと、セルシスとチロルちゃんといっしょに行動しているから、まだすぐこっちには到着しない。念のため、レシアムにはテレパシーを飛ばしてもらったんだけどね?
「どーする? スプラッターになってもいいなら、頑張って倒すけど」
『まあ。ぼくはいいけど、マリンは平気?』
「ん~~。前にゴブリン一掃したときもそうだったし?? やるだけやりますか?」
あとこんなにもオークがいるのなら、食材調達も完了するってわけだもの。気合が入らないわけないわ。
(だけど。魔力が上がったとしても……ひぃ、ふぅ、みぃ……十五体も?? 出来るかしら??)
もちろん、レシアムも手伝ってくれるだろうけど。連携して戦うにしたってこちらが不利なことには変わりない。オークたちも興奮状態でいるし、獲物を前にして逃がさないって雰囲気なのよね。
だけど、早々にやられるつもりはないので、私はすぐにレシアムとの周りに氷の結界を張った。と同時に、棍棒を持っていた個体にがつんと叩かれたんだけど!? ぎりぎりだったから、氷にヒビが入ると思ったわ!!
『うわ~~。血気盛んって感じ??』
「強度上げてもそう何度も受け止められるとは思えない……」
とかなんとか言っていると、ほかの個体とかも結界に棍棒とかを叩きつけてきた。
ガンっ、とか、ゴツっ、とか嫌な音がしてきたから、二重に張っても持ちそうにないわね? 知能は米粒並みでも、荒っぽい魔物の性質上の関係で連携は取れそうでいる。
このままだとこっちもぺっしゃんこになるから、どうしたらいいのか。
頭で考えたら遅い。本能で動くべし。
その言葉がどこからか降りてきて、私は咄嗟に地面に手を置いて魔力を流していく。結界を強化させるのではなく、地面から魔力を向こう側に流していくの。あの群れをたたっきるための、攻撃をするために。
『マリン?』
「いっけぇえ!!」
地中の水も利用して凍らせて、それを杭のように突き出させてオークたちを貫く。結界越しでもなかなかにスプラッターなシーンが出来上がったけど、気にしない。
生きるか死ぬか。
それを即座に判断出来るようにならないと、せっかくのスローライフを謳歌出来ないんだから!!
縦横無尽に杭を突き出し、感覚的にオーク全部を貫いたと分かってから結界を薄くして様子見したんけど……本当に、ハリウッドのCG並な光景が広がっていたわ。腐臭はしょうがないけど、これは大漁ね?
『おお! すっごいすっごい!!』
「はぁ~~……なんとか、倒せた」
『ぼく、なんにもしなくてよかった感じになったけど』
「いいのよ。本能的に動いちゃったってだけだし」
『魔力の覚醒でも起きたのかな? マリンの髪、少し色が変わっているし』
「ほんと?」
ロングなシルバーブロンドの髪を一房掴んでみたら、たしかに変わってた。セルシスのように銀に金が混じったかのような色合い……あの攻撃ひとつで、魔力の質が変わったのなら『覚醒』でもしたのかしら??
次回はまた明日〜




