第105話 たまにはピクニック
拠点での生活も落ち着いてきた。
衣食住が整うって大事なのよ? お城での贅沢生活だと、用意してもらえるから有難みがあんまり感じないのよね……。
生まれた瞬間に前世の記憶持ちだったから、至れり尽くせりって生活が合わなかった。前世でもともとアウトドア派だったって言うのもあるでしょうけど……とにかく、贅沢生活が欲しい人からすると苦痛でしかなかったのよ。
だから、今の生活に切り替わって、だいたいのものが満たされてからは……やり甲斐を感じたの。自分たちで、整えられるっていいことなのよね!!
「今日はピクニックするわよ~~!!」
拠点から少し離れたところで、食事=ピクニックは毎度のことかもしれないけれど。
最初からそれを目的に行動するってことはあんまりなかったから、今日は実行したいと思ったの。
キャンプもいいけど、今日のご飯は拠点で準備してからインベントリに入れておく。ザクロさんたちもいるから、そこはたくさん用意しておいて、ね?
『川か湖か。平原もいいわね~~? どこにするのん??』
エンシェントスライムのチロルちゃんを伴い、ザクロさんが質問してくれたんだけど。たしかに、場所はまだ曖昧にしか決めていなかったから……そこは皆で話し合おうかしら?
「ちょっと遊べる場所なのがいいわね? 川と湖は食材調達で行ったりはしたけど」
『だったら、平原はどーう? 野イチゴが今いっぱい実っているのよん』
「野イチゴ!!」
いちごもどきはシェルンの実で揃ってはいるけど、それはそれで美味しそう。
パンケーキ以外にも、ジュースの材料にもなるし。遊び感覚でいちご狩りをするのも楽しそうね? ということで、場所は平原に決定! あと、レレンの綿毛もあるらしいから日常に必要な小麦粉確保も出来るんだって!!
『ここよ~ん?』
拠点から数キロ離れた場所だったんだけど。徒歩と浮遊魔法を繰り返したら、あっという間に到着。
「先にご飯にするか。いちご狩りしてからご飯にするか」
とか口では悩むように言ってみたけど、悩むまでもない。皆の顔も物語っているんだもの。
食欲とかが特に。
『んん~~。なんか外で食べると、美味しさが増してると思う~~』
カツサンドを食べながら、レシアムがそれっぽいことをつぶやいていた。たしかに、外でのご飯って不思議な特別感を感じるのよね??
『そうねん。あたしとかはいつも通りのことだけど。皆で囲むとより一層美味しい気がするわん』
『うん。美味しい~~』
「俺も同意見だな」
あれだけあったご飯があっという間になくなっちゃいそう。それぞれのお弁当箱じゃなくて、お皿に乗せたものを食べているんだけど……食欲旺盛なひとには物足りないかも? セルシスも最近は作法を気にせずにがっつく様子が見られるし?
私もぱくぱく食べるのを普通にしていても、一番遅い。優雅に、は別に意識していないんだけどね?
「食べ終わったら、デザートも兼ねたいちご狩りよ~~」
つまみ食いなんてしてもおかしくない。艶々で美味しそうな野イチゴを口に頬張ったときの幸せは格別だわ~~。シェルンと違って酸味が少し強めでも……柑橘類の酸味も得意な私にとっては嬉しいことね。
これで、ティーテウの果汁も使ったらシェルンとは違ういちごジャムが出来そうね? たくさん摘んでインベントリに入れてから帰宅後……セルシスと協力して作ったら、美味しいものが出来たわ!!
「パンケーキにも……いいんじゃないだろうか?」
甘党の欲が出てきたからか、夕飯前なのにパンケーキパーティーをすることになり。
たしかに、その通りだと言えるくらいに美味しくて堪らない組み合わせになったわ。セルシスの好奇心もいい仕事をしてくれているわね? ジャムは皆で食べたから瞬殺の勢いで無くなっちゃったけど、またいちご狩りすればいいんだとチロルちゃんが張り切ってくれて……二日連続でパンケーキパーティーを開くことになった。
食欲旺盛を覚えた魔物の意欲……侮っていたわ。
次回はまた明日〜




