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終末工場日記  作者: 黒猫の凜


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ハナの記録㉟ ハクという子の話

あれから数日———


私は未だにベッドの上だった。

上半身の軽い損傷はほぼ元通りになったが、腰から下は相変わらずスカッとしている。


レイ主任の話だと、交換用の下半身パーツを私に合わせて調整中らしい。


あの後、ことあるたびに「ごめんなさい」と口に出していた。

そんな私を、レイ主任は優しく諌めてくれた。



「——もう謝るな。生きると決めたなら前を向け。」



その言葉を聞いてからは、自責の念からくる謝罪を意識的に飲み込んでいる。

その代わり、できるだけ感謝を伝えることにした。



……



当然ながら、作業は身体が治るまで休むことになった。

ハクも、もうしばらくは様子見で作業を休むことになったらしい。


じゃあ、毎日ベッドの上で自身との対話を深めているのかと言われたら、そういうわけでもない。

驚くことに、ハクが私のところに通い詰めているからだ———



例に漏れず、今日も朝からハクが“お見舞い”と称してやって来た。


横には椅子もあるのに、毎回、ベッドに腰掛けてくる……

今日も、寝ている私を軽く覗き込むようにしながら、ペラペラと周りのみんなの様子なんかを話していた——



——実のところ、こうしてハクとゆっくり話をしたのは初めてだった。

今までは、初手でウザい絡み方をされていたので、私から突き放していたからだ。

なので、まともな会話に発展したことが無かったのである…



今回、こうして改めてハクと話してみると、意外と周りのことを見てるんだなと思った。


ハロが早期回復を願って、私の休眠装置に謎のお守りをぶら下げていること——

ククちゃんが、私のいない間は自分がお悩み相談係だと主張して、毎日、相談BOXの中を覗き込んでいること——


そして、ハハが最近、物憂げな表情を浮かべる時があること———



正直、最後についてはハクの冗談かと思った。

でも、ハクに「冗談だよね…?」と聞いても、首を横に振るだけだった。


あのハハが…?

いつも元気いっぱいで、善のオーラ200%なハハが、物憂げな顔をしている………

ダメだ、想像できない。



「そんなに気になるなら、ハナからもそれとなく聞いてみてよ〜♪

あ…♪まだ、謹慎中だったっけ??」



あからさまに煽ってくるハクを軽く蹴飛ばしてやろうかと思ったが、脳の信号は途中で途切れた——


そこまでして、やっと身体の事を思い出す。

やっぱり、まだ慣れないな……


気が付くと、ハクが不思議そうに首を傾げていた。

何かを期待して待っているような表情に、軽くため息をついて右腕を振り上げる——



「もしかして、また殴られたくなった…?

もう謹慎は解かれて、今は休止中だよ…!」


「おっと、怖い怖い…♪じゃあ、朝はこれで退散するよ〜♪」



ハクは、ひょいとベッドから立ち上がり、ニタニタ笑いながら部屋を後にした——


これまで、こうしてハクと言葉を交わした後は苛立ちが強かったけど…

今は、“やれやれ…”といった呆れが半分——

そして、多分…好感が半分だった。


もしかしたら、ハクの違う側面に触れたからだろうか…?


少し踏み込んだだけで、こんなにも見え方や捉え方が変わるものなんだな——

そう驚くのと同時に、また過去の自分を責めてしまいそうになる………


軽く深呼吸をして、湧いてきた自責の念を鎮める——

そして、既に閉じられた扉に向かってぽつりと呟いた…




「……ありがとう、ハク」

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