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終末工場日記  作者: 黒猫の凜


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ハナの記録㉕ 有意義な面談

今日は久しぶりの面談日だ…!


レイ主任との面談では、いつも緊張してしまっていたが今日は違う…

ここ最近は怒られるようなミスもしていないし、お悩み相談係としても頑張っている。

つまり、今までよりもちょっとだけ自分に自信があるのだ——


それに、レイ主任に名前を付けたりもしたし…

私と主任の距離も近付いて、絆が深まっている——

…深まってるよね?


でも、改めてレイ主任のことを考えると、昔よりも寛容になったなと思う…。

特にここ最近は、投影機の設置、部屋の解禁、休日の増加…と、みんなの自由を広げようとしてくれてるみたいだ。

私にも、”やりたい事はないのか”って聞いてくれたし。


それに、何か質問した時も、昔なら速攻でバシッと返答されてたけど…

最近は、ちょっと考えてから返答してる気がする。

それでも、主任が頼りになるのは変わりないけど。


うん…レイ主任への理解も深まってる気がする。

今日は有意義な面談になりそうだ——



……



「お悩み相談係の活動報告を読んだ。随分と内容の薄い報告だったな?まるで何かを隠しているようだ…」


面談が始まって数分——

予想に反して、私は追い詰められていた…

おかしい…どうしてこうなったのだろう?


……


「まず、”ナオの探し物”…これはどんな物だったんだ?詳細が記載されていないが」


それは、鬼の角を生やされたレイ主任の絵で——

…とは言える訳もなく。

ナオさんを守る為、なんとか取り繕ってみる…。


「えっとぉ…その…ナオさんが描いた絵を紛失してしまったって話です。結局、ハロの首に挟まってたみたいで…」


「つまり、あの時の”私らしき絵”が落とし物だったわけだな。…忘れたのか?私はあの場にいたんだがな」


やってしまった——

そうだった…あの時、気付いたらレイ主任がいてナオさんを連れていったんだった。

ごめんナオさん。

守ろうとはしたんだよ…?


「あの時も言ったが、別に絵の事をとやかく言うつもりは無い。報告をしろという話だ」


「了解です…」



……



「あとは…ククの探し物か。これも”解決済み”としか書かれていないが…?」



それはククちゃんが倉庫に忍び込んで持ち出した無線イヤホンで——

…なんて言えるわけがない。

報告しろって言われたけど…でも……



「えっと…ククちゃんが大事にしていた小物です…」


「倉庫から無断で持ち出した無線イヤホンだな?クハから報告は受けている」


「あ~、そうだったかも!そうそう、イヤホンみたいな形でしたね…」


さすがクハちゃん…本当に良い子だ。

無理に隠そうとした私が悪いのだ。


レイ主任の視線が痛い…

取り繕ったような私の顔を見て、しばらく何かを考えているようだった。



「いいか…ハナ?お前がみんなを守ろうとしていることは分かる。報告を躊躇うこともあるかもしれない」


「はい…」


「だが、みんなを大切に思っているなら報告しろ。私はお前達のことを把握しておく必要がある」



いつにも増して真剣な顔のレイ主任に、思わず姿勢を正す——

私なりにみんなを守ろうとしてたけど、そうすると主任なりの守り方の妨げになっちゃうってことなのかな…?


「…分かりました。レイ主任は、こんなことで理不尽に怒ったりしないってことですよね?」


「それは内容によるがな。だが、今回に関して言えば、無線イヤホンは回収していない。代わりに、倉庫に危険物が置かれていないか再度点検しておいた」


それはつまり、ククちゃんが倉庫に侵入することは許容するってことかな?

いや、レイ主任でもククちゃんを止めることはできないだけかもしれないが…


でも、こうして話を聞いていると、思ってたより主任は寛容になってるのかも。

これからは、もうちょっと素直に報告しよう…

そう思い、まだこちらを見つめているレイ主任に気持ちを伝えることにした——



「私は、最近の主任の方が好きですよ。これからは、もうちょっと信じて報告します」



「…訳の分からん事を言うな。報告するならそれでいい。面談は以上だ」



なぜか、主任は少し視線を逸らしながら話した——

今、ちょっと照れたように見えたけど…気のせいかな?

最後の方は早口でまくし立てられてしまった…


面談室から追い出される時にチラッと振り返ったけど、その時には、もういつもの主任の顔だった。



……



面談室から出ると、さっきまでの空気から一気に解放された——

外と中で同じ空気のはずなのに、不思議だ。


久しぶりの面談だったけど、予想通り”有意義な面談”にはなったと思う。

その過程は思ってたのとは違ったけど…


でも、やっぱりレイ主任は変わったと確信できた。

多分、良い方向にだと思うけど…

そのうち、みんなと談笑したりするようになるのだろうか…?


…それはまだ想像できないや。

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