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終末工場日記  作者: 黒猫の凜


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ハナの記録⑰ 色違いの弾薬

今日、色違いの弾薬を見つけた——


いつも通りコンベアに乗って流れてくるオリーブ色の弾薬…その中に1つだけ混じっていたのだ。

目に入った瞬間、単純にエラー品を見つけた…という以上の好奇心が湧き上がる。

“色違い”というだけで、なぜこんなにも心をくすぐられるのだろうか…?


思わず手に取り、眺めてみる——

それは、通常の弾薬よりも色が薄く、まるで指のような形をした……指だった。

長さと太さから、恐らく人差し指か中指だろう。

思わず自分の指を確認したが、左右十本揃っていた。


誰かの指が外れて、紛れてしまったのだろうか…?

そう考えて、他意はないがハロの手を確認する。

しかし、どうやらハロではなかったようなので、辺りを見渡してみる——

すると、隣でククちゃんが目をキラキラさせていた。


「なにそれ…!ちょうだい!!」


「ダメだよ。指を無くした子が困ってるかもしれないでしょ?」


「こ…困ってないかもしれないもん!」


余程欲しいのか、謎の理論で食い下がってくる…。


「じゃあ、困ってないって確認するまではダメ。」


そう返すと、名残惜しそうに手を伸ばすククちゃんには気付かないフリをしてその場を離れた。


……


コンベアを流れてきたということは、この指は私達の作業場以外から来たのかもしれない…。

そう思い、とりあえずレイ主任を探してみたが見当たらなかった。


隣の作業場で聞いてみようかと思い、そっと覗く——

しかし、みんな特に混乱なく作業をしていたのでなんだかお邪魔しにくい…。

持ち場を長く離れるのも良くないよね…と自分に言い訳をして、とりあえず共用スペースの落とし物入れの中に立てておいた。


……


あの指は、ちゃんと無くした人の元に届くだろうか…

やっぱりもう一度レイ主任を探して渡した方が良かっただろうか…?

気になってそんなことばかり考えていたのに、戻って作業を再開するといつの間にかすっかり忘れてしまっていた…。



作業が終わり、ハロと雑談していると、作業場にレイ主任がやってきた。

なにやら話があるそうで、みんなが集められた。


「今まで立入禁止だった場所をいくつか解禁する。それに伴い、明日は班に分かれ施設の案内を受けてもらう」


どんな場所が解禁されるのか、班はどう分かれているのか…

相変わらず詳細が何も分からないレイ主任らしい話の内容だったが、みんな慣れているので誰も質問したりはしない。

どうせ明日になれば分かるし、誰も迷ったりしないようにちゃんと手配してくれているだろう。


場所の解禁か…

この工場は、立入禁止の場所が多い。

というか、無数にある部屋のほとんどが立入禁止だ。

部屋に戻ったら、どんな場所が解禁されるのか予想しあっても面白いかもしれない。


でも、どうして今更解禁になったのだろう…?

そう思ってレイ主任の顔を見ると、何か忘れているような感覚が湧いてきた…。

レイ主任に報告した方がいいこと…

色違いの弾薬……じゃなくて、指!!


「レイ主任!指がありました…!」


「……?」


とても怪訝な顔をされてしまったので、順序立てて説明する。


そして共用スペースに向かったのだが…

落とし物入れには、もう指は立っていなかった。

レイ主任を顔を見合わせる…なんだか気まずい。


「ほ、ほんとにあったんですよ…?!」


「別に嘘だとは言っていない。落とし主が取りに来たんだろう」


そう言うと、用は済んだとばかりにレイ主任は去っていった。


まぁ、それならいいんだけど…ククちゃんじゃないだろうな?

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