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終末工場日記  作者: 黒猫の凜


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ハナの記録⑭ 晴天と地雷

本日は晴天、異常なし——



実際に”晴天”を見たことはないけれど。

でも、なぜかそんな言葉が浮かんできた…

今日は、私もみんなも調子が良さそうだからかもしれない。

ハロは傾げていなかったし、ククちゃんもすっかり元気だった——



……



「今日からまた作業かー。謹慎も嫌だけど、作業もつまんない!」


作業場では、朝からククちゃんが文句をたれていた。

どうやら、昨日の作業のことはすっかり記憶が抜け落ちているようだ…。

ククちゃんにとっては、今日が”作業復帰の日”になっている。



あれから、渋るククちゃんを説得して、一応コイ先輩に診察してもらった。

結果として、特に不具合は見つからず、昨日のことは謎のままだった…。

一応、後で主任にも報告しておこう——



……



”後でやっておこう”というのは、私の経験上、すっかり忘れてしまう時がある。

なので、休憩時間になると、忘れないうちに主任に報告しにいった。


簡潔に伝えようと脳内で記憶を整理していたのに、主任を前にすると色々と飛んでしまった——

結局、昨日の出来事を順番に説明していくことになった…

様子が変だったククちゃんの話、そして、本人はそれを覚えていないこと。



——結果として、もっと早く報告しろと怒られた。


…まぁ確かにそうだ。

明らかに変だったのだから、昨日のうちに報告すべきだった。

でも、私だって気が動転して大変だったのだ…。

そう思って少しむくれていたが、引き留めたことは褒めてくれた。


怒られはしたが、一応褒められたので気分を良くする。

こういう時、自分は単純だなと思う…。

主任はしばらく黙っていたが、ふと私に質問を投げた——



「お前は、外に出たいとは思わなかったんだな?」



「えっと……?」



そんなことを聞かれるとは思っていなかったので、言葉に詰まってしまう——

主任は私の返答をじっと待ってくれている…。

——確かに、外に出たいとは思わなかった。

けれど、それはどうしてだっただろうか…?


あの時、私は本能のようなもので”外への恐怖”を感じていた——

それは私が安定を重視しているからか、それとも…

…なぜか、また脚のパーツが震えだした。



「外は…怖いので。だって、”地雷”があるかもしれないし…」



「……なぜ外に地雷があると思った?」



「えっと……分からないです」



主任の疑問はもっともだ。

自分でも、なんで急に”地雷”なんて言葉が出てきたのか分からない。



「……そうか。ククについては私も調べておく。何かあればまた報告しろ」



——結局、話はそこで終わった。

えらく唐突に切り上げたなと思って時計を見ると、休憩時間が終わりそうな頃合いだった。

さすが主任だ…話をしていても、しっかりと時間管理ができている。



持ち場に戻る間、さっきまでの話を考えていた——

どうして、外に地雷があると思ったんだろう…?

なんで見たこともないのに怖いと思ったんだろう…?


気になるけど、なぜだか知りたくないと思ってる自分もいた——



……



持ち場に戻ると、ククちゃんが隣の作業場に向かって念を送るような動きをしていた——

午後の作業が無くなるように、ミミ先輩降臨の儀式をおこなっているらしい…



反対隣では、ハロが頭をゆっくりと左右に振って、真ん中を探っていた——

この前、首を傾げたままになっていたので、今はちゃんと真っ直ぐになっているか気にしているようだ。



そんな2人を見てると、いつもの光景に癒されている自分を感じた。

ぐっと伸びをして、さっきまでの考えをポジティブに整理する——


恐怖とか、疑問とか、頭の中には色んなものがごろごろと残っている…

でも、怖いと感じているものを、わざわざ自分から探る必要はないのかもしれない。

そう結論を出すと、午後の作業を始めた——



やっぱり私は、みんなとここにいるのが好きだ——

それを自覚すると、なんだか心が晴れたような気がした。



本日は晴天、異常なし——

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