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絶対守る
あからさまに不機嫌顔をして、咲希は和輝から目を逸らした。和輝の悲しむ表情をこれ以上見たくないから、咲希は目を逸らす。それでも素直になれなくて、更に和輝を傷付けるような言葉を続ける。
「それにお前に教えて、何が出来る? 何も出来ないよな。それなら、私の邪魔はするな」
本当は和輝のことが大好きなのである。手紙の内容に苛立っているのも、和輝のことが好きだからである。それなのに、冷たい表情しか出来なかった。
「安心しろ、お前のことは私が守ってやるから。絶対に、死なせたりしないから。だからお前も、裏切ったりしたら許さない。ずっと、ずっと私と一緒にいろよな」
これは、咲希の精一杯の勇気の言葉。彼女にとっては、プロポーズのような言葉であった。しかし、いつもは妄想する筈の和輝はその意図を感じてくれない。
「いや、俺が裏切る訳ないじゃん。咲希ちゃんレベルの美少女、中々いないしさ。でもいきなりそんなイケメン的なこと言い出して、どうしちゃったの?」
また暢気な顔をして、そんなことを言っているのである。和輝が褒めてくれるのは分かったし、咲希だってそれは嬉しかった。裏切る訳がないと言う言葉も嬉しい。しかし咲希は、どこか信じ切れずにいた。




