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サクラのキセツ 陽  作者: 斎藤桜
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「その林太って人、そんなに酷い人なの?」

 後ろで踊っていた和輝が、踊りをやめて咲希に問い掛ける。素直な表情で問い掛ける。

「ああ。人の命を何とも思わない、最低な奴だ」

 悔しそうに、唇を噛み締めて咲希は言う。その様子を和輝は、悲しくも輝く眼光で見つめていた。

 何を思ったか、真面目な顔をしていた。まるで大切なものを失ったかのような、儚くも悲しそうな表情をしていた。

「そいつは、咲希ちゃんを苦しめたのか?」

 長い沈黙の後、和輝が静かに問う。低い、落ち着いた声で。

「苦しめた、か……。そうかもしれないな」

 和輝には分かった。だって咲希の目には涙が溜まっていたから。

 何か嫌なことを思い出したのだろう。強がってはいるものの、思い出すだけで涙が滲むほど。それほどまでに嫌なことを思い出したのだろう。

「そっか、だったら俺が許さないよ。咲希ちゃんや皆を苦しめる奴は、俺が絶対に許さない」

 そう言う和輝の瞳に、野乃花は確かな強さを感じた。決意を、想いを感じた。野乃花は和輝の瞳の中に、希望を感じていたのだ。

 咲希に対する和輝の想いを感じ、近付きたいと願った。憧れを感じていた。

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