やっぱり変態
「おい変態、お前体力はあるよな?」
突然連れ出されて、ただでさえ和輝の頭は着いて行けていなかった。そして突然止まると、咲希に突然そう言われ更に和輝は首を傾げた。
「どうしてそう思うの?」
いきなりのこと過ぎて、和輝はその根拠を問い掛ける。そう問い掛ける理由や、なぜ連れ出したかを問えばよかったのに。本人もそうしたかったが、咄嗟のことで頭が回らなかったのだ。
「そんなの決まってるだろ、変態だからだよ。他にあるか?」
しかし咲希は、当然だろといった風に言った。それにはさすがの和輝も、驚いてしまった。
変態ということに驚いている訳ではない。そんなことは自分でも承知していた。彼は、なぜ変態だと体力があるのかが分からなかった。その繋がりが読めず、咲希に問い返す。
「いやいやちょっと待って、何で変態だと体力があるの?」
和輝のそんな疑問も、咲希は分かってるだろという風に受け流そうとした。
「いやそんな顔されても、意味分からないからね!」
本当に和輝が分からないと気付き、咲希は素直に驚いた。てっきり、理由なんて分かってるものだと思っていたからだ。
「何で? だって体力なくちゃ、すぐ捕まっちゃうじゃん」
目を丸くして、当然のように咲希は言う。咲希のその態度には、和輝も戸惑ってしまった。
「えぇ!? いくら俺だって、捕まるほどのことはしてないよ!」
納得と同時に、和輝は多少ショックを受ける。しかし、本当にそうなのかは少し怪しい。
「嘘を吐くな、変態。まあお前は取り敢えず、逃げるのは得意だろ?」
笑顔で咲希はそう言った。和輝の言葉を冗談と取り、信じるつもりなどなかったのだ。
「んなわけないじゃん。俺は生まれてから一度も逃げたことがないんだからな」
胸を張って和輝はそう言うが、咲希は全く信じようとしない。和輝の変態っぷりは分かっているつもりだからだ。
「だって女子が態々俺を捕まえに来てくれるのに、どうして逃げる必要があるんだろうか。仕返しもお仕置きもいいじゃないか!」
しかし咲希は予想以上の和輝の変態っぷりに驚愕し、同時に納得した。
「なら、私の文字通りの盾として戦うか?」
本当にそんなことさせるつもりはないが、ニヤリと笑い咲希はそう言う。それには和輝も首を横に振った。
「嫌だよ、だって戦場に可愛い人は少ないでしょ?」
その理由を聞き、またも咲希は納得してしまった。
「じゃあ、私を守ってはくれないの?」
そこで咲希は頭を使い、和輝をきゅんとさせる手段に出る。自信なさげな表情で、上目使いに和輝を見つめた。
「……あ…………え……。俺で、守れるなら……。守ってみせるよ」
その豹変っぷりに、和輝がときめかない筈がなかった。そのあまりの可愛らしさに、和輝は頬を赤く染めて目を逸らしてしまった。




