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もう一人の天才

 星空アクア……もとい。


「私の名前は下呂 光。よろしく」

「あぁ……」


 なるほど。苗字を聞いてからかわれるわと悟った。


「で? 魔法が何で使えるの?」

「アルタは異世界出身なんだ」

「へぇ。異世界」

「信じるのか?」

「そりゃあ魔法っていう力が使えるようになったからね」


 そりゃそうか。


「オラたちはアルタさんを異世界に帰すためにいろいろ調べものもしとるんだー。車が帰ってきたら稚内に行こうと思っとるんだが」

「なんで?」

「髪隠し事件がなんちゃらーって」

「そろそろ調べた本人来るんじゃないか?」


 そう話していると、インターホンが鳴らされた。

 出てみると案の定ヤマトだった。ヤマトは何やら嬉しそうにニコニコしている。


「推華さんっ! 推華さんの車の修理終わったみたいっす!」

「あんれぇ? だいぶ早いでねぇか」

「そりゃアタシが急かしましたから! って歌手の星空さん!?」

「誰?」

「魔法使いに憧れる系女子高生。魔法は使えない」

「どもっ! 山寺 大和です! それより稚内! いきましょ!」

「んだなぁ。でもその前にちょっと待ってな」

「え……」


 ヤマトはまた待ってという言葉を聞いてしょんぼりしていたが。


「調査ってことは数日かかるべ? 電話して宿とるからよ」

「推華さん……!」


 推華もだいぶノリノリだな。

 稚内か。


「で、誰が運転してくの? 私も行っていい?」

「ええよー。運転はオラしかできんべ」

「アタシはまだ高校生だから……」

「免許証ってやつがいるの?」

「…………」


 成人済みですけどなにか。

 

「免許……持ってない」

「北海道でそれってだいぶ致命的じゃない?」

「うん」


 だって今まで函館とか札幌に住んでいたし、地下鉄や路面バスとか交通手段はあったし別に必要ないなって思ってね。

 それに現在だって一度行けばすぐ転移できるんだし!


「まぁええよ~。オラは運転たっくさんしとるしなぁ。とりあえず車取りに行ってくるからよぉ」


 そういって自転車にまたがる推華。

 推華は行ってしまった。気まずい空気が流れる。そもそも私は星空さん……光さんとは友達の友達みたいなものである。だいぶ気まずいというか、何離していいかわからない関係だ。

 こうなったら。


「変身」


 私は猫に変身した。


「きゃーーーーっ! いつみても変身すげえーーーーーっ!」

「人間じゃなくて動物にもなれるの……!? ねぇ、私も変身してみたい! 変身って唱えたらいけるの?」

「なりたい人や動物をイメージして魔力をいい具合に操作してやるんだけど……。私は感覚派だからなぁ。やって覚えるしかないって」

「そうね! 変身!」


 と、光さんも姿が変わる。

 光さんは犬になっていた。


「ワンちゃん! 星空さんも魔法使えるようになったんすか! いいなぁ!」

「ねぇ、なんで一発で出来るの? 私は習得までに結構かかってるのよ?」

「なんとなくでできるよね?」

「あぁ。まぁ、なんとなく」

「なんでこう天才が多いんだこの世界は」


 光さんが変身したのはポメラニアンだろう。

 ふわふわな毛並みときゅるりとまん丸の目。ポメラニアンってかわいいしな。


「ワンっ」

「にゃー」

「くう~~~! いいなぁ! アタシも魔法使いたかった……」


 がっかりと肩を落とすヤマト。

 そして、ワゴン車が到着する。私と光は魔法を解いた。


「あんれ、変身魔法網習得しちまったの!? オラできねえけど……」

「意外と簡単よ」

「天才が多いんだなぁ……」

「本当に……」









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