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承認欲求のバケモン

 私たちはマイクを向けられていた。


「その異世界というところからアルタさんはやってきたのですね?」

「そーよ。異世界に帰るために色々模索してる」

「先ほどのイカの化け物は異世界の怪物なのでしょうか」

「そう。クラーケン」

「あなた方は魔法と呼ばれる不思議な力で倒したのですね?」

「まぁ」


 あまりにも現実離れした話に、ポカンとしている記者の人たち。

 私はとりあえず手のひらの上で炎の玉を作ってみせる。


「あなたも異世界の方で……」

「異世界人なのはこの人だけです。私らは全員この世界で生まれてますよ」

「なぜあなた方は不思議な力を?」

「使えるみたいだから覚醒させて使わせてもらってます」

「なるほど……。ちなみにその魔法は誰でも使えるのでしょうか」

「この世界の人の大半が魔力がないから無理よ。ここにいる全員使えないわ」

「そうなのですね……」


 少しがっかりしてるような声。

 

「あなた方は全員魔法使い……。にわかには信じ難い話ですが目の前で見させられては信じる他ありませんね」

「あ、アタシは魔法使いじゃないっス!」

「そうなのですか?」

「アタシはただただ身体能力が高いだけっスよ!」

「…………海の上走ってませんでしたか?」

「それはほら……漫画の要領で沈む前に足を出せば」

「……人間離れしてますよね?」

「そういうスキルと呼ばれる魔法とは違った能力があるんです。ヤマトはそれです」

「なるほど。異世界のことはよくわかりませんね……。ありがとうございました」


 インタビューが終わる、

 ぐったりとして、私は水を一口飲む。もうここまで来たら明らかにするしかないとはいえ、騒ぎになることは間違い無いだろう。

 とりあえず眞峰町でバレなくてよかった。自宅バレしてたら押しかけるやつもいそうだし。


 あとはとりあえず猫とかに変身して過ごしておけば問題ないか。変身魔法のことは言ってないし。


「マジで異世界人なんですか?」

「マジよ」

「ほへー……」

「ほへーって……」

「現実離れしてまして……。まだ夢ではないかと疑ってます」

「まぁ、だろうな」


 私も同じ立場なら疑ってると思う。


「それでなんで新幹線に?」

「大阪に行こうと。大阪に異世界から来た勇者がいるっぽくて」

「大阪にもクマの化け物が出たって話ありましたものね」

「はい。なんで私らはもう行きます」

「はい。ありがとうございました」


 病院を後にし、そのまま浮遊魔法でヤマトを抱えて飛んでいく。


「まぁ、これで少しは魔法使いやすくなったかな」

「うわ、すごい! SNSでだいぶバズってますよ! 魔法使いいるんだとか異世界のこととか! 生中継見てる人多いみたいっスね!」

「そりゃあんな化け物みたらそうなるだろ……」

「魔法あるなら使ってみたいって声も結構! めちゃくちゃバズってる! アタシも今投稿したらバズりますよね!?」

「まぁもう顔とか割れてるしいーんじゃねーの」

「やったー!」


 ヤマトが私たちをパシャリとカメラで撮り、そのまま投稿するとものすごく通知が来ている音がした。

 

「やべー! めっちゃフォローくる! 通知止まんねー!」

「承認欲求のバケモンかよ」

「アルタさんとサクラさんはともかく茜さんはやらないんスか?」

「ほぼロム専。好きなイラストレーターの人のイラストとかしかリツイートしてない」

「えーもったいない!」

「つっても呟くことあんまねーだろ」

「動画撮って動画サイトにあげてもいーっすか!?」

「いいけど私らだけにしておけよ。私ら以外はまだバレてないんだから」

「弁えてますよ! 空の旅〜!」


 お前の場合は多分スポーツやるだけでバズるぞ。










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