アキバといえばメイドだよねー
東京についた。
私はとりあえず自分が男になったイメージを浮かべ変身。変身魔法は実在していなくとも、姿を思い浮かべれば変身ができる。
「変装って必要すかね?」
「あのインタビューで顔が割れてるだろうしな。魔法使いなんて珍しいやつまず話題にはなる。サクラは使え……」
「ないよ〜。変身魔法むずいんだもん!」
「なら髪型だけでも変えとけ。髪型変えるだけでもバレづらい」
まぁ誰もが見てるわけではないとは思うが、昨日あんな騒動があった後だ。
変装することに越したことはないだろう。
「で、アルタは誰それ」
「私の婚約者の姿よ。男の方がいいんでしょう?」
「お前婚約者いたの……?」
「貴族の令嬢だもの。いるに決まってるじゃない」
あ、お貴族様なんだ……。
銀髪の吊り目のイケメン。それはそれでだいぶ目を引きそうではあるが……。まあそっちの方がマシ……か?
しょうがない。私で少しこのイケメン度を中和しよう。
再び変身魔法を使い、少し不細工な男になる。
「……なんでわざわざその姿になるんスか?」
「いや、イケメン度が濃すぎると思って。それに秋葉原だし? こっちの方が溶け込めるっしょ」
「どー……なんすかね」
秋葉原に来た理由はただ一つである。
ぐぅぅと誰かのお腹が鳴る。もう昼時で昼飯の時間だ。
「よし、メイドカフェいこう」
「え、普通のチェーン店でよくないっスか?」
「秋葉原でメイドカフェに来るのが夢だったんだよ! アキバといえばメイドカフェだろ!」
「その姿で言われるとちょっとキモいっス!?」
「ルッキズム!」
「メイドカフェってなにかしら。メイドがいるの? 貴族の屋敷にいくの?」
「違うよ〜。そう言ったコンセプトのカフェだよぉ。アキバといえばメイド! 10年前と同じだね! いこー! 楽しみー!」
メイドカフェに行くのが夢でした。
私たちはスマホで近くのメイドカフェの店を調べ向かって行く。
田舎もんだから、初めての都会にビックリである。めっちゃ人がいる……。
そんなこんなでお店に着いたのだった。
「お帰りなさいませ、ご主人様!」
「いや、違うわよ?」
「そういうコンセプトなの」
メイドカフェのルールを説明されて行く。
メイドさんに触れてはダメ、他の人の迷惑になるようなことはダメという注意を受け入店。
すごいファンタジックな空間。いや、もう可愛らしいメイドさんがいっぱい……!
「うひょー、可愛い〜!」
「あか」
「俺の名前はアキオだぜヤマトちゃん」
「……アキオさん女の子好きなんすか?」
「もちろんだぜ」
なんかメイドさんの心の声が聞こえたような気がした。ちょっと今のだいぶキモいな。
席につき、注文。
「コーラとー、まほうのおむらいす!と〜、チェキ!」
「かしこまりまし」
その時だった。
「きゃーーーっ!!」
厨房の方から声が聞こえて来たかと思うと、メイドとエプロンをつけた男の人が逃げて来たのだった。
何事かと思っていると、チェック柄のシャツを着た青白い肌の男性がゆっくりとやってきていた。
「な、なんだよおい!」
「お客様! 落ち着いて!」
「…………」
「アルタさん、あれって……」
「ゾンビ……ね。魔物よ」
「なんで私が行く先々でこんな目に……! しゃーねえ、やるしかないか!」
私は変身魔法を解き、水魔法を使う。
変身魔法の弱点は属性魔法を一切使えなくなってしまう。浮遊とかは出来るが、水とか一切出ない。
「えっ……」
ゾンビの脳天を水が貫いた。そして、その場に倒れる。
「お、お客様……?」
「…………」
「さ、先ほどの男の方ですよ、ね? 魔法使いだったのですか……?」
「…………はい」
「きゃーーーっ! すごぉい! 昨日ものすごく話題になってて見ました!」
「どうも……」
「なんであの姿に!? あ、もしかしてそっちが本来の……」
「こっちが元の私の顔です……。変身してただけです……」
「魔法ってすごいんですねぇ!」
先ほど私たちを対応してくれたメイドさんがきゃっきゃっと私の手に触れる。
「すごい、かっこいい女性……!」
「ども……」
「写真いいですか!?」
「どうぞ……」
私はメイドさんと写真を撮った。
ゾンビが出た後だというのに随分と呑気なものだ。いや、呑気なのは私たちもなんだけど……。
店は壊滅的であり、被害は少ないものの、化け物の死体の処理とか残っている。
「というか異世界のゾンビがなんでオタクコーデしてんだよ」
「さぁ……」
「楽しみにしてたんすけどねぇ。ついてないっすね」
「結局メイドカフェって何かわからなかったわ」
「こんなになっちゃったからねぇ。とりあえず警察来るまで待機じゃないかなー?」
メイドさんに萌え萌えキューンとかやってもらいたかったんですけど。




