ヒグマのバケモンは眞峰町にもやってくる!
サトリは心を読める。
きっとスキルの影響なんだろうなと考えていた時だった。ふと、ヤマトが校庭の方を見ると馬鹿でかい熊が立っている。
「ど、どーしたの? ヤマトちゃん」
「鏡花見ろよ外。でけえ熊がいる」
「本当だ……。て、ていうかあれって幟旗を騒がせてる熊じゃない……?」
「っつーことは魔物ってことか?」
「かも……」
周囲は何も気付いてない様子。
すると、校内放送が鳴り響く。
『校庭に熊が出没、校庭に熊が出没! 全員直ちに避難を! 繰り返します!』
その放送により、周囲が事に気づいた。
「は? スッゲーデカくね……?」
「5mはあるんじゃないか……?」
「に、逃げよう!」
「みなさん落ち着いて! 先生の指示に従ってください。ゆっくり落ち着いて正面玄関から出ましょう」
先生の指示が飛ぶ。
があの大きさ、魔物だとすると警察じゃ無理だろう。登別に推華たちが呼び寄せられるくらいだから魔法使えないとまともに戦えないはずだ。
が、ヤマトはスキルとなるものを持っている。自分ならきっとやれるという謎の自信が漲っていた。
「ど、どーする? 推華さんたちを呼ぶ……?」
「アタシがやる。剣道部の部室に木刀があったろ。武器がありゃやれる気がする」
「気がするって……し、死んだらどうすんの!?」
「そんときはそんとき。アレは魔物だろ間違いなく。なんでここにいんだとか置いておいて、倒さねーと被害増えるだろ」
「そうだけど……」
ヤマトは体育館まで走って向かう。
木刀を数本置いてあったので一つ手に取り、そのまま校庭へ飛び出していった。
「グルルル……」
「山寺!」
「グルァ!」
大きなクマの手がヤマトに殴りかかる。
正面から受け、弾き飛ばされた。職員室のガラスを突き破り、誰かのデスクのパソコンをぶち壊す。
「いっつぅー……。まともに受けたらダメか。いいぜ」
ヤマトは窓から飛び降り、熊の頭を木刀で思いっきりぶん殴った。
木刀はへし折れ、熊は立ちくらみを起こしている。
「サトリ!」
「うん!」
サトリが木刀を投げてよこした。
サトリは心が読める。サトリに対して木刀をありったけもって待機しておいてと心で伝えておいた。
「頭は硬えな。ヒグマと同じか? なら」
ヤマトは素早く懐に潜り込む。
そして、一閃。鋭い突きで熊の胸を貫いた。心臓に木刀が刺さったのか、デカい熊はフラフラとした足取りで逃げようと背を向け、そして倒れる。
「や、山寺無事か!?」
「うっす」
「ダメじゃないか勝手に……! だが……お前すごいな」
「でしょ。ヒグマ程度になら負けねーっすよ」
「だがこんな馬鹿でかい熊なんなんだ……? 自然界でもいないだろうに……」
「魔物ってやつじゃないっすか。稚内であったしょ」
「あれと同じというのか? うーむ……」
「アタシあの場にいたんすよ。魔物ってもんを一応間近で見てるんで断言できるっす。これは魔物っすよ」
「あの場にいたのか……。そうか。とりあえず警察に通報してだな。お前も少し聞き取りがあるかもしれないから残ってもらうぞ。他は帰らせるしかないが……」
「うっす」
熊から木刀を引っこ抜いた。
「とりあえずこの事一応推華さんたちにも伝えないと。でも電話出るかな」
「すげーね! あんな化け物を一人で倒せるなんて!」
「おぅ。どーだ」
「凄い! 憧れる!」
「へへっ、だろ?」
ヤマトは褒められて悪い気はしなかった。




