眞峰高校転校生
一方その頃、眞峰高校に通うヤマトとキョウカ。
朝早くから警察のサイレンが町内に響き渡り、なんだなんだと見に行ってみると推華の家に泊まっているのを見た今日。
「なんかあったんかねー」
「……何か悪いことしたとか」
「あの人たちに限ってそりゃあねーだろ」
「だといいけど……。あんな優しい人がまさか……ってよくある話だし……」
「ないない」
今朝のパトカーのことで話題は持ちきりだった。
複数台のパトカーが推華さんの家に泊まっていた。連絡を試みたが返答は返ってこず、周囲の邪推が止まらない。
「あ、これかも……」
「あ?」
「登別で巨大な熊の化け物が複数いるんだって……。それで呼ばれたのかもっ! ヤマトちゃんの話では稚内でもこういうのあったんでしょ?」
「あぁー……。なるほどな。そうかもな」
なんとなく理由がわかったところで、先生が教室内に入ってくる。
「えー、今日は転校生が来ている」
「転校生?」
ヤマトたちは不可思議な目を先生に向ける。
転校生といえば夏休み明けとか4月の最初とかそういった時期に来るのが基本だと思っていた。
現在はまだ6月である。夏休みなんてまだ1ヶ月も先のことだ。
「入ってきていいぞ」
「は、はい……」
おでこに大きな絆創膏を貼った長い前髪の女の子がオドオドしながら教室に入ってきた。
「え、えと……。源 サトリ、です。よ、よろしくお願いします……」
「声ちっさ」
「ごめんなさいっ!」
「あ、わり」
ヤマトは思わず声が小さいとつっこんでしまったが傷つけたかもしれないと猛省。
転校生の席はヤマトの隣らしく、いそいそと席につくサトリ。ヤマトは一瞥し、再び黒板に視線を戻す。
(早く学校おわんねーかな)
「わ、わかります……」
「あ?」
「え、あ、すいません!」
何に対しての相槌だろう。
ヤマトは転校生をじっと眺める。
「……まさかな」
ヤマトの脳内によぎるのは何か特別な力を持ってるのではということ。
意味不明な相槌、誰も何も言ってないのにしたということは彼女は何か、誰かから何かを聞いて相槌をしている。耳に何もついてないから電話とかそういうのでもない。そこから辿り着いたのは、さっき心の中で思ったことを聞いて思わず相槌してしまったのではないかということ。
確かめてみることにした。
(1+1は?)
「2?」
「ぶふぉっ」
ヤマトは思わず吹き出してしまった。
「どうした山寺」
「なんでもないっす」
「そうか。連絡事項は特にない。終わり」
先生が教室から出て行く。
「転校生、少しトイレに来い」
「え……」
サトリをトイレに呼び出した。
「あ、ああ、あの……なんでしょう」
「お前心読めるだろ」
「えっ!? あ、な、なにいって……」
「さっきの相槌は私の心を読んで思わず出たんだろ?」
「そ、そんなわけ……」
ない。ヤマトも少し前ならそう思っていた。
だがしかし、魔法というファンタジーにすでに触れている。有り得ない話でもない。自分にだってスキルという力があるわけだから。
だがしかし、聞くのはまずかったのかサトリは咄嗟に自分の頭を守るような感じで防御をしていた。
「まー、そんなビクビクすんなよ。どーせあれだろ? 転校前の学校でもバレてキモいとか言われたんだろ」
「……はい」
「だろーな。こんな中途半端な時期に来るのは大体がなんかやらかしたやつとかなんだよ」
「ご、ごめんなさい……」
「謝んなよ。アタシは別になんも思ってねーよ。むしろ羨ましいくらいだぜ?」
「う、羨ましい?」
「アタシも似たような力? あんだよ。テレパシーじゃねえけど」
「本当ですか!?」
「ま、やってみたほうがはえーか」
ヤマトはトイレットペーパーを拝借し、一つをサトリに投げ渡した。
「握りつぶしてみ」
「え、無理ですけど……」
「だよな。アタシはこうだぜ?」
トイレットペーパーが芯ごとぐにゃりと曲がり、どんどん圧縮されていく。
野球ボール並みのサイズに圧縮されてしまった。
「アタシ力がバカほどつえーの。な? 同じバケモンだからな」
「すごい……!」
「だろ?」
サトリは凄いと目を輝かせる。
チャイムが鳴り響く。
「っし、戻るか」
「はい! あ、でも最後だけ……。よくノーヒントでわかりましたね? 心が読めるって普通なら信じられないのに」
「ファンタジーにすでに触れてるからな。あとで紹介してやるよ」
「ファンタジー?」




