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異世界からの迷い人

 一旦推華の家に行き話をすることにした。

 推華の家の前で、レジ袋を抱えたお婆さんが立っている。


「あらちょうど帰ってきたわねぇ」

「山田さん? どしたんだ?」

「いやねぇ。倅がたくさん魚を釣ってきてねぇ。食べんかーと思って持ってきたけんどいねえもんだからよぉ。ほらこれやる」

「ありがとうございます〜」

「ほんじゃね〜」


 お婆さんは帰って行った。

 中に案内され、テーブルで向かい合うように座る私たちと異世界の人。


「とりあえずお互い自己紹介からだな。私は熱海 茜。こっちが西浦 推華だ」

「アルタ・デカルターよ。それよりここが異世界って話なんだけど……」

「本当だか? たしかに日本人じゃない見た目はしとるけど……髪を染めとるやつなんてわんさかおるよな?」

「まぁ……でも、傷がすぐ治るなんて普通じゃねぇ。それに、車とぶつかって骨すら折れてねえで普通に歩けてんだぞ。少なくとも普通の人間じゃないだろ」


 それに回復魔法とかなんとか言っていた。

 魔法……。傷がすぐ治ったのは魔法のせいだとしたら?この世界に魔法なんてないし……。あるとしたらファンタジー小説によく出てくる異世界の人だろう。


「そうね。この世界にはメルトーネ王国なんて国はない……でしょ?」

「ないな。少なくとも私は聞いたことがない」

「んだなぁ……」

「私はあなた方でいう異世界から迷い込んだみたいね」

「んなことがあんだなぁ……」


 感嘆の息を漏らす推華。

 とりあえずこちらの世界のことをアルタに話していく。こちらの世界では魔法がないこととか諸々を説明したのだが……。


「でも変よ。魔法がないってんならなんであなた方には魔力があるの?」

「え?」


 魔力があるの……?


「いや、たしかにさっきのお婆さんとかにはなかったけどあなた方は魔法使えるじゃない」

「……いんや? オラたちは使えんど?」

「……あっ! もしかして」


 そういうと、アルタさんは立ち上がり私たちの背中に手を当てる。


「やっぱり! 魔力が溜まって栓になって出せないのね。ここを解放すれば」


 少し強い衝撃が襲いかかってくる。

 その瞬間、なんだか不思議な力が湧いて出てきたような気がした。

 

「魔法使えるじゃない。熱海さんは火属性と水属性の二つの属性持ってる。すごい!」

「……ファイヤー?」


 やってみると手のひらから火の玉が出てきた。


「は?」

「ほえ?」


 なんか出来た。

 私は喫煙者ではないからライターなんて常備してないし、なによりそもそも何もない手のひらから炎が出てきた。

 左手から今度は水を出してみようと考えてみると、水がチョロチョロでて絨毯を濡らした。


「一発で出せるなんてすごいわね! 才能あるわ!」

「な、なんで私魔法使えてんの……?」

「そら魔力があるからよ。やっぱこの世界にも魔法はあるじゃない」

「いや、それは創作の中の話だけでっ……! え、マジで魔法使えんの? マジ?」

「異世界の魔法のことならなんでも教えてあげるわ。魔法文明が遅れてるからあなた方が広げて……。でもそれでも変よね。魔法が使えるし魔力もあるのに魔物の気配がないわ……」


 不思議がっているアルタさん。だがしかし、それを気にかけてる暇はなかった。

 まさかの魔法が使えることが判明。このなんとも形容し難いこの謎の活力が魔力と呼ばれるものなのだろう。いや、ホントなんで魔力があるんすか。そもそも魔力ってなんですか?








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