スキルというもの
新たに明かされたスキルとなるもの。
いや、なにそれ……。異世界ものでは主人公とかに与えられるもの。チートスキル○○で〜とかその類のものだろうか……。
「え、なにそれ」
「普通の人は持ってない特別な技能とでも言えばいいのかしら……。異世界にはそういう概念があるのよ」
「へぇ……」
「ならヤマトはそれのせいで魔法が使えないと?」
「スキルによる制限ね。たまにこういう制限するスキルがあるの」
「……そんなっ」
魔法が使えなくなるスキル……か。
ヤマトはそれを持って産まれたと。だがしかし、デメリットでしかないスキルってあるんだな。
「ただ……。ヤマト、石を全力で投げてみなさい」
「え……」
ヤマトは外に出て、石を全力で投げる。
石はまっすぐ飛んでいき、着地地点が目視できないほど遠くだった。
なんつう遠投力……。いや、純粋なパワーか?
「少しジャンプ」
「こう?」
ヤマトは飛び上がる。
建物の2階くらいの高さまで飛んでいた。
「やはりね」
「やはりって何。こんなん普通じゃん」
「いや、普通じゃないよヤマトちゃん……。なんか人間離れしてるよ……」
「え?」
「光、このハンマーでヤマトを殴ってみなさい」
「え……」
「いや、それはさすがに」
「いいから」
「……どうなっても知らないわよ!」
光はヤマトにハンマーを振り下ろし、頭に命中した。が、ヤマトは頭を抑えるものの、血の一滴すら垂らさず「いっつぅー……」という感想だけで済ましている。
「……私加減してないわよ?」
「いや普通っすよね? アタシこんなんで怪我したことないっすけど」
「あなたのスキルは魔法が一切使えなくなる代わりに身体能力を全部極限まで上げるスキルよ!」
「え、そうなんすか!?」
「そうよ。私が調べたもの」
「スキル持ちって貴重なんだよ。アイン以外持ってなかったよねうちら」
「そうね」
「……私が貴重?」
ヤマトは自分の身体を眺めていた。
「ヤマトちゃん……。体育ではめっちゃ成績いいじゃん……。先生がオリンピック出れるとか言ってるし……」
「いや、てっきりお世辞かと。そっかー。スキル持ちかー。なら魔法使えなくてもしょーがないよなー」
ものすごくご機嫌である。
オンリーワンというのはなかなか嬉しいものなんだろう。
「ならアタシ将来スポーツ選手になれば余裕で稼げんじゃね?」
「そりゃ……」
「現日本においては非常に便利なスキルじゃない?」
「だねー。よかったね!」
ヤマトは大喜びでいると、推華が仕事を終えたのか帰ってきた。
「ヤマトなんか嬉しそうだべ」
「あぁ、ヤマト、スキルって奴持ってんだとよ」
「ほえー。どんなんだ?」
「身体極限までパワーが……。あ、推華。ヤマトと腕相撲してみて」
「……ええけど」
「魔力強化アリで」
「……死んじまうかもしれねえよ!?」
「いいの。やってみて」
というので、ヤマトと推華がテーブル越しに向かい合い腕を組む。
レディー、ファイっ!と勝負の狼煙が上がった瞬間、テーブルがバキッと割れていた。
「なんつーパワーだ! 魔力でフル強化しとるんだで!?」
「ぬぎぎぎ……。パワーやべえっすね推華さん!」
魔力強化状態の推華と拮抗するくらいのパワー……。普通に考えてだいぶやばいものだな。
格闘技なんてやらせたら死人が出るんじゃないだろうか。
「ふぅ……。オラの勝ち。これがスキルってやつの影響かぁ?」
「みたい。すげえだろ」
「あぁ……。オラがギリギリだなんて思っとらんかった」
推華は汗を拭う。
「さ、テーブル片付けるべ。壊しちまったから買わねえとな」
「すんません……」
「ええよー。これも結構長く使ったし寿命だべ」
テーブルの足が壊れるならまだしも板が割れてるから寿命は関係ないと思う。




