仲間はずれのヤマト
「こんちはーーっす!」
学生服姿のヤマトがやってきた。
毎日毎日魔法を見にきている。よく飽きないもので、今日も魔法をせがんできたのだった。
「また変身でいい?」
「今度は鳥がみたいっす!」
「はいはい」
私はカラスに変身した。
弱い鳥だとカラスに襲われる可能性もあったので同族の方がまだ襲われにくいだろう。
バサバサと羽ばたき、ヤマトの周囲を飛ぶ。
「あら、来てたのね」
「いらっしゃーい!」
「ふあーあ……」
眠そうなアルタ、元気なサクラ、普段着の光もヤマトの元にやってきた。
毎日のように来るのでもうこれが日常みたいなものである。私は変身を解き、そのまま着地する。
「あざっす!! 明日の活力が出てきました!!」
「そう。それはいいんだけど……」
「なんすか?」
「後ろの子は友だち?」
「え」
ヤマトと私は思わず振り返ると、何やらあんぐりと口を開けて呆けている女の子が立っていた。
背は小さく、小動物を思わせるようなかわいさではある。が、今の見られた……?
「鏡花!? なんでここに!?」
「や、やや、ヤマトちゃん最近いっつも遊んでくれないからっ……。何してるのかなって……思って……」
「だからつけてきたの!?」
「い、いい、今のは何……? カラスが人になった……」
ガッツリ見られてますね。
「……すんませんっす! 皆さん!」
ヤマトが頭を下げた。
仕方ないので私たちは家に招き入れ、説明をすることにしたのだが。
アルタがずいっと前にでる。鏡花と呼ばれた女の子の背中に触ると。
「え!?」
「魔力あったから解放しといたわ!」
「「は??」」
ヤマトと鏡花は素っ頓狂な声を出した。
家の中に招き入れ、魔法のことを説明する。若い子の飲み込みは早く、そういうものがあるんだぁ……と納得していた。
「名前なんていうの?」
「あ、私、氷室 鏡花です!」
「鏡花ちゃんね」
「そ、それで私も魔法使えるんですか!? さっきみたいな変身も!?」
「それは練習次第ね。あなたは氷の魔力ね」
「氷?」
「イメージしてみて。氷を出すイメージ」
「え!? えっと……アイス!」
小さい氷がすとんとテーブルの上に落ちた。
威力としてはだいぶしょぼい。が、推華もこういうしょぼさから始まってるからこれがデフォルトなのかもしれないな。
「で、出ました!」
「それが魔法。一応秘密ね? みんなには」
「は、はい! わかりました!」
嬉しそうに笑顔を浮かべる反面、その隣に座るヤマトはふてくされているようだった。
まぁ……自分は使えないのに友達は使えるって羨ましいか……。なんとなく気持ちはわかる。だがこればかりはどうしようもないからなぁ。
「……ヤマト、簡易的だけど使ってみる?」
「え!?」
「出来んの?」
「まぁ、しょぼいけど魔力ない人も使える方法はあるのよ」
「やる! やらせてください!」
「ならそうね……。小さくて拳大の石といい感じの木の棒を持ってきて」
「はい!」
ヤマトは外に駆け出していく。
数分後、持ってきました!と大きな石と木の棒を持ってきたのだった。
アルタはそれを受け取り、テープで止めていく。そして、手のひらを石に当てて魔力を注ぎ込んでいるようだった。
「簡易的な魔法の杖よ。念じたら魔法が使えるわ」
「マジっすか!? やります!!」
ヤマトは杖を受け取り、むむむ〜と唸っている。
が、何も出ない。
「何も出ないわよ?」
「そんなはず……」
「作り方は同じだよね? なんでなんだろ?」
「…………」
アルタさんは顎に手を当てて何かを考え始めた。何かに気付いたのか、ハッとしたような表情を浮かべる。
「……ヤマト、そこに座りなさい!」
「え……」
悲しい顔をして素直に従うヤマト。
「少し身体に違和感があると思うけど我慢して」
「は、はい」
アルタが魔力をヤマトに注ぎ込んでいるように見える。
「やはりね」
「やはりって?」
「そもそもあなたは魔法が絶対使えないわ」
「え……」
絶望したような表情を浮かべるヤマト。
「それはスキルと呼ばれるものがあなたにあるからよ」
「「「「スキル??」」」」
サクラとアルタ以外の声が重なった。




