サクラの今後
崖下に倒れている女性の情報。
私たちについていた宮下巡査部長がパトカーのサイレンを鳴らしながら現場に向かう。
倒れている成人女性。アルタはその顔を見て。
「あら、サクラ」
「この人が……」
アルタはサクラと呼んだ女の人に手を当て回復魔法をかけていた。
女の人は目を覚ます。
「あれ、ここどこ? アルタ? なにしてんの? 私たち魔王にやられて……」
「サクラー! ここは日本って国らしいわ! 会いたかった!」
「日本……。日本!?」
がばっと起き上がる女性。
周囲を見渡し、状況が理解できたようだ。ぽかんと口を開け、手を天に掲げる。
「戻ってこれたーーー! 魔王の最後っ屁は異世界転移だった! 魔王ざまーーーー!」
「嬉しそうだな」
「で、アルタはなんでここに? この人達は?」
「えっと、警察って組織の人と、こっちは私がお世話になってる人たちよ。この人たちに助けてもらったの」
「あらあらそれはどうもアルタがお世話になりまして」
「これはこれはご丁寧にどうもなぁ」
アルタはサクラと抱き合っていた。
「あなた、新島 さくらさんで間違いないわよね?」
「はい。サクラです! 26歳です!」
サクラはとりあえず病院で少し検査することになった。
異世界から未知の病原菌を持ち込んでいないかとか、そういうのがあるらしい。アルタは何もしてないけど良かったのだろうか?
「へぇ! あなたたちも魔法使えるんだ!」
「特にこの二人は魔法使いこなしてるわ」
「すごー。私なんか使えるようになるのに2年かかったよ」
サクラはものすごく気さくな人のようで、ものすごく話しやすい人だ。
「それにしても10年でこんな変わるんだね! なんかすっごいハイテクになってるし!」
「そうか?」
「なんか病院内の人全員マスクしてるし! なんかさっき全然知らない漫画の話してた人いたし!」
「あー……」
「5年前くらいに結構な感染症流行ったもんなぁ」
「あの時はキツかったわ……」
あれから5年も経ってるのか。時の流れって早いな。
「なんか未来にタイムスリップしてきた気分だよ〜。帰って来れたしまずお母さんのとこにいこっ」
そういうと、警察の人が申し上げにくいのですが……と声を出す。
「新島さくらさんのご両親なのですが」
「……はい?」
「……すでに亡くなられて」
「……はい?」
警察の話によると、サクラの両親はサクラが失踪した後、心労で倒れてしまったらしい。
精神を病んだ母親、それを楽にするかのように、夫婦で心中したという。
「…………」
「申し訳ございません……」
「い、いや、いいですよ! 母はなんというか、脆い人だったのでそうなるだろうなとは思ってました。思ってました……」
告げられた両親の死。
世界は残酷なものである。
「なら帰るとこ無くなっちゃったなー。どーしよ!」
「無理して明るく振る舞わなくてもいいんじゃねえの?」
「無理してないよ。大丈夫。人間はいつか死ぬものだからね」
「あー……」
異世界ではここよりもっと命の価値が軽かったんだろうな。その体験から来るものか……。
「ならうち来るか? オラんち広いし部屋もたくさんあるから泊まれるど〜」
「いいの?」
「ここで会ったのも何かの縁だべ。アルタのことよく知ってるのはサクラだし居てくれると助かるさ〜」
「なら……」
「あ、オラは西浦 推華だど〜」
「西浦さんちに行きます!!」
また一人共同生活相手が増えたようだ。




