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「話は戦勝の祝賀会が終わってからだ」


 帝都に戻ると、すぐに凱旋パーティーが計画された。

 両親は準備や各国の貴賓を招待する準備で忙しく、まったく捕まらないし、姉はこんな時に限ってバライカにいて、話が聞けない。


 僕は神殿を訪ね、聖女コラリアに神託について聞くことにした。


 これがまずかった。



【イライジャ王子、求婚か? 凱旋後、聖女コラリアの下に馳せる】


 おかしな新聞報道に発展し、怒り狂った両親から謹慎を命じられてしまった。


 近衛が8人、見張りについている。


 逃げ出せるとは思えなかった。


 それに、結論だけ言えば、聖女コラリアもミミの正体は知らなかった。


 モブのことまではわからないそうだ。


 僕は一体何をやっているんだ。


 ミミはどこなんだ?


 どうすればミミに会えるんだ?



***



 祝賀会の当日、ようやく謹慎が解けた僕は、何もやる気が起きず、ぼんやりと窓の外を眺めていた。


 祝賀会の参加者で、早入りした貴族たちが庭園を散歩していた。


 いつでも解放されている庭園ではないから、この機に見ておこうという魂胆だろう。


 そんな僕の冷めた目に予想外だにしなかった人物が映った。


 ミミだ!


 僕は走った。


 ミミに会いたくて、全速力で走った。


 両親はちゃんと僕のことを考えていてくれたんだ!



「ミミ!」


「触るな!」


 僕が両手でミミの顔をしっかと包むと、その人物は僕の手を振り払った。



「え?」


「頭、大丈夫か? どう見ても男だろ!?」


 僕はその人の冷めた視線を一生涯忘れられないだろう。


 ちょっと頭がおかしくなっていた僕は、その人が男装していることにその時に気づいた。


 でも、ミミにそっくりだった。


 僕がもう一度じっくりみようと顔に手を伸ばすと、触れられる前に手を振り払われた。



「ミミじゃない?」


「だからやめろって! お前、自分の婚約者とその弟の区別もつかないのか? 頭が悪すぎるだろ?」


 婚約者の弟?

 まったく理解できず、茫然としてしまった。


 僕に婚約者はいない。



「クロイス、その言い方はひどすぎるよ」


「いや、酷いのはあっちだろう? 姉上の趣味が悪すぎて、ひく」


 隣にいたのは、バライカで会ったことがあるジェームズ・カルーリアだった。


 そして、ミミそっくりの少年は、クロイス・ゲール?


 ということは、その姉は、マーガレット・ゲール??


 僕はようやく理解した。


 ミミの正体は、マーガレット・ゲールだったんだ。


 乳母は、本物のミランダミランを押し付けるために帝都に滞在したのではなく、自分の娘を取り返すために帝都に滞在していたんだ!



「君の姉上は今、どこに?」


「姉上なら領地で留守番ですよ。婚約を拒否されているうちは出ていかない方がいいだろうって」


「ここにはいない?」


「今、そう言ったでしょう? どんだけバカなんですか? 知ってますか? ゲール領。姉はそこにいます」


「クロイス、やめなって」


「ありがとう、感謝する」


 ジェームズ・カルーリアがクロイス・ゲールの毒舌を止めようとしていたが、僕の気持ちは既に他の方角に向かっていたから、被せるように謝意を述べて、その場を立ち去った。


 ミミは、ゲール領にいるんだ。


 迎えに行かなくては。


 僕は近衛を2人だけ連れて、ゲール領へ向かって出発した。


 祝勝会?


 知らないね。


 両親がどうにかするだろう。


 ミミのことを僕に隠しておいた仕返しだ。


 もっと早く教えてくれれば良かったじゃないか! 


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