㉗
ジンダーヌは自分の部屋の机の前に座り考え込んでいた。
(この手紙の様子ではもう一時も引き伸ばせまい)
その時扉をノックする音が聞こえた。
「おじい、夕飯の仕度が出来たよ。今夜はダーイと月祭りに行く約束なの。いってもいいでしょ」
「ああ今行く、ダンよわしにはもうどうする事ができん。お前の宝を最後で守ることができそうにないすまん」
ジンダーヌは机の上の小さな絵を眺めながら独り言をつぶやき部屋を出て行った。
「ランルーサ、明日は昼からでかけるからの、今夜はゆっくりしてきていいぞ」
ジンダーヌはスープをすすりながら言った。
「ええ、わかっているわ。あああっ、今夜の月祭りが終ったらあの塔に行くのももう終わりなのね。なんだか残念だわ」
「そうだな…もう一年か、この一年はどうだったね」
「楽しかったわ、でも、なんだかちょっとと考えさせられちゃったわ」
「何をだい?」
「神は私達を死に追い込んでいるっていう人もいるでしょ、だからあの塔でそれを阻止しようとしているって、でも私はそうは思わないわ。まだ確証はないけどダーイが育てている種はきっと神様からの贈り物なのよ、月夜の次の夜だけその種子を落としてくれる、でも人々は気付かずに疎んでいるけどね」
「ランルーサ、実は・・・」
「おじい、何も言わなくていいわ。私気付いてた。私には逃れられない定めだあるって、どんなにもがいてもやっぱりむりだったのね。もう時間がきたんでしょ」
「ランルーサ・・・」
「私が髪を切っても、変えられない定め・・・おじいありがとう。私知ってたわ、おじいが私の本当のおじいじゃないって」
「ランルーラ、すまんな、わしはお前を守りきれなんだ」
「そんなことないわ、私は十八年間幸せだったもの、ここで生活できなかったらこんな気持ちになれなかったと思うもの。私は守りの塔に行くわ」
「ランルーサ、本当によいのか、あの塔に入ってしまえば、二度とここには戻ってはこられんのじゃぞ、ダーイとも二度と会う事はできんのじゃぞ」
「わかってるわ」
「あの塔の中には何も持っていけないんじゃぞ」
「いいえ一つだけ持って入れるのもがあるわ」
ランルーサはそういうと、カーリの守り石を胸元から取り出し、ジンダーヌに見せた。
「ランルーサ」
「この石には私とダーイの髪の毛がしみこんでいるの、カーリの守り石を手にした時、引き換えにした。だから・・・私はどこにいってもいつまでもダーイと一緒なの私の記憶が消えてもこの守り石は覚えてくれるはずよ」
「ランルーサ」
ジンダーヌはランルーサにそっと近づくと自分のところに抱き寄せた。
「お前はわしのかわいい孫じゃ、お前の身に何が起ころうがそれはかわらん。忘れんでくれよ。お前は緑の民」
「おじい!」
「すまんな、お前を守ることができんわしをゆるしておくれ」
ジンダーヌはランルーサを抱きしめながら一筋の涙を流した。




