㉒
ジンダーヌの家をでたジルダスは供のビーコスは村の中心部に向かって歩きだしていた。
「ジルダス様、ランルーサ様はいかがでしたか?」
「うむ…想像通りの娘に育っていたよ。髪の色は違ったが、お前の方はどうだった?」
「はい、洞窟には伝承のホルンの剣はありましたが、カーリの蒼の石は残されてはいませんでした。ただ奇妙なことに、石が置かれていたであろう場所の岩だけが金と銀の細い糸のような模様の石が光に反射して光っているだけでございました」
「金と銀か…しかしカーリの石がなぜ消えたのか…しかもそれを守るべきホルンの剣がそのままだとは」
「王子、もしかしたら、村で聞いたうわさは本当なのかもしれませんね」
「ばかな、カーリの石をあの子が伝承したというのか?」
「あの石を手に入れられるのは王家の血筋のみ、だが、あの石を伝承するには何かをいけにえに差し出さなければならないはず! そうかだからあの二人は髪が変わったのか? カーリに自分達の髪をいけにえとして捧げたっていうのか?」
「どうするのです。あの石が無ければこの世界は砂に飲み込まれるのは時間の問題です。祈りの塔でも時が迫っていると」
「なあビーコス、俺達も祭りに参加しようじゃないか、あの石は彼女を選んだのだ。ランルーサが自分の守り石を持たずに生まれてきたのはあの石を受け継ぐ為だったんじゃないのか?祈りの塔にはいるためじゃなくな それなら、この国の運命は彼女が握っているってことになる」
「しかし、このことがフェノーラ殿の耳に入りでもしたら、彼女の命はありませんよ。至急、祈りの塔のリーマ様に報告いたしませんと」
「リーマ様はもうご存知だよ。ジンダーヌ・ベルデ彼がランルーサを育てていたとはな…三年前から知っていながら今まで知らん顔をしていたとはリーマ様もお人が悪い。俺達は利用されただけかもしれないな。俺達に蒼の石を探してきてほしいといったのは、蒼の石の意思を聞いてこいってことなんじゃないのか? カーリ様は今何を示しているのか? 今夜彼女が唄うとか言っていたじゃないか。もうしばらく王子のふりをするためにもな」
「何を言っているのですか? あなたは正真正銘のこの国の王子ではありませんか?」
「ただの仮面をつけた操り人形のな」
「しかし、蒼の石が手に入らない以上、どうなされるおつもりなのですか? このままですとますます力が弱まるばかりですよ。昨夜もあんな嵐で意識を失ってしまったではありませんか?」
「あれはお前が戻るのが遅かったからだ、心配いらないよ。わたしはまだ大丈夫だ」




