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「そうでしたか…伝説は真実ではなかったのかもしれませんね。この国の未来もまた砂に帰るべきなのかもしれない」
「ジルダス様、砂に帰るってどういうことですか?」
「いえ、なんでもありません。そうですか? 昨日の事はあなたのせいなどではありません。僕がうかつだったのですから気になさらないでください。ただ」
ジルダスが何か言いかけたところでおじいが話しにわって入り入り口から暖炉に向かいジルダスとお連れのものに話かけた。
「まあまあ、立ち話もなんですから、皆さんお座りになりませんか? 王子様も急ぎのご予定がございませんようでしたらどうです一泊していきなさっては? 幸い今日は収穫祭です。お忍びでごらんになってはいかがですか。むさくるしい家ですがこの家にお泊りくださいませ。わしらはどこででも寝られますから」
「いえご好意はありがたいのですが、我々には行かねばならないところがございますゆえ、先を急ぐ身。王子時間がございません。すぐ発ちませんと」
ジンダーヌとともに家に入ってきた男はジルダスに近付くと何かささやいた。
「…仕方ないな。今回はあきらめるか。あの嵐さえなかったらもう少しお前から姿をくらませたかもしれないのにな。ランルーサ、おいしい朝食をありがとう。誰かと一緒に食べる食事がこんなにおいしいと感じるのだとはしらなかったよ。短い間だったけど、話ができて光栄だったよ。いつかまた機会があったらゆっくりまたいろんな話を聞きたいものです」
ジルダスはそう言ってランルーサに右手を差し出した。
「ジルダスいえ、王子様、私も楽しかったわ。今夜のコンテストみてもらいたかったわ。この国の創世神話を唄にして唄う予定なのよ。でも急ぎの用があるのなら仕方ないわね。またこの村に来ることがあったらぜひ家にもきてくださいね。私達はいつでも歓迎いたします。ねっおじい」
ランルーサはジンダーヌの方に視線を向けながら言った。
ジンダーヌも大きく頷いていた。
ジルダスは笑顔で頷いて向えに来た男と供に家を出て行った。
机には金貨が数枚残されていた。
「ルーサ、今夜のコンテストにでるというのは本当のことなのか?」
「あっ…おじいごめんなさい、内緒にしておくつもりだったんだけど…でてもいいわよね? 今年は無茶はしないわ。ダーイに手伝ってもらってこの村に伝わるカーリの伝説の森の唄を唄うだけよ」
「おい、俺聞いてねえぞ。唄って俺唄なんて唄えねえぜ」
「大丈夫よあんたには草笛を吹いてもらうだけだから、ほら、いつも吹いているあれよ、あれに歌詞を付けたのよ。ねえ、おじいいいでしょう?」
ランルーサは険しい顔のままのジンダーヌの返事を待った。
ジンダーヌは暫く考えた後、ぶっきら棒に一言言った。
「好きにしろ」
ランルーサはその言葉にジンダーヌの背中に飛びついた。
「おじいありがとう。おじいに反対されたらどうしようかと思ったわ。今年は私どうしても優勝したいのよね」
「なあルーサ、俺もでないといけねえのか? 俺やだよ、人前にでるのなんかさ。草笛なんて笑われるだけだぜ、みんなビーザスの楽器とか弾くじゃねえか、なあやめようぜ恥かくだけだぜきっと…」
「私はでるの、私がでると決めたんだからあんたも当然でるのよ。さあーおじいの許可はもらったし、今日は忙しくなるわよ。夕方までにトービを売ってしまわなきゃ」
ランルーサはうれしそうに伸びをすると、小走りに自分の部屋に走っていった。




