⑳
「伝説の石…」
ジルダスの言葉にランルーサの顔色が真っ青になった。
ランルーサはとっさに右手を胸のところに当てながら恐る恐る聞き返した。
「その伝説の石ってなんの石なんですか?」
「このルーラルーラに人々を導いたとされている神カーリの守り石とされている蒼の石のことです」
ランルーサとダーイはジルダスの言葉を聞いて頤顔を見合わせ顔面蒼白になった。
ダーイがランルーサに向って何か言おうとした瞬間、
ランルーサはダーイの足を思いっきり踏んで小さく首を横に振った。
そしてジルダスに向ってこう聞き返した。
「あのジルダス…いえ王子様、あのもしもしもですよ、その石がすでに何者かの者の石になっていてそこになかったらどうするのですか?」
「そんな事はありえません。なぜならあの石は正統な継承者に引き継がれるまで守る精霊がついているという言い伝えがあるからです。盗賊が持ち出そうとしてもその精霊によって命を絶たれるはずだからです。ですからあの守り石はどこよりも安全な場所に保管されているのです」
「でも正統な継承者じゃなくても…いえなんでもないわ」
ランルーサは小声でそのことを何度も繰り返した。
そんなランルーサの様子を気にしながらもジルダスは話を続けた。
「私の一族には代々言い伝えがあるのです。カーリの正統な継承者は金と銀の魂が一つになりし時蒼の光が我らば進むべき一筋の道しるべとなるであろうという伝承があります。私は本当に蒼の石が存在しているのか確かめにきたのです。本当にこの砂の世界を緑に変える力を持つ継承者が存在して神カーリのような力を持つ人間が現われるのか、そして僕は夢でみたのです。その継承者はすでに決定されていると、僕はこの目で真実を確かめにきたのです」
「あっあの…でもあそこは危険な場所よ、なっ中にはいるなんて…村のみんなだって誰も近付かないし、入った盗賊達はみんな戻ってこないのよ。あなたもやめた方がいいんじゃないの?」
「そっそうだよ、おっ俺達だって大変な目に!」
ダーイがそこまでいいかけてはっとして両手で口をふさいだ。
ランルーサはダーイを睨みながら大きくため息をついて、ジルダスの言葉を待った。
しかし意外にもジルダスから帰ってきたのは小さな笑い声だった。
「あなたがたお二人が以前洞窟の中入ったことがあるということは昨日村人から聞いて知っていますよ。ですからランルーサあなたにお会いしたいと思っていたのです。あの中に石はありませんでしたか? 昨日もあの木の下で待っていれば牧場から帰ってくるあなたに会えるとお聞きしたものだからあそこにいたのですが、いつの間にか居眠りをしている間に嵐になってしまっていて、少し砂を吸い込んでしまったようでそのまま気を失ってしまったのです」
「えっ! あなたがあそこにいたのは私のせい? ごっごめんなさい…私達も転寝しちゃって帰るのがおくれたのよ…石? 石なんて知らないわ…私達奥まで行かなかったから…」
ランルーサは慌ててジルダスに頭を下げながら右手で胸の辺りをさすりながら言葉を濁した。




